第62話 また女の子を拾ってしまった
「大丈夫?」
オーク肉の店で夕食にしようと思っていたら、女の子を拾ってしまった。
スラムの入り口くらいの場所だから、きっとスラムの子だろう。
怪我でもしているんじゃないかと思って、声を掛けたんだけど大丈夫らしい。
色々と聞いてみたら、腹の虫が答えてくれた。
要はお腹が空いているのね。
恥ずかしそうにしている表情が可愛くて、つい言ってしまった。
「あれ? お腹空いているの?」
一緒にご飯食べるのもいいかなと。
最近は、メイド達もお店の子達も忙しくしている。
オーク太郎ラーメンを開店するために、トレーニングが入っているからな。
俺と遊びに連れ出すのはどうかと、ひとり飯にしようと思ったのだ。
でも、ずいぶんカワイイ子だな。
年齢は15歳くらいかな。
この世界では成人が15歳だから、もう大人なのかな。
「今日はオーク肉を食べようと思ってさ。食堂に行く予定なんだ。一緒にどう?」
答えはやっぱり腹の虫がした。
うん、行こう。
可愛い子と一緒に夕食か。
それも従業員でもない、普通に知り合った女の子。
もしかして。
これって、俺の異世界での初正式デートかもしれないな。
リムロムの時は、がんばっているお礼的な感じだったしな。
いや、異世界だけでなく。
日本も含めて初かもしれない。
そんなことを考えたら、緊張してきたぞ。
「おいしい。涙が出てきちゃった」
うん、よかった。
この食堂のオーク肉、美味いんだよな。
最近、ここばかり来ているな。
あー、だけど、デートと思ったら、話題が見つからない。
「えっと、趣味は何かな」
「趣味って、どういうこと?」
あ、いけない。
異世界のスラムの子だと趣味なんてあるはずがないか。
生きるのに精いっぱいだよな。
「でも…こんなおいしい物を食べさせてもらっても…」
話が盛り上がらないのを気にしていたけど、どうも大丈夫みたい。
うまいオーク肉がなんとかしてくれていた。
「いいんだよ。こんなにかわいい女の子と一緒にご飯が食べられるんなら、いつでもおごっちゃうよ」
なんだかんだ言って、次のお誘いの布石を打ったぞ。
大丈夫かな。
「本当!?」
あ、大丈夫そうだ。
よかった。
一回目のデートの目的は、次のデートの約束をすること。
そんな恋愛テクをネットでみたことあったな。
よし、目的クリアーだ。
娼館の女の子だと、もっと小さい子でもエッチするのが当たり前だからなー。
スラムでも、普通の女の子は違うから、気をつけない嫌われてしまうな。
今日は楽しく食事して、お話をする。
それだけで終わらせなきゃね。
「明日、時間作れる?」
「えっ、はい」
よし、明日、2回目デートだ。
あせるなぁー。
普通の恋愛なんて、苦手だからなー。
☆ ☆ ☆
次の日。
約束の時間にいくと、彼女は先にいた。
ピンク髪が可愛いな。
でも、もっとかわいくなるはずだ。
今日は、彼女をかわいくする日って勝手に決めている。
すらりとした身体に長い手足。
綺麗なピンク色の髪でピンクの瞳。
これに会った髪型と服装。
きっとあるに違いない。
そう思った俺は、食事のあとお風呂屋、洋服屋、髪切り屋と順番に回った。
特に洋服屋は地味な服じゃなくて、キレイな色の服にしたかったから、ちょっと高いところに連れていった。
富裕市民が行く店だね。
軽く金貨が飛んでいくようなところだけど、こっちのお金は余裕があるから気にするのをやめた。
とにかく似合う服を選んでもらって、値切らないで支払う。
うん、お金があるっていうのはいいことだ。
そして、いよいよ。
宿屋に向かう。
もちろん、目的はあれ。
エッチさ。
それは通じていたみたいだ。
抵抗もなしに宿屋の部屋に行って。
異世界は、お金があればモテる!
だんだんと確信してきたぞ。