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無名ゲームデザイナー、ゲーム世界の神となる  作者: 遠野空
第三章 侵略される世界
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胸についての考察


 ただ――仮にそうだと仮定して、数は極少数とはいえ、この三パターン目も種族を問わずに存在するのかもしれないが。

 今のところヴァレリーは、当て嵌まりそうな者としては、自分と殺された先代の魔王しか知らない。

 しかも、後者は死体しか見ていないので、かなり自信がない。


 とにかく、現段階では、想像というか妄想に過ぎないこの三パターン目の者達(複数いるとして)こそ、創造主様が念には念を入れて創造してくださったと想像できるっ。

 

(一郎的に言えば、「我が子」ということになるだろう)


 もしも自分がそうだと確信できれば、おそらく幸せのあまり、卒倒してしまうかもしれない。だからこそ、ずばり訊くことなどできない。

 不敬なのはもちろんのこと、もし万一違っていたら、死ぬほどがっかりするに決まっているからだ。




「あぁああっ。創造主にして、我が大神! 貴方のしもべである、このヴァレリーの貪欲さをお許しください」

 

 申し訳なさのあまり、呟いてしまった。

 あの方の使徒なら、創造されてこの世に生を受けただけでも、満足し、感謝すべきなのだ。

 第一、所詮は推測に過ぎない。

 自分がどの類型に入るかなどはもう考えないようにして、ヴァレリーは首を振った。

 

 今、彼女はいつもの私服を脱ぎ捨て、バトルスーツに着替える前に、自分の裸身を鏡で見ている。しばらく隅々まで眺め、下から両乳房を持ち上げるようにして確認までする。最後は鏡に背中を向けて、背中から高い位置にある腰、そしてお尻へ至る曲線などを確かめ、大いに満足して頷いた。


「うん……仮に三パターン目に入ってないとしても、さすがは創造主ベルザーグ様。私は十分に美しいな」


 煌めく長い金髪に、むだ毛一つない、なめらかな白磁の肌――それにこの完成されたスタイルは、どこへ出しても恥ずかしくないはずだ。

 ようやく落ち着いたところで、ヴァレリーは贈られたバトルスーツをやっと着用した。

 ぶかぶかに思えたものの、背中の隙間から足を入れてスーツを引き上げた途端、自然にびしっと引き締まって肌に張り付いた。


「これは……大したものだな。ここまできっちり私に合うよう、自然調節されるとは」


 胴体部分は黒だが、よくよく観察すると鱗状の模様が微かに透けて見え、全体的にメタリックな色合いになっている。

 この模様のせいか、なんとなく防御が厚いように思えるが――胸の部分は上下に隙間があり、そこだけ特殊な白い生地で覆われ、胸をぴっちり締め付けていた。

 さらに、なぜか両足の部分は黒ストッキング並の薄い生地のごとき色合いだった。


 ……全体としてぴっちり身体にフィットしているが、別に苦しくないのが不思議である。


 ヴァレリーではなくアニメ好きの男子が見れば、「宇宙戦艦のぴたぴたスーツとか、宇宙人と戦わされるヤツが着るスーツに、色気要素をさらに足したみたいだ」とでも評したかもしれない。とりあえず、ヴァレリーはこんな戦闘スーツが存在するとは知らなかったが、すっかり気に入ってしまった。


 なにより、見た目がひどく窮屈そうに見えるのに、実際は動きやすいのがいい。

 鏡であちこち見ていると、廊下側のドアがノックされ、側近のダークエルフ達の来訪を告げた。





「入っていいぞ」


 褐色の肌と白いチュニック姿の三名の女性が静かに入室し、それぞれ低頭して挨拶する。

 ヴァレリーの姿を見た途端、揃って目を丸くしていたので、尋ねてやった。


「どう、このバトルスーツは? ひとまず、素肌の上に着てみたけど」


 訊いてみたが、なぜか三名ともため息をついていた。


「……なにかおかしいの?」


 ヴァレリーが低い声で問うと、慌ててリーダー格のアイリが首を振った。


「そうではなく、どのようなお召し物よりも身体の線がはっきり出ているので、陛下のたぐまれなスタイルがより鮮明になり、思わずため息が出たのでございます」

「そうか、それはありがとう」


「それと、お胸の方は大丈夫でしょうか?」

「……なにがかしら?」

「はい、そこだけ薄い生地に見えますので、ちく……いえ、先端部分がわからないかと」

「――むっ」


 言われたヴァレリーは慌てて胸を調べたが、別にじっくり見てもそこまでわからない……ような気がする。

 ただ、確かに別生地になっているお陰で胸が目立つので、見た時にそういう錯覚くらいは起きるかもしれない。


 素肌の上に着たと告げたので、彼女達は余計にそう見えたのだろう。

 後で自分でも気になるようなら、改めて下着を着ければよい。


「大丈夫だろう」


 そこで、改めてアイリ以下三名を見た。


「そういえば、なにか用事があったのではないの? 私は呼んでいないはずだが」

「はい、実は創造主様のお使いだと名乗る方がいらして――」


「ば、馬鹿者っ」


 彼女達には滅多に怒鳴らないヴァレリーも、さすがに叱責した。


「それを先に言いなさいっ。すぐにお通しするのよ! お待たせしないでっ」


「はいっ」

「は、はいぃいいっ」

「し、失礼致しましたあっ」


 慌てて蜘蛛の子を散らすように走って行く三名の背中に、追加で命じた。


「使者の方に、くれぐれもご無礼がないようにね!」


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