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この世界での、第一異世界人!って、ちょっ!…


春だ―――!!!


この世界に来て、春、夏、秋、冬を過ごし。

たぶん、二度目の春!


ビックリしたのは、昨日まで雪の少し残るまだ寒いなぁってくらいだったのに、月が変わった瞬間に暖かさが増したこと。

ドラゴンさんは毎回こんな感じだと。俺知らなかったなぁ。ここにいたのになぁ。あっるぅえぇー。


まぁ、いいけど。




そうして春の季節になると、ドラゴンさんは森の奥に帰っていった。

ここ最近ずっといたから俺は違和感なかったけど、ドラゴンさんはずっと人間の姿だと少し疲れるみたい。それよりも飯をとるあたり、ドラゴンさんらしいな。


ドラゴンさんから

「春が始まって雪が解けきるくらいに人間が森の警邏(けいら)に来る。だが、ここまでは来ずに手前の村の周辺の確認をして帰っていくだろう」

と言われた。



…俺、人間に会えない可能性高いなぁ。

んー。ちょこちょこ気にしてたけど、ちょっと森の中過ぎたかもな、ここ。


まぁ、あと2年くらいはこのままの平和でいいかもなぁ。







本読んで新しく用意したロッキングチェアに座っていると。


「…ん?」


なんか。引っかかる感じ…?

なんだろ。んー。


…あっ、わかった。

これ、結界に何かが引っかかったときの感覚だ。前に鳥さんが来た時もこんな感じだった。


ん?なんか来たのか。外でてみるかぁ。



外に出てみると、空に鳥がいるわけでは、なかった。

あれ?虫にしては引っかかった感じが大きかったんだけど。


そう思って。家を一周してみる。


と、裏に当たるところから。


「お?」



人、発見。



!??!??!

ひとだ!!!!!!


第一異世界人!!!!!!!



って、興奮している場合じゃなかった。


森の中から草をかき分けて出てきた…あれは男の人だ。見た目は20代後半くらいかなぁ。ちょっと汚れて見えるけど、着ている服はかなりいい物っぽい。てか、俺より身長ありそう。高めにしたのに、上には上がいたか。

…って、あれ??ケガしてない?!


おうっ、倒れた!ちょっ!!




そうして、倒れた男の人のところに行くと、前はちょっと汚れてるなってくらいだったのに、背中がまずかった。これは、爪痕?!それもかなり大きい爪なのかザックリと。…そんな。



ここの森には、こんな爪痕を、残せるのは、ドラゴンさんくらいしか、いない。



まずい、犯人が、ドラゴンさんかも。







でも、今はそんなこと考えてる場合じゃないっ!

とりあえず、最近ドラゴンさんの水属性講座で教わった、応急手当をっ!


「水よ、()の身に纏いて、清めよ、《浄化》」


すると、男の人の体の周囲に水が漂い、傷に向かっていく。

治癒魔法と言われるものは、光属性と水属性のみで、それ以外は治癒はないと常識くんが言っていた。

しかし、本の一つには、魔法とは全般的に想像がモノを言うのであり、治癒もやろうと思えばできるはず。と書かれていた。


って、そんなことやってる場合じゃないんだっ。

水魔法が落ち着くのを待ち、水気が無くなったところに、光属性。


「〔細菌から守れ、光の結界〕」


光の結界魔法で覆い、浄化した状態を維持させる。これもドラゴンさんからした方がいいって教わった。



うん、光属性の治癒魔法も確かに存在する。しかしな。


おれ、使ったこと、ない。


そんなぶっつけ本番はしませんよ!!こわいっ!

