第29話 娼館と言っても、こんな世界もあったのか
「ここだよ」
「ここって。ここが娼館なのか?」
「ああ。ここが僕らが住んでいるスラムにある娼館さ」
「ずいぶんとみすぼらしいな」
「ここに来るのはスラムに住んでいるか、スラム生まれの男かどっちかさ。たまに旅人みたいのがガイド連れてやってくるけど、ちょっと覗いて逃げていくよ」
「まぁ、その気持ち変わらないないがな」
その娼館と言う場所は他の小屋と同じで竹で作られている。
柱も壁も竹で作られていて、竹は簡単に育つから材料代がやすく済むと青髪少年に教わった。
「スラム出身の冒険者は依頼を達成してお金が入るとここに来るんだ」
「駆け出しだと、収入も少ないからか」
「もちろん、それもあるけど。どうせお金を落とすなら、スラムでって気持ちもあるんだ」
「そうだよな」
「だから有名になった冒険者でもスラム出身だとたまにはここに来たりする。お菓子とかをたくさん持って」
そうやって、スラムにもお金が入ってくるのか。
この娼館は大切なお金の循環設備になっているんだな。
「もちろんさ、ここで女の子を選んで欲しいとは言わない」
「そうなのか」
「もちろん、選んでもいいけど。スラムの現状の一面を見てもらいたくてね」
そういうことか。
スラム生まれの青髪少年は、ここに俺を連れてきたのは仕事じゃないのだろう。
自分の生きてきた場所を見てもらいたい。
そんな気持ちなんだな。
「よし、いこう。どこから入ればいいのか」
「ここだよ」
ドアすらないな。
ゴザが掛かっていて、そこが入口らしい。
薄暗い小屋の中には、女の子が5人いた。
さっきまで、オーク骨ラーメンを食べて瞳をキラキラさせていた女の子達。
その子達と同じくらいの歳の女の子。
「おい、この子達は何歳くらいなんだ?」
「9歳から13歳くらいかな」
「9歳!」
小学4年生じゃないか。
だいたい、スラムの女の子は栄養がよくないから背が低くてガリガリな子が多い。
だから、もっと幼く見える。
だけど、そんな子供に厚化粧させて真っ赤な唇で目を大きく見せるために黒く縁取りしている。
日本じゃ化粧お化けって言われてしまいそう。
「店主は若い女の子が好きだと言っていた。だけど、ここまでくると無理かな」
「うーむ」
さっき、瞳をキラキラした少年少女を見ているから、より萎えてしまう。
いくら厚化粧しても、暗い気持ちは隠しようはない。
「よし、こいつら5人とも連れ出すぞ」
「ええーー」
「ただし、この顔じゃ無理だな。みんな顔を洗ってすっぴんになってくれ」
「まぁ、大丈夫だろうけど。いいのか?」
「ああ。5人とも俺が面倒をみてやる」
青髪少年が俺のことを尊敬の眼差しと獣を見る眼差しの両方入った目で見ている。
どんな女の子でも、できる。
それはすごいことなのかもしれないな。
「話はつけてくるね。連れ出し料金はひとり大銅貨1枚だよ」
「おう。銀貨で頼むぞ」
「じゃあ、大銅貨5枚のおつりだね」
「1枚はお前のガイド料だ。のこりはチップだ。女の子達に直接あげてくれ」
連れ出し料金は娼館が大半取ってしまうだろう。
直接女の子にあげれば、全部自分の物にできるだろう。
「分かりました!」
青髪少年は喜んで管理している人と交渉しにいった。
☆ ☆ ☆
「さあて、まずは飯か」
「えっ、さっき食べたよね」
「半ラーメンなんておやつだろ。お前もまだ入るだろう」
「ええ、もちろん」
「お前達も腹減ってるか?」
5人とも連れ出されて、どうなるのかビクビクしている女にの子達。
だけど、腹減っているか聞かれて、何か食べされてくれるの?って顔になっている。
「あー、腹減っているなら一緒に飯を食おうと思ったんだけどな。そうでもないからよすか」
「「「「「お腹すいてるっ!!」」」」
うん。このくらいの歳の女の子なんだから、正直に言わないとな。
たくさん喰って、もっ太くならなきゃな。
こんなことを日本の女の子に言ったら嫌われるな。
