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第11話 異世界の前に片づけることがあったな

「昨日は失敗したな」


さすがに反省した。


異世界は中世ヨーロッパみたいなとこだけど、全然違う世界なんだ。

だいたい魔法があるし、魔物がボッコしている。


同じはずはないだろう。


だから、何が売れるか、分かりはしないんだ。

なら、どうしたらいいんだ?


俺は面積が半分しかなくなってしまった白い部屋で悩んでいた。


昨日はどっと疲れが出てしまって、ここで寝てしまった。

何もないけど、暑くも寒くもないから、気持ち良く寝れた。


だいたい、最近はいろいろと悩みが多くてよく寝られなかった。


だけど…なんか、すっきりした。


で、今日の予定は会社に辞表を出すこと。

よく考えてみたら、悪いのは俺じゃなかった。

会社が悪い。


どんなにがんばっても、終わらないようなスケジュールを組む会社。


「小さい会社なんだから」

「この仕事がダメになったら会社もな」

「とにかくこなすしかないんだ」


そんな言葉をいつしか信じていた俺がいる。


しかし、狭間の世界に行って、異世界に行った。

そのことで、一気に目が覚めた。


常識なんて、役に立つはずはない。

そう、異世界を知る前の常識は、役に立つはずがない。


それを昨日は痛い目を見て、知ることができた。

そして出した答えがこれ。


「会社は辞めよう」


俺が辞めたら残ったやつらに迷惑が掛かる。

そんなことない。


そもそも、うまくいかなくなった会社を無理無理続けている意味がどこにあるのか。

一緒にやっている連中だって、さっさとダメになった会社を辞めて、将来性のある会社に移ったほうがいい。


社長?

そりゃ、社長が会社をつぶすことはできないだろうな。


すでに会社一辺倒になって家族から見離されて、娘さんを連れて奥さんは実家に帰ったと言っていた。

判を押した離婚届が送られてきて、離婚専門の弁護士から電話が掛かってきた。


そのあと、どうなったかは聞いていないけど、離婚したんだろうな。


「家族の心配がなくったから、本気で巻き返すぞ」


そんなことを何度も言っていたしな。


今、社長から会社を取り上げたら、何が残るのか。

借金くらいだろう。


社長はもう定年を過ぎた歳だし、再就職が難しいだろう。


それがなんだというのか。

家族もいないから、自分の生活費だけ稼げばいい。

最悪、生活保護という道もある。


だいたい、それを考えるのは会社がつぶれた後の社長だ。


自分のことは自分でなんとかする。

それがどっちの世界でも、常識なんじゃないか。


それをなんだかんだ言って、社員に押し付けるのは非常識なことだ。

ということで、辞表を書くことにした。


それを書くこと、そして会社にそれを持っていくこと。

その後、1万円くらい100均で商品買って、ショップに持っていく。


どこからでも、狭間の世界には行けるから、予定の午後1時には着くだろう。


教会の3つ鐘というのは、午後1時のことらしい。


正確には教会の昼3つ鐘というらしい。


一時間に一回なる鐘で、日の出の時から朝の1つ鐘がなって、4つ鐘まで。

その後、昼の1つ鐘がなって4つ鐘まで、その後は夕の鐘で1つから4つ。


そんな時間システムになっている。


さて、会社に行くとするか。

その前に一回、俺の部屋に戻って、退職届を書いて。


よし、いくぞーーー。


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