プロローグ
初めての執筆&投稿です。
甘々に評価して頂ければ幸いです。
肌寒い風がゴォォォと吹き抜ける橋の上。
俺は今、橋の欄干に手を掛け、必死に覚悟を決めている所である。
時刻は夜中の12時を少し回った頃。
本当は12時には落ちていた筈であるのだが、人間やはり生にしがみついてしまうものである。
痛いのは嫌だ。
何で俺だけ!?
道連れにしてやりたい…。
考えれば考えるほど、覚悟が土壇場でブレてしまい結果、躊躇、時間ばかりが過ぎてゆく。
そんな時間も半刻ほど経過した頃、男の耳に風とは違う音が聞こえ始めた。
辺りは真っ暗、橋の上。当然一人である。
「? 空耳か? 恐怖で幻聴でも聴こえてきたのかな?」
と男は自虐的な思考をした。
周りを見渡し橋の下を見た。
当然真っ暗で有り、人の気配も、霊感も無いから、それ以外の気配も無い。
ゴクッ
と生唾を飲み込む自身の音と、風音だけである。
いい加減覚悟を決めなければ…。
そう思い、改めて欄干に手を掛けた時、またしても、今度はさっきよりも明確に聞こえ始めた。
「… …にたい……?」
先程より明確に聞こえた音は、どうやら問い掛けのようである。
風の音でだいぶ途切れて聴こえてしまった。
男は視線を左右に振り向かせる。
誰かが死ぬのを止めてくれるのか?と期待してしまった。
当然、誰もいない。
男は落胆し、首や肩が自然と下がった。
そんな時、再度、問い掛けが明確、明瞭に聞こえた。
「 死にたいのか?」
音のような、声のような、よく分からない耳に残る問い掛けに、聴こえてきた方向、つまり上をバッと振り向く!
霊感の無い男はそこで人生初めて出会う。
死後に彷徨う幽霊というものに。
「ヒッ!!!」
男らしくない悲鳴のような音を上げ、そこで意識をブラックアウトさせてしまった。
壮年のような男性霊
「あぁ~ 穏便に声を掛けたが気絶しおったのぉ」
男性霊は首を振りながら男性を見つめ、しばらく待とうと漂い続けるのであった。