第8話 透子ちゃん登場
ガラガラッ 「ただいまぁ~」
聖子 「あらあら、丁度良かったわぁ。
三好さんに孫を紹介出来るはねぇ」
とニヤニヤしている。
そのニヤニヤ顔はここ最近、見覚えのある物だった。
三好は内側へ意識を向けるも、勝川は何処吹く風で気にしていないようだ。
長年連れ添った夫婦は似るようであるし、年の功には勝てないと改めて思っていると、客間の入り口に人影が現れた。
透子 「お祖母ちゃん、お客様来ているの?」
と顔を出した透子は身長は150cm程の少し小さめ、なのに体の方は男受け確実のようなアンバランスな魅力を秘めていた。
あまり体を見ていては第一印象を悪くしてしまう。
3秒は本能に逆らえなかった三好は、なんとか顔の方へ目線を向けるも、硬直してしまう。
美人よりも可愛いの方が強めの、黒髪腰までのストレートの、美女と美少女の間程の女の子であった。
三好 「…」
透子 「こんにちは。
お祖母ちゃん、この方は?」
聖子 「お帰りなさい、透子ちゃん。
こちらの方はお祖父ちゃんのお友達の三好さんだよ」
聖子さんに紹介され、ここでハッと意識を覚醒させる三好。
三好の中では、勝川さんがニヤニヤしているのが伝わってきた。
三好 (内の孫可愛いだろう、とか、どや顔をしてるんだろうなぁ)
と失敗を気にしつつ、
三好 「こんにちは、お邪魔しております。
三好と申します。」
と慌てて挨拶を済ます。
透子 「三好さんですね!宜しくお願いします。
お祖父ちゃんの孫の透子です。」
と礼儀正しく返事が返ってきた。
透子の容姿や態度、可愛らしい声などを見て、ストーカーが出てくるのも納得の三好であった。
透子 「お祖母ちゃん、お祖父ちゃんの事、何か分かった?」
聖子 「透子ちゃんや、こちらの三好さんのお陰で情報が少し出た所だったのだよ」
透子 「ホントに!お祖母ちゃん。
三好さん!ありがとうございます。」
と興奮気味の透子さんが腕に抱き付いてきた。
三好 (や、柔らかい…)
と一回りも下の女の子の匂いと柔らかさにドキドキして何も答えられない三好。
三好 「ぅ、ぁ、ぁの…」
聖子 「透子ちゃんや、嬉しいのは良いけど、男の子にくっつくのは程々にのぉ」
透子 「キャッ! ごめんなさい。三好さん。
お祖父ちゃんの事で嬉しくって…」
と顔を赤くしながら離れる透子さん
三好 「ふぅ…大丈夫ですよ。
気にしないで下さい。
聖子さん、お手洗い借りますね」
と離れて、玄関から見えたお手洗いへ入る三好。
その背中を聖子はニヤニヤしながら見ていた。
聖子 (からかいがいが有りそうじゃのぅ)
やはり夫婦、正治と似たような事を考えていた。
☆☆☆
トイレ内、三好。
気持ちを落ち着かせた三好は、勝川へ問い掛ける。
三好 (勝川さん、良かったですね!)
(うむ。そうじゃのぅー。聖子も透子も元気そうじゃし、ストーカーの件もとりあえず大丈夫そうじゃのぅ)
満足気な勝川の感情が伝わって来る。
三好 (ご家族の現状とストーカーは済みっと。
残りは報酬の件でしょうか?)
(分かっとるわい。もうちょっと年寄りを労ってもえぇんじゃぞ)
とニコニコと返事が来た。
三好 (さて、締めのお仕事だなぁ)
気合いを入れつつ、トイレを出る三好であった。
☆☆☆
客間へ戻った三好は、聖子さんと透子さんのお祖父ちゃん話を聞きつつ、先程の説明に補則しつつ会話に加わった。
どうやら聖子さんは、勝川さんのライバル商社の話はしないようだ。
確かに、それは正解だと思う。
現状、証拠は幽霊からの供述だけであり、それを分かるのは三好だけである。
そんなあやふやな物に孫を巻き込みたく無かったのだろう。
三好が、誰々が怪しい、と声をあげてもそれだけだ。
逆に危険を呼ぶかも知れない。
そんな事を考えつつ、お祖父ちゃん話をして1時間程たったので、そろそろと思い三好が切りだす。
三好 「聖子さん。お孫さんの話で逸れてしまっていたのですが、勝川さんの話には続きが有ります」
さぁここからは、最後の締めだと気合いを入れる三好であった。
序盤にヒロインがいないのはちょっとなぁ。
と思い透子ちゃんヒロイン抜擢です。
この後も上手く活躍させたい所ですね。