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第32話 ファミレスにて

「ほら、リップオイルを塗るとね、艶が違うでしょ」

「確かにそうだな」

「色もついているから、色調も変えられるから便利よ」


うむ、これなら異世界のお姉さんも使えんじゃないか。

リップは使っているんだから、それにアドオンするって言えばな。


試供品を用意しておけば効果も実感できるしな。


それぞれの商品の使い方を教えてもらった。

しかし、最近の小学生はすごいな。


コスメに関して何でも知っている。

俺の知識なんて、とてもじゃないが追いつかない。


「こうやって艶々な唇で投げキッスするの」


あ、いかん。ドキっとしてしまった。

完全メイクをしていると中身が小学生だというのをつい忘れてしまいそうになるな。


「あ、今。ちょっと感じた?」

「そんな訳あるか」

「うわー、ロリコンだ。お兄さん、ロリコンなの?」

「ち、違うぞ」

「小学生相手に何、感じているの?」

「そんなはずあるか!」


ヤバイ。

日本で小学生に変なことしたら、それこそ社会的に抹消させるな。

単に百均のコスメ用品を買ったげて、使い方をレクチャーされているだけだ。

変なことなんかしていないぞ。


「うふふ、面白い。もしかして、あれ? 妹系が好きだとか?」

「妹っていうか、お前だと姪くらいだろう」

「あ、もっとヤバイ系?」

「おいおい。大人をからかうなって」

「なんで? なんで、お兄ちゃん、ダメなの?」


おいおい、ファミレスで何をするんだ。

声優の練習かなにかかよ。


「そ、そ、そ」

「どうしたのかな? ドキドキしすぎてちゃんと喋れない?」

「いい加減にしなさい!」


いかん、本気で余裕がなくなっているな。

深呼吸しよう。


だけど、昨夜はこいつと同じくらいの歳の女の子と……。

いかん、余計なことを考えると、ドツボはハマれそうだ。


「じゅあ、あと揃えるなら、これとこれね。あとはこれ」


仕入れる物を結局、女子小学生に選んでもらっている俺。

ちょっと情けないが、どんなに子供でも専門家だからな。


ここは、助かったということで素直に聞いておこう。


「あとさ、髪の毛は?」

「ん? 美容室は無しだ」


こっちの美容室を異世界には持っていけないからな。


「そうじゃなくて、ブリーチとか」

「なんだ? それ」

「髪の毛の色を変えるの。私もちょっと使ってるよ」

「あれ? 元々は黒髪じゃないのか」

「ちょっと茶髪なんだ。半端だから黒髪にしたの。ブリーチで」


また、新しい言葉が出てきた。


「ブリーチって白髪染めみたいなものか?」

「やーだ、白髪染めって。カラーリングって言って」

「カラーリングだな。だけど、茶髪を黒くするのはできるだろうけど、逆は無理だろう」

「できるよ。ほら」


髪の毛をかき分けたら、金髪が出てきた。


「学校いくときはまずいから、金髪は隠せるようにしているんだ」

「その金髪もブリーチか」

「そう。簡単にカラーリングできるんだ」

「すごいな、ブリーチ」

「あ、ブリーチはさすがに百均にはないわ。マツモトキンジで売ってるわ」

「いくらするんだ?」

「500円くらいからね。高いのは高いけど」


うーむ。

もしかしたら、異世界ではブリーチの需要があるんじゃないか。

金髪が特別視されているみたいだし。


ソフィちゃんなんか、ブリーチで金髪にしたら人気があがっちゃうんじゃないか。

そんな気がするぞ。


「いろいろとありがとうな」

「こっちこそ。いろいろと買ってもらっちゃって」

「また分からないことあったら、メッセするな」

「うん。また、新しいのがでたら買ってね」


今時のコスメ女子小学生と別れた俺は、百均とマツモトキンジへ買い出しに向かった。


駄目だぞ、その子は。

手を出したら犯罪者確定だぞ。


あっちなら、違法じゃなけど、こっちは違法だ。


なんてね。そのくらいのモラル、持っていると信じたい。



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