第12話 一攫千金はお預けだ
「さて。何を買うかな」
退職届を課長に手渡して、こっちの世界のしがらみを片付けた。
思ったより、簡単に受け取ったな、課長。
「そうか」
その一言だった……想定外だった。
まぁ、終わったことだ……気にするのはやめよう。
それよりも仕入れだ。
今日の予定は1万円分。
そのために、大きめのデイバックを持ってきた。
懐かしいな。
学生の頃。何度もアジアの国々をこいつを背負って歩き廻ったな。
異世界もこいつと一緒に行くとするか。
いや、異世界じゃなくて狭間の世界までか。
「そうだ。まずは帳面がいるな」
商いをするんだから、ちゃんと帳面はつけないとな。
もっとも、簿記など知らないから、小遣い帳みたいなものになるだろうが。
線が引いてあれば、なんでもいいか。
「これでいいか。コンパスノート。有名文具メーカーのパクリだな。A5サイズだと2冊入りね。100円で2冊ならお得だね」
あとは、筆記具。
会社では社名入りのボールペンを使っていたけど、どうせだから鉛筆にしようか。
ほう、1ダース入りで100円か。
鉛筆も安くなったものだな。
俺が小学生のときはもっと高かったはずだ。
あと、消しゴムもこの5つ入りのでいいか。
シンプルな四角い奴がいっぱい入っているのがいいな。
鉛筆削りは……カッターでいいな。
異世界に行くんだから、鉛筆くらい削れないと、だな。
えっと、替え刃はついてないのか。
こっちの細いカッターなら、替え刃3本付きか。
どっちがいいかな…おっと、太い替え刃が10枚で100円。
なんか、お得感があるな。
あとは、色鉛筆もありかな。
マークとかするのに使える気がする。
おっと、メモもいるな。
「こんな商品が売れるんじゃないか」
そう気が付いたら、すぐにメモをする。
メモ習慣もつけよう。
このかわいいのがいいな。
メモは実用性より、持っていて楽しいがいいと思う。
大きさもちょうどいいし。
おっと、自分用の文房具はこれくらいにして。
商品を買わないとな。
まずは飴だな。
これは人気が出ると想定できる物だから、多めに買っておこう。
袋入りのを5種類で全部で30袋。
だいたい10個入りくらいだな。
他に何を買おう。
今度は失敗しないように一攫千金ではなく、確実に売れそうなのを選ぶとするか。
このブラシはどうだろう。
何時の時代も女性は髪を大切にする。
なんかよくわからないけど、ブラシの長さが違ってすっと梳けるらしいぞ。
まぁ、日本の100均の品質を信じよう。
これを10個で。
あ、これはどうだろう。
アイシャドーっていうのかな。
なんか、4色くらいあって綺麗だから、女性が喜ぶかもしれない。
あのチョビ髭おっさんが、なんとかいう娼婦の為に買うかもな。
色のパターンがいろいろあるな。
どれがいいか分からないから、それぞれ3つ買っておこう。
無難な色セットから、こんな色ばかりでいいんだろうかっていうセット。
全部で12個と。
あとは、石鹸かな。
お花の香りの石鹸か。
良いかもな。
石鹸って使っているか分からないから、5個だけ買っておこう。
売れなかったら、店で使えばいいし。
あとは口紅かな。
アイシャドーとセットで買ってくれないかな。
こっちも色を混ぜて12本っと。
全部でいくつだ?
売る商品で74個か。
そんな物かな。
あとはカップラーメンを買っておこう。
あ、ダメだ。
菓子パンにしておこう。
狭間の部屋だとお湯がないし。
菓子パン3個とジュースのペットボトル。
これで非常用の食事はいいかな。
もっとも、ちゃんと商品を売ってその金で肉串を買いたいとこだけどな。
どうなるかな?
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