第3話 情報交換と報酬
勝川にニヤニヤされた三好はムッとしつつ、続きを促す。
勝川 「幽霊と言えど爺じゃからのぅ。
疲れるからまぁ、色々聞いてみてくれんかのぅ?」
幽霊が疲れる?に半信半疑になりつつ三好はでは、と前置きしつつ、
三好 「そもそもなのですが勝川さんは、ご自分でお孫さんの確認はされなかったのですか?」
勝川 「ふむ。当然確認しようと思ったのじゃが、出来なかったのじゃ。
橋と、周辺500m付近は移動出来るのじゃが、そこから先は進めないのじゃ。」
あぁーそれは…。
聞いて納得する三好。
三好 「それは所謂地縛霊では?」
勝川 「そうじゃのぅ。ここの場所に思い入れは無いのじゃが、体が川底じゃからのぅ。」
三好 「勝川さんが川から離れれないのは了解です。
次なのですが、なぜ、俺に何ですか?
他にもここに来る方や通る方は居たでしょうに。」
勝川 「なぜお前さんになのかは、信頼出来そうな雰囲気じゃったから!
は、まぁ半分じゃがな、他の者には頼めなかったのじゃ」
三好 「?」
勝川 「他の者はのぅ、誰もワシの姿や声が分からぬようじゃな。
まぁワシ、幽霊じゃし。」
三好 「俺には見えてるけど、なんでだ?」
勝川 「さぁ?」
三好 「さぁって…いい加減な。」
勝川 「まぁまぁ細かい事は良いではないか!
大事なのはこれからじゃ」
これから…と口に出しつつ落ち込む三好。
そんな三好の変化に気付きつつ、気にしないように声を掛ける勝川。
勝川 「さぁさぁ、どんどん進めないと日が明けるぞ」
三好 「あぁ。そうだな。
それじゃあ勝川さん。少し話は変わるが、誰に殺されたんだ?
お孫さんのストーカーと関係あるのか?」
勝川 「孫のストーカーとは別件じゃ。
まぁ気にしなくても良いのじゃ、自業自得での。
昔からソリの合わなかった商売敵がおってのぉ。
お互いにやり合っていたら結末はこんなもんじゃ」
三好 「そうか。まぁ出来る事があれば言ってくれ。
力になれるか分からんけど。」
勝川 「ありがとうのぅ。
さて、後は報酬かの?」
気分を変えるように問い掛ける勝川。
三好 「あぁ。まぁ貰えるなら有り難く頂くが、内容はどんな物何ですか?」
自信ありげに勝ち誇った顔の勝川が三好を見ながら告げる。
勝川 「まずはのぅ、しんぷるいずべすとな現金じゃ!」
頑張って英語を使おうとする勝川を見つめつつ、「現金…」と復唱する三好。
勝川 「ワシのヘソクリがあってのぅ。
当然、金庫保管、暗証番号もワシしか知らぬから確実じゃぞ!」
と、どや顔をする爺さん。
誰得でもない顔を見つつ、三好は尋ねる。
ヘソクリの金額などたかが知れた物では?と思いながら、
三好 「金額は如何程に?」
勝川 「500万じゃ!」
三好 「!500…」
手持ちも預金もすっからかんの三好にとって、500万は大金であった。
独り身の現在では、多少の贅沢も可能である。
ここでやっとエンジンのかかってきた三好。
興奮しつつ、勝川の爺さんに先を促す。
勝川 「現金だけじゃないぞぉ!
多分出来る!」
と言いながら、なんだか勢いを付けそうな雰囲気を醸し出す。
三好 「多分出来る?」
勝川の動作を不思議に思いながら尋ねる。
尋ねた三好を見ながら、意気込んだ勝川は見つめ返す。
勝川 「行くぞ!」
三好 「エッ!?」
三好の返事を待たず突っ込んだ勝川。
驚く三好をよそに、スルスルと三好に入り込む勝川。
(うむ。成功じゃ!)
頭の中に響く勝川の声。
三好 「エッ!エェェェェ!!!」
三好の叫びが虚しく、車の中で響くのであった。
主人公三好、いつ年齢紹介しようかタイミングが…。
設定上、30台前半です(理由あり)。