表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無名ゲームデザイナー、ゲーム世界の神となる  作者: 遠野空
第四章 真の拠点は蒼天にあり
45/118

一年でいろいろ育ちました


 ただ、卒業生代表の挨拶としては、今のはどうなのだろうかとベルザーグが考えているうちに、結びの言葉では一転して穏当に「卒業生一同、がんばります」的な優等生表現で挨拶を終えてしまった。


 もっとも、聴衆は少し意外な挨拶に驚いていたが、生徒達の列からは特に驚いたようなざわめきはなかった。ひょっとしたら、日頃から慣れているのかもしれない。

 そしてシャロンが壇上を降りる時は、双方から割れんばかりの拍手が鳴り響いたのである。


(カリスマ性の高さは伊達じゃないな……)


 ベルザーグは、密かに感心してしまった。






 ただ、ベルザーグが本当の意味で驚いたのは、実はこれからだった。

 滞りなく卒業式が終わり、卒業生百名が一斉に歓声を上げ、それぞれ自分の家族の元へ走ったり友人達と歓談したりしている時――


 シャロンは、こそっと会場を出たベルザーグを追いかけて来たのである。


 今の彼女には使用人はいても、血の繋がった家族はいないので、ここまではベルザーグの予想通りだった。




 ちょうどよい機会なので、新たに帝国の東部地方全てを任せるにあたり、打ち合わせをしておくかと――

 ……そう思ったのだが、振り向いて待つベルザーグの元へ、なんと彼女は小走りに駆けてきて、そのまま胸に飛び込んで来た。


「ベルザーグ様!」

「――おおっと」


 創造主にあるまじく、思わず妙な声を上げてしまったのも当然で……制服姿の彼女はただ胸に飛び込むだけではなく、自らも両手を回してしっかり抱きついてきたのである。

 正直、最後に会った一年前までは、最大でも手を握ったり腕を組んだりのスキンシップまでが最高だったので、ひどく驚いた。

 そもそも、自ら腕を組んでくるだけでも、ファニールやヴァレリーなどに比べれば、段違いの積極性なのだが。


「我が神、我が創造主……そして、愛しの君。貴方はひどいお方です……わたくしを一年も放りっぱなしで!」


 背伸びしたシャロンが、耳元で睦言むつごとのように囁く……少なくともベルザーグはそう感じた。


「い、いや、本当に済まなかった。このところ、異国の侵攻などがあって、忙しくてな。私も天上界でのほほんとしている場合ではなく、今や本格的に生身の肉体を使って飛び回っている状態だ」

「まあ!」


 ようやく、やや驚いたような声を上げたのは置いて。

 せっかく親しげに抱きついてくれたのに棒立ちはまずかろうと思い、ベルザーグも彼女の腰に手を回し、抱き締め返している。

 身長差は多少あるが、それでもこの子は、ヴァレリーに引けを取らない百七十五センチくらいの身長にまで育っていた。


 前は今より十センチ近く低かった気がするので、驚異的な伸び方と言えるのではないか。

 しかも、別に育ったのは身長だけではなく、もはや胸も立派に膨らみ、純白ブレザーの上着を押し上げている。上着と同色の短いフリルスカートに包まれたお尻も、以前のように曲線に乏しいものではない。

 上から見下ろす限りでは、もうかなり丈と……ヒップサイズが合っていないような気がする。


 相変わらずほっそりした印象は変わらないのに、他の女子生徒が羨むような理想的な成長の仕方だった。……まだ十五歳だというのに。

 そこまで考えたところで、ベルザーグはストレートの金髪からほのかに漂う香りにたじろぎ、思わず中の人である一郎の立場で考えてしまった。


(ていうか、ちょっとファンタジー入っているとはいえ、ここの制服は日本の女子高生のブレザータイプとそう変わらないんだよな。……ということは今俺は、育ち盛りの女子高生と抱き合っているのも同然なわけで)


 だいたい制服も着用しているというのに、ブレザーとその下のブラウスとさらに下の下着をものともせず、ちゃんと胸の豊かさと弾力が感じられるのがとんでもない。

 まあ、この子が思いっきりしがみついているせいだが。





「ほら、そろそろ離れた方がいい」


 衝動的に腰に回した手をさらに下に伸ばし、思わずお尻の曲線を確かめそうになり、ベルザーグは自ら身を離した。

 もう肉体的には大人と変わりないし、自制心に自信がある方でもないので、そのうち本当にまずいところを触りまくりそうな気がする。

(だいたい、俺の自制心ほど、信用ならんものはないからな……特に性欲に対しては!)



 しかし、離されたシャロンは不満らしく、可愛らしく唇を尖らせていた。


「久しぶりにお会いしたばかりですのにっ」

「確かにそうだけど、級友もちらほら外に出てきたし、目を丸くしてこっちを見ているよ? いろいろ噂されたりするだろ?」


「誰に見られたところで、わたくしは気にしませんわ」


 相変わらず、光を放つような特徴ある碧眼で、悪戯っぽく言う。

 両手を身体に回すのはやめた代わりに、こちらの両手を握ってきた。


「だってわたくし、日頃から同じ学校の皆さんにも、『ベルザーグ様を愛していますわ』って打ち明けていますもの!」

「そ、そうかっ」


 ――そうかではない。なんだその、遠回しな告白的な意味深な言い方。

 いや、積極的かつ自ら道を切り開くタイプだったのは確かだが、以前はここまで激しくなかったような。 


 ベルザーグは内心で喫驚していた。


 これはぜひとも、ステータスを確認した方がいいかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