ってことで、結界に入れた男の人を、結界ごと運ぶ。

結界を下は平面に、上は球体にすることで、余裕を持たせる。


あ、俺が直接運ぶとかしないよ。だって、それするだけの筋肉ないからな。…言ってて悲しい。




応急処置後は家に連れてく。この辺に俺の家しか安全な場所ないのは重々承知なので。


この人は、なんでこんな怪我を…。


いつぞやの俺がお世話になったドでかいソファにとりあえず寝かせる。

一度置いといて、本棚と本棚の間に存在するスペースに向かって。


「増築」


ピアスを触りながら言う。

すると、扉が出現し、それを開けると、さっきまでなかった部屋の完成。

中に入って、ベッドと椅子と机を置く。ひとまずはこれで、あとでいろいろ変更しよう。


もう一回、ソファの方に戻ると、男の人の入った結界を動かす。ここはもう完全イメージ。魔法すごい。いや、古代魔法が、か。


ベッドに男の人を移動させて、結界をもう一度張りなおして、




はぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁ。


とりあえず、今やれるのはこれくらい。

いつもだったらドラゴンさんに聞く。でも、ドラゴンさんを頼っていいのか。分からない。


なので、最近使ってなかった。常識くんに聞こう。

紙と、ペンと。よし、やるか。




ってところで、扉の開く音。

うっそ、まじかよ。



そこにいるのは、人間の姿をしたドラゴンさん。



無意識に、息を、呑む。


「…ここに怪我をした人間は、来たか?」


答えるべきか。…分からない。

でも、今までの生活から、ドラゴンさんがあんな風に、攻撃するなんて考えられないんだ。


「……来た。…教えて、あの傷は」


「…おちつけ、あれは俺がやったものではない」


信じる。信じたい。


「…………本当に?」

「あぁ」


さっきの扉は、古代語の光属性魔法で、隠している。結界を平面に貼り付けることでそうした。なおかつ魔法防御と物理防御の結界も。

なので、とりあえず、あの人に何かするのは、ドラゴンさんでも、魔力操作が上達した俺のだから、難しいはず。



信じる。信じるよ。ドラゴンさん。


「…教えて。なんで、あの人は怪我を?」

「この森には、春になるとこの森を領土とする国の人間が、警邏しに来るのは言ったよな」

「うん、言ってた」

「あの人間はその一人で、他にも何人かの人間と警邏をしていた。俺は特に問題を起こさなければ無視していたんだが」

「うん」


「俺に挑戦しようと来る魔物とぶつかってしまったようだった」


「…ドラゴンさんに挑戦する魔物?」

「前、言っただろう」


あ、そういえば。ドラゴンさんはこの森の守護者で。たまに、森をかけて、もしくは力試しで、ドラゴンさんに対して挑戦しようとする者が来るって。

その訪れた魔物と当たっちゃったってこと?


「…魔物はすぐに追い返した。怪我をしていたのは一人のようだった。だから、その、証拠がないんだが…俺はしていないぞ‥」


…なるほど。そっか。なるほど。ドラゴンさんはむしろ守ったんだ。うん。

証拠はないけど、ドラゴンさんのその目は信じるに値するよ。


てか、なんで落ち込んでるの。疑ってごめんよ。


「ごめん、疑った」

「いや、仕方ないさ」


そういってちょっと微笑むドラゴンさんのなんと心のお広いことか。ひょえぇ。


「…それで、その人間はどうした?血を追ってきたら、ここについたのだが」


「あっ、応急手当だけしたんだけど、そこからどうしたらいいか分からないんだ」


「…光属性の《再生》が できればな」


うーん、俺まだやったことないからな…。


「…それで、どこにいるんだ?」


あぁ、まだ隠したままだった。


「ここ」


そう言って、結界をなくす。一応、念のため、防御系は残して。


「…ほう、これはすごいな」


お、ほめてもらえたー!


「…攻撃はしない、絶対だ。外してくれ」


その言葉で防御系も外す。扉をおして、部屋に入る。




「…ちょっと探るぞ」


ドラゴンさんは、それから水を操り、男の人に水を這わせる形で包んでいく。


「…とりあえず大丈夫そうだ」


水をなくして、こちらに向かっていうドラゴンさんの目には、お疲れ様って見える。よかったぁ。

でも、これだけじゃ、本人の自然治癒に頼るしかなくて、それだと、きっと、間に合わない。


「やっぱり光の治癒を使えるようにしなきゃ」

「…そうだな。俺は水しか使えない」


もちろん、そこは俺の仕事。

んで、常識くんに聞いて、光属性の教本を読んで、覚えたのはいいけど。

ぶっつけ本番は怖いな。


「…これを治せ」


差し出してきたのは自分の爪で傷を作ったドラゴンさんの腕。って、ちょぉーーー!!!!


「なにやって」

「実際に治すのは、こうするのが一番だ。今回は俺のせいでもあるからな」


ドラゴンさんのせいじゃない。けど、ありがたいので、練習させてもらう。

数回やっても失敗しないので、大丈夫と判断して。


「光よ、()の身に纏いて、癒せ、《再生》」


そうして光を放ちつつ、男の人を包んでいく。光が収まる頃には、つらそうな男の人の表情が少し柔らかくなったかな。意識は相変わらずないけど。


「…人間の身で、治癒は一日に何度もするものではない。あとは、こいつの生命力次第だな」

「明日するのは、大丈夫か?」

「あぁ、昼くらいなら」


そっか、じゃあ、明日もう一回だな。

結界で覆っているから、背中に体重とかで負担がかからないようにしている。そのため、傷に当たらずに済んでいるが、これからどうしようかな。





男の人を部屋に寝かせ、とりあえず、喫茶スペースに戻る。


「…あいつは俺の正体を知ったら、取り乱すかもな」


聞くと、ドラゴンさんの元の姿を見ているし、戦いも見ている可能性がある。

もし意識が戻って、ドラゴンさんが目の前にいると分かったら、パニックになるかもしれない。

確かになぁ。ドラゴンさんがいくら攻撃してきたわけじゃないって分かってても安心できないかもしれないよなぁ。ちょっと悲しいけど。本当はこんな優しいのに。


「よって、俺のこと。ドラゴンなんて呼ぶなよ、人間」

「ほ?」


あ、そうか、俺がドラゴンさんって呼ぶのもダメなのか。そーかそーか。


「…何と呼べば?」

「…勝手に呼べ」


えー。…えぇーーーー。


「…とりあえず、気が付くまでは治癒をしておけ」

「分かった」

「ほかに被害がないか見てくる。…また来る」


いってらっしゃーい。

ドラゴンさんを見送る。




はぁ、名前、か。




………ま、後ででいいや。男の人の様子みとこー。






それから4日。男の人の意識は、まだ、覚めない。





この話から、日の読み方は異世界仕様に変わります。


詳しく言うと。

1日前・1日後を併せて1日間

明日と書いてあるのは、1日前の次の日、1日後のことを指します。異世界でいう、半日後です。


~日後、と書いてあるのは、地球でいう倍の日が経ったと解釈してください。


何故この設定なのかは、既に決めているので、いつか説明します。



とりあえず、10話目指して頑張りまーす!

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