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無名ゲームデザイナー、ゲーム世界の神となる  作者: 遠野空
第三章 侵略される世界
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実は甘くなかった三名の女の子


 ――深夜零時過ぎになり、さすがのベルザーグも後は他のキャラ達に任せることにした。


 飛行戦艦から降りて占領行動に励んでいた敵兵達を見つけ、マインドコントロールで心を縛り、全員捕虜にしたのはいいが。

 その総数だけでも、三百名以上いたのである。

 運良くとうにあの飛行船を降りていて、墜落に巻き込まれなかった者達だ。


 彼らを全て飛行戦艦の周辺まで戻し、さらに墜落した戦艦三隻の周りに魔法防壁の処置をして誰も入れなくした上で、後をサポート役のキャラ達に引き継ぐことにした。

 幸い、ベルザーグにはヴァレリーと打ち合わせしたグレイアードのようなサポート役が、相当数存在する。


 ヴァレリーが奇しくも推論した、類型2のタイプキャラ達である。


 ベルザーグ……というか一郎は、正式オープン時には自分のパーティー要員として使用したり、自分のギルドメンバーに組み込んだり、ヴィルゲリア世界全体の監視に使用するつもりだったが、そのセコい措置が今になって生きてきて、後始末を頼むことが出来た。


 さもなければ、戦艦調査から捕虜の尋問から、果ては敵兵の死体の処理まで――それこそ、問題が山積みのまま、当分帰還できないところだった。

 サポートキャラの重要な何名かには転移の水晶を授けてあり、引き継ぎも比較的早く済んだと言えるだろう。


 後は、彼女達や彼ら達が上手く立ち回り、飛行戦艦の調査もしてくれるはず。




「ったく、次から次へと」


 眠そうなエステルを抱き寄せ、ようやく帰還するという時には、ベルザーグもついうっかり愚痴ってしまった。


「お疲れさまです、ベルザーグ様」


 抱っこしたエステルが、いつもベルザーグがするように、良い子良い子と呟きつつ、頭を撫でてくれた。苦笑する他はない。

 だいたい、エステルもベルザーグのサポートでかなり疲れたはずだ。

 ギルドから出す報酬は、奮発してやろうと思う。


「ありがとう、エステル。ギルドについたら、多分おまえの友達のメイドが迎えに来ているはず。今夜は、早めに休みなさい」

「そうさせて頂きますぅ」

「ははは、本当に眠そうだね」


 可愛いあくびをしたのを機に、ベルザーグはその場から転移して離れた。


 ……一部、どうも不審な点があるが。

 しかし、万一私が見落とした部分は、残した連中がカバーしてくれるだろう。

 さらなる切り札も控えているし、今離れることに憂いはない……ないはずだ。






 ベルザーグが帝国西部海岸付近のその街を離れた時、最初に発見された愉快な生き残り三名は、一番近い街の警備隊本部にある、地下牢に入れられていた。


 帝国の警備隊とは、日本で言えば警察の役目を果たす部署であり、どんな小さい街であろうと、必ず詰め所か拠点がある。

 この完成したばかりの街も例外ではなかったし、当然ながらベルザーグは、彼らを動かす手段も持っている。


 そのうち暇を見つけ、さらに自分で調べる前に、一時、あの三名を預けた形だ。

 これで、少なくとも怒れる街の住人になぶり殺される可能性はないというわけだ。




 ベルザーグの仮尋問が終わり、その後にここへ放り込まれ……そして、深夜になって最後の警備兵巡回が終わった後――。

 バトルスーツ姿の三名の女の子は、俯いて牢内の石床を眺めるのをやめ、顔を見合わせてニッと笑い合った。


 その不敵な笑みをもしこの場で見ていれば、これが先程の三名と同じ人物かと、さすがのベルザーグも驚いたはずだ。




「……警備兵は行ったね、お姉ちゃん」


 明るいキャラだったレミが、そっと囁く。

 双子の姉であるレナは頷き、くすりと笑った。


「念のため、ダミーパーソナリティー(疑似人格)をかけておいて正解だったわね。あの男は、作り物の人格に満足して、すっかり騙されてくれたみたい」


 くすくす笑い合う双子に、最初から冷徹そうに見えた女兵士が馬鹿にしたように言う。


「チョロいヤツだ。この分だと、本国の我が君が領土を拡張されるのも、そう遠い未来のことではないな」




「それは言い過ぎだよぉ」


 わざとダミーパーソナリティーの口真似をして、レミが反論する。


「あの人、相当な実力者なのは間違いないと思うよ。そもそもダミーパーソナリティー自体、これまで使ったことなかったもん。むしろ、彼を相手にせずに済んで幸運だったと思う」

「……そうね。お陰で、是が非でも帰国せざるを得なくなったわ」


 姉のレナも大きく頷いて賛成した。


「あいつは全然本気を出していなかったのかもしれない。目を付けられなかったのは、幸運だったのかも」


 息を吐き、そっと出口の鉄扉を見る。


「そう考えると、これ以上囚われの身に甘んじているのも、まずいわよ。本格的に尋問されたら、必ず心を読まれる気がする。新たな使命ができた以上、なんとしても帰国して、我が君に報告しないと」


 姉の意見に頷いたものの、レミは眉根を寄せて同じく鉄扉を見た。


「この牢は問題ないとしても、扉の外で、まだ一人見張っているわね……あいつ、明らかに警備隊員じゃないみたい。多分、あのベルザーグとかいう奴の配下ね。レベル高そう」

「我々は三名だ、問題あるまい」


 最も兵士らしかった女士官が、躊躇なく立ち上がって地下牢の鉄格子を掴んだ。


「一番手強い奴は去ってくれた。邪魔する奴は排除し、脱出するぞ!」


 言下に、あっさりと鉄格子をねじ曲げた。


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