第8話 いきなり開店だー
「商品は用意できたぞ」
「それはよかったの」
「ところでどうやって店を開くんだ」
「そうそう。さっき、それ話そうと思ったら、行っちゃって」
「難しくはないよな」
「うん。お客さん集められたらね」
「お、おい!」
そうだった。
お店を始めるんだったら、集客がいるんだ。
まさか、テレビCMなんてあるはずがないし、ネットだってない。
チラシを作って配るとか?
おーい、それ先に言ってよ。
「だから、言おうとしたら……」
「どうやって客集めよう」
「その前に」
「まだ、何かあるのか!」
「お店を作らなきゃね」
「うわっ、そうだった」
どうやって店を作るんだ?
誰が作るんだ?
看板はどうしよう。
商品をどうやってレイアウトするんだ?
お店を開くには、いろいろと考えなきゃいけないことがあるんじゃないか。
商品仕入れの前に。
「そんなに大変じゃないの。これ、どうぞ」
赤と青の大きな棒が飛び出てきた。
どこから出てきた?
「細かいことはいいの。それは部屋を区切るツールね」
「どういうことだ?」
「それで床を囲うと、外の人が入れる場所ができるの。赤が異世界の人で青が元世界の人ね」
「どれどれ」
店は扉の方にするのがいいだろう。
異世界への扉の方、部屋の半分を店にしよう。
と、なると真ん中にあるベッドは邪魔だな。
こっちへ移動させようか。
ベッドの重さが分からないから力を入れて動かそうとすると、やたら軽いことが分かった。
1㎏もないんじゃないか。
まぁ、いいや。
ベッドをどかして、赤い棒で部屋半分を囲う。
おおーーー。
赤い線が出てきて、四角く囲うと半分の床が真っ赤になった。
赤い床と白い床の境界に半透明の壁が出てきた。
「この壁は何かな?」
手を伸ばしてみると、半透明の壁は通り抜けてしまう。
壁って訳じゃないみたいだな。
「それはマスターにとっては壁じゃないけど、異世界の人にとっては壁なの」
「ほう。じゃあ、俺以外は通れない壁ってことかな」
「その通りー」
うん、そういうことか。
この赤い床の部分がお店になる訳か。
「それじゃ、商品棚とかどうやって作るんだ?」
「外から持ってきて」
「なんだと、なんか棒とかでできないのか?」
「いまのレベルだとできないの」
うーむ、レベルアップしないといけないのか。
レベルアップするには、売らないといけない。
おーい、なんともならないじゃないか。
「でも、最初は床置きでいいんじゃない? もしくはベッドを使うとか?」
ベッドか。なんか自分も寝るベッドだよな。
ちょっとそれを店に使うのはどうかと思う。
「床で行くとするか」
「異世界の人はそんなに気にしないと思うよ」
「それだといいな」
とりあえず、試しだ。
買ってきた商品を並べてと。
時計とライターと胡椒。
なんか、縁日の輪投げぼく感じるが……まぁ、いいか。
店の作りより、商品で勝負だ。
「できたぞ」
「それじゃ、お店の入り口を作りましょう」
「どうやって?」
「このプレートを異世界の街のどこかの壁に張ればいいの」
「ん、それを張るとどうなるのか?」
「自動的に扉ができるわ、壁にね」
「えっと。壁の向こう側はどうなるんだ?」
「その扉になるの」
なんだか、よくわからないな。
まぁ、やってみればわかるか。
「じゃあ、張ってみるか」
「あ、その前に」
「なんだ?」
「店の名前を決めてね」
「名前か。苦手なんだよな」
「どうせなら、すごそうな名前がいいかも」
「すごいそうか。でっかい店ぽい名前がいいのかな」
世界最大のショップっていうと、どこかな。
あー、今はネットショップが一番大きいな。
うん、世界最大のネットショップの名前を借りるか。
ついでに、頭に大を付けてみればいいか。
「名前は決めたぞ。『ビッグ・アマゾーン』だ」
おおっ、さっきもらったプレートに名前が入ったぞ。
ビッグ・アマゾーンって。
なんか恥ずかしい名前だが、どうせ異世界ならわからないだろう。
これで準備万端。
行ってみよう。
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