《なれの果て》二章
「ギベット? おい、ギベット、起きろ?」
「…………んんんっ」
「起きろってば」
「…………むぅ、なぁに?」
「ヘンリクスはどうだった? 話を聞かせてくれよ」
「…………おもしろかった」
「何が面白かったんだ?」
「…………あのね」
「うん」
「…………人がいっぱい」
「ノバインにだっていっぱい居るじゃないか」
「…………ちがう人」
「何が違うんだ?」
「…………へんな人も居た」
「なんだそりゃ」
「…………あとね、珍しい木も見つけた」
「へぇ、ギィが好きそうだな」
「…………」
「どうした?」
「…………痛い?」
「え? 何が?」
「…………血、でてる」
「ああ、これか、大丈夫だよ」
「…………学校で、ちょっとだけ治す魔術を教えてもらった」
「そう言えばギィは練成魔術が得意だったな。治してもらえるかな?」
「…………まだ、覚えてないけど」
「あら、なら次の機会にだな」
「…………うん」
「ギベットはもう飛べるようになったか?」
「…………少しだけ、あのね、難しいんだもん」
「それなら大丈夫だ、自信を持って。タクトは持っているな?」
「…………うん、これ」
「それじゃあ、ここから外に出るんだ。それで人が居る方に飛んで行くんだよ」
「…………でもゆっくりだよ?」
「ゆっくりでいいから、それで大きな声で、助けてって叫ぶんだよ」
「…………大きなこえ出すと疲れる」
「そんなこと言っていられないだろ?」
「…………むぅ」
「それじゃあホラそこの隙間から出て行くんだ」
「…………」
「どうした?」
「…………いっしょ?」
「いや、俺は飛べないし、ホウキも無くしちゃったから」
「…………やだ」
「そんな事言っていられないだろ?」
「…………やだ」
「もうすぐここも崩れるんだから、早く」
「…………やだ」
「崩れたら落ちちゃうんだよ?」
「やだ、やだ、やだ、やだ」
「なぁギベット?」
「いっしょっ! いっしょじゃないとやだっ!」
「ギィ……」
「いっしょ、ね?」
「そうだ、ならギベットが先に出て誰か人を呼んできてくれないか?」
「…………ギィが呼んでくる?」
「俺を運んでくれる人を探してくれれば、それが一番いいかもな」
「…………わかった」
「早くしろよ、もう、ここも持たない」
「…………まっててね」
「ああ、お姉ちゃんたちと仲良くな」
「…………すぐ連れてくるからね」
「早くっ!」
――もう崩れるっ!