あっちじゃ、スリムな女の子が綺麗の条件なんだからね。
こっちだと、太っているってことはちゃんと食べられている証拠。
日本のモデルみたいにガリガリだと貧しいって思われてしまうな。
「じゃあ。スラムの中で一番美味い食堂どこかな」
「それなら、いいとこあるよ」
☆ ☆ ☆
「ここか。ずいぶんと大きいな」
オーク骨スープ番をしてくれたおばちゃんの食堂が8人も入れば満席になるのにくらべて、ここは5倍くらい広い。
まぁ、屋根が竹編みのゴザみたいなので壁がないのも同じだから、広いだけであとはあまり変わらない。
「この店はいろんな料理があって、量が多くてうまいんだ」
「あたしもここ、好き」
オレンジ色の髪の女の子が同意した。
連れ出した5人のうち、一番年上かな。
13歳だから、中学一年生くらい…小学生にしか見えないけどな。
こうしてみると、青髪少年も彼女と同じくらいの歳にみえる。
ずっと小学生だと思っていたけど、中学生くらいかもな。
まぁ、少年の歳はあまり気にしないけどな。
「ぜんぶで7人分の料理を頼む。そうだな。大皿で持ってきてもらってみんなで分けて喰おう」
「ここのおすすめは、シチューなんだよ」
「それもうまそうだな。他にもいろいろと適当に持ってきてくれ。食べたいものがあったらリクエストありだぞ」
青髪少年も女の子達もなにやら、いろいろとリクエストしているみたいだ。
育ち盛りの腹減らしがこれだけいれば、沢山頼んでも余ることはないな。
「さぁ、喰うぞ!」
3つのテーブルを合わせて大きなテーブルにしてもらった。
その周りに7人の男女が座る。
テーブルには続々と料理が運ばれてくる。
お勧めのシチュー、青菜の炒めたの。スパイスが効いた煮物。
パンはカチカチの黒パンだ。
堅いけど、シチューに浸して食べるとなかなかうまいな。
「おいしいっ」
「これのシチューがうまいんだよ」
「この煮物好きっ」
それぞれが好きな物を好きなだけたべている。
夢中になって。
日本だと、食べることにこんなに夢中にならなくなった気がする。
本当に腹がすく前に食べてしまうからかもな。
小腹が減ったと言っては、何かを食べて。
暇だからといってスナック菓子をつまむ。
食事のときには大して腹が減っていない。
だけど、目の前で繰り広げられている食事の風景は違うな。
空腹を大量の料理で満たす喜びに満ちている。
いいなぁー。
こういうの。
俺も負けないように喰わないとな。
おっ、うまいじゃないか。
素材の味を活かしているというか。
シンプルな味付けだな……ソースやケチャップでガンガンにジャンクに味が濃いのも好きだが、こういうのも好きだな。
ガツガツと食べる。
女の子も少年もガツガツ一心に食べている。
「ふう。おなか一杯~」
「食べた、食べた」
さすがに頼みすぎたようだ。
まだ残っているけど、食べきれないな。
「残してしまって、悪いな」
「何が?」
「だって食堂の人が気持ちを込めて作ってくれた料理だろう」
「気にしない、気にしない。余ったのは、ここの子供達が喜んで食べるよ」
あー、そういう仕組みがあるんだ。
それなら安心だ。
「さぁて、これからどうしよう」
「次は宿屋に行くのか?」
「その前に女の子達を風呂に入れたいな。ついでにお前も」
「僕はいいよ。帰ってから水浴びするから」
「そうか? じゃあ、風呂屋みたいなこと、スラムにあるかな」
「風呂屋じゃないけど、水浴びできるとこならあるよ」
「水じゃ冷たくないか?」
「慣れているから大丈夫さ」
そういえば、風呂屋は街にいくつかあるらしいけど、スラムあたりには無さそうだ。
お湯を用意するのは、金が掛かるから上級市民くらいしか入れないらしい。
「じゃあ、まずは水浴びさせよう。あと服がボロボロだから、なんとかしよう」
「それなら水浴びの後、夜市だね。あそこなら安い服をたくさん売っているからね」
「よし、その順番だな」
