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無名ゲームデザイナー、ゲーム世界の神となる  作者: 遠野空
第七章 ベルザーグ、他国遠征を決意
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オレカメ、大人気


「……では、私になにかお手伝いすることがありましたら、ぜひ」


 ベルザーグの説明を聞いた後、ヴァレリーが少し残念そうに申し出てくれた。


「どこにでも参りますし、どんな些細なことでもお手伝い致します!」


 深々と頭を下げて言う。

 どう見ても、愛想では有り得ない本心かの言葉だった。

 ベルザーグが感激したのは言うまでもない。

 しかも、あたかも機会を待っていたかのように、ローランドが口を挟んだ。


「ベルザーグ様、僕にお与えくださった映像記録器……確か、マジックカメラだったと思いますが、この際、ヴァレリー様にもお渡しになるのはいかがでしょう?」


 何気ない口調で彼が持ちかけた途端、なぜかヴァレリーが深呼吸でもするかのように、息を吸い込んだのが印象的である。

 それに、グラガンがいたく感心したようにローランドを見たのも。

 二人の視線を無視して、彼が続けた。


「……僕の仕事は諜報活動がメインなので、実に役立つアイテムですが。でもヴァレリー様も手元にアレがあれば、いろいろと便利かと。なにしろ、実物と変わらない記録を残せますし」

「ああ、マジックカメラか」


 あの撮影のためのアイテムは、当初「俺が創造したカメラ的アイテム」という意味で、オレカメという名称にしようかと思ったのだが、一夜明けて恥ずかしくなり、穏当なネーミングに落ち着いたという経緯がある。


「構わないが、あれは撮影するにしても動画を撮るにしても、使用者のMPを消費するぞ?」


 首を傾げて後でヴァレリーのステータスを思い出し、ベルザーグは苦笑した。


「いや、おまえにとってはアレの消費MPなど、痛くも痒くもないな。……それでヴァレリー、おまえの気持としてはどうだ、本当に欲しいかな?」





「――はいぃい!」


 おわっと思わず仰け反りそうになる、ヴァレリーの大声だった。

 隣にいるのにぐっと身を近づけ、興奮気味に見つめてくる。よほど欲しかったらしい。

よもや、自分の(ベルザーグの)画像が欲しいためだとは思わず、ベルザーグは彼女の勢いに驚いた。

 まさか、あのオレカメが大人気とは!


「アレが人気だとは思わなかったな……いやまあ、別に欲しいならあげよう。話し合いが終わった時にそれも一緒に」

「あ、ありがとうございますっ。ありがとうございますっ!」


 大事なことなので二度言いました的な様子で重ねて礼を述べ、ヴァレリーはさらに、ローランドの方にまで深々と頭を下げていた。

 ……なにをそんなに喜んでいるのか不明だが、あんなもので喜んでもらえるなら、ベルザーグも嬉しい。


 一緒になってニコニコしていると、真面目なローランドが話を戻した。





「ところで、北方も風雲急を告げてきたようですが、それでは今我々がいる、この帝国西部はいかがされますか?」


 落ち着いた声で尋ねた。


「もうしばらく捕虜達の尋問を重ねた後で、僕はお借りした飛行戦艦で侵略してきたロシュフォール帝国へと飛ぶつもりですが」

「うん、そっちの情報収集はおまえ達二人に任せる。ただ、くれぐれも用心してくれ。大型船で空を飛んだら、目立つのではないかな? それとも、ハイランダーが備えるような不可視モード的なものがあるのか?」

「いえ、そういうシステムはないようです。ただ、海中に潜れる機能があるようなので、上陸する前に海に隠そうかと」

「わかった。もしも現地で危ないと思えば、ブラックカードで逃げるといい。創造世界外の国とはいえ、一度到達した場所からなら、可能なはずだ」


 ローランドとグラガンが礼を述べて低頭してから、ベルザーグは表情を改めて告げた。


「そしてもちろん、私自身も戦う!」


 ベルザーグが宣言した途端、三人の視線が集中した。




「北と西、いずれの敵へ最初に当たるべきかは、妹を起こしてから決めることにするが。いずれにせよ、私は自ら遠征するつもりだ!」


 力強く話し終えた後、三人を順番に見た。


「協力を請う時があるかもしれないが、その時には頼むぞ!」

「請うなどと……どうかお命じください」


 ヴァレリーが腕に縋りつかんばかりに申し出たのを皮切りに、ローランドやグラガンも次々に同様のことを言ってくれた。

 ただベルザーグとしては、文明度が高いように思えるロシュフォール帝国とやらへ情報収集に赴くローランド達は、なるべく邪魔せずに活動できるようにしてやりたいと思っている。


(だが、ヴァレリーの力は借りる必要が出てくるだろうな……いや、その前に我が妹か)


 設定上は唯一の肉親だが、もちろん血は繋がっていないし、彼女もまた、ベルザーグが創造した者には違いない。

 ただ、あの妹は逆の意味で、あまり頼りにするとまずいかもしれない。


 いわば……ちょっとした紛争解決のために、大げさにも核兵器のボタンを押そうとするのにも似ている。


 要は、力が過剰すぎるのである。

 しかも、本人はその力を行使するのに、なんのためらいもないのだった。


(問題だよな、やっぱり)


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