☆ ☆ ☆
薄汚れた感じがする女の子が水浴びをさせて新しい服を着させたら、ちゃんとかわいい女の子になった。
特に新しい服を買ってもらったら、嬉しそうにしている。
ニコニコしている女の子はいいな。
それだけで幸せな気分になる。
「さて、この後は寝るだけだな」
「そうだね」
「しかし、この人数だとどこへいけばいいんだろう」
「あるよ。そういう宿屋」
「そうなのか?」
「冒険者になったスラム生まれが帰ってくると、やるんだ」
「なにを?」
「ハーレム遊び。そのための宿屋があるんだ」
あー、男ってやっぱりそういうのあこがれがあるのか。
異世界物にハーレムがつきものなのは、男の永遠のあこがれだからなのかもな。
「そこに連れて行ってくれ」
「ハーレムだね」
「いやさ。若いどころじゃない。まだ子供達だろ。一緒に寝るだけだよ」
「まぁまぁ。気にしないでいいよ。男ならあこがれる状況なんだからさ」
「おいおい」
なんか、勘違いされてしまっている気がする。
こんなにかわいい子供達に手を出すほど野獣じゃないよ。
だいたいここんとこ。
エッチの回数がやたらと増えているし。
あっちじゃ、せいぜい月2回の風俗通いだったのが、金銭的には毎日だって余裕だし。
だから、飢えてなんていない。
かわいい女の子に囲まれて寝るのもいいかなと。
「そろそろ、いくぞー」
「「「「「はーい」」」」」
ちゃんと新しい服買っても、まだ服を見ている女の子達。
キリがないから、号令をかけてハーレム遊びの宿屋に向かった。
☆ ☆ ☆
「わーい。ふっかふか」
「まくらもやわらかーい」
「おっきー」
キングサイズよりさらに大きいベッドがどてんと部屋の真ん中にある。
他には、小さな机がひとつだけ。
そんなハーレム遊び用の部屋は、スラムから出てすぐのとこにあった。
スラムから連れ出しても、他の娼館から連れ出してもいいようになっているらしい。
部屋に入ったら、すぐに女の子達がベッドにダイブしはじめた。うん、子供ならやりそう。
その後はたくさん置いてある枕で、枕なげだな。
実際は、投げてはいないけど、枕を振り回して遊んでいる子がいる。
「もう遅いから寝るぞー」
「「「「「ええっーーー」」」」」
「子供の時間はもう終わりだよ。寝るぞー」
「子供じゃないもん」「そうそう」「ちゃん大人だよ」
化粧を落としたし、子供らしい服になっているから、どう見ても子供だな。
「いいから寝るぞ。俺が真ん中な」
「はーい、ここどうぞ」
みんながちょっと横に行って、真ん中が開く。
俺はそこにドデンと寝ころんだ。
「さぁ、寝るぞ。抱き枕役は誰かな」
「「「「わたしーーー」」」」
みんな手を上げているぞ。
あれ、一番上のオレンジ髪の女の子だけは手をあげていない。
それって、あれだよな。
最後はどうぞ、どうぞのパターン。
あれ、待ってても最後の一人は手を上げないな。
まぁ、いいか。一番小さな子が抱き枕だ。
「今日は君だ!」
女の子は温かいな。
特に今日はたくさん食べたから体温高めなのかもね。
甘くていい匂いもしてるし。
「ねぇ、本当に寝ちゃうの?」
下の方から、一番年上のオレンジ髪の女の子が聞いてくる。
「そりゃ寝るさ。夜は寝る時間なんだぞ」
「せっかく、こんなに女の子がいるのに。本当に寝ちゃうの?」
おいおい、何、足をすりすりしているんだ?
あれ、こっちの子はほっぺたにキスしているし。
5人の女の子がすりすりしたり、キスしたりしたら……やばっ。
「ほら、大きくなった」
嬉しそうなオレンジ髪。
大きくなったのをすりすりしてる。
「だ、ダメだって」
「何がダメなのかなー」
うわっ、こいつ慣れてるなー。
男の習性知り尽くしてない?
「あー」
ダメだ。抑えきれない。
やっぱり、ハーレム遊び、することになりました…ちゃんちゃん。
主人公は真正ロリコン、確定です。(笑)
よかったら、↓で☆評価もしてね。こんなロリコン主人公だけど。