表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無名ゲームデザイナー、ゲーム世界の神となる  作者: 遠野空
第三章 侵略される世界
33/118

東京ドーム三十個分

 俗に東京ドーム○個分というが、目の前の白濁ドームは、優に東京ドーム三十個分はありそうだ。


 不思議なのは、この辺りは辺境もいいところなので、アレがカバーしている場所には特に民家などはなかったはず、という点だろう。

 こんな場所に巨大な魔法防壁などを作り、敵が何をしようとしているのか謎である。


 二人で眼前の白濁した巨大ドーム球場みたいなのを眺めるうち、抱っこされていたエステルがふいに身体を持ち上げ、わざわざこっちの首っ玉にかじりついてきた。

 思案中だったベルザーグは、十二歳とはいえ、ドレス姿の女の子にいきなり正面から抱きつかれ、声が上擦りそうになった。


「ど、どうしたの?」


 どうもこの子は、ベルザーグを親代わりだと思っているせいか、肉体的接触に全く禁忌きんきがないのが困るような嬉しいような。


 胸が微妙に当たるし。


 まあ、今は空中に浮いている状態だから、この子も声が聞こえやすいようにそうしただけかもしれないが。


「ベルザーグ様ぁ、エステルが攻撃しましょうかっ」


 頬をすりすりさせるついでのように、エステルが提案する。


「いや、まず私が試そう」


 ベルザーグはきっぱりと言い切る。

 とりあえず、この白濁色のドームがいきなり攻撃に対して過剰な反応をしないとも限らない。危険がないかまず自分が確かめる必要があるだろう。


「初めての遭遇だし、危ないからね」

「……はぁい!」


 心配してもらったのが嬉しいのか、にぱっと笑み崩れ、エステルが邪魔にならないように離れてくれた。

 変化すればホワイトドラゴンの形態が可能だけに、この子は空中だろうと誰よりも自然に飛行できるのである。ベルザーグが抱いていたのは、単にエステルの意思に過ぎない。


(よ、よしっ。まずは攻撃魔法で試すか……最初から敵を甘く見るのはまずいから、手抜きナシで行くぞ)





「最初からトランセンダンスマジックで行く!」


 発動にレベル100以上が必要となる「超越魔法」は、例外なくこの部類に入る。

 今のところ、全ヴィオランディス世界を通じて、神族かベルザーグしか使用できない。どれほどの天才であろうと、レベル100がこれまでの成長限界だったからだ。


 ただし、世界の危機を憂うベルザーグが、ヴァレリーとエステルの才能限界を引き上げたので、今後は彼女達も使えるようになるかもしれないが。

 魔力の集中でベルザーグの身体が膨大なマナを帯びて光り輝くのを見て、エステルが「うわぁ!」と子供っぽい歓声を上げた。

 これでさっぱり効果がなかったら、いい恥さらしの気がする。


「効果範囲指定っ」


 ベルザーグは、指示と同時に眼前にオートで立ち上がった透過マップ画面のうち、邪魔くさいドームを手でなぞるようにして、きっちり全部指定した。

 これで、攻撃魔法の余波さえ己で防げば、他に被害が及ぶことはあるまい。


 ひとまず、レベル120魔法(使用可能な最低レベルが120)でいくっ。

 ベルザーグは覚悟を決め、大声で叫んだ。




「行くぞっ、グラヴィティエクスプロージョン!」


 重力系のレベル120破壊魔法を叩き込む。

 発動の直後、一瞬だけドーム全体を巨大な黒影が覆ったように見えた。


 半瞬置いて、ドォオオオオオンンッという言語道断な炸裂音というか、爆発音が轟く。

 空間そのものが揺らぎ、腹の立つドーム全体にモロに影響が出た。


 具体的には、上空から超巨大なハンマーを叩きつけたような有様になり、ドーム状のシールドがベシャッとひしゃたように見えた。


 次の瞬間、圧力を受け止め切れず、ぱっと謎の魔法防壁が消滅する。




「エステル、来なさいっ」

「はいっ」


 ぱっと抱きついてきたエステルをしっかり抱き締めた途端、破壊の余波がゴオッとベルザーグ達のところまでやってきた。

 大気がビリビリ震え、下界の大地が大揺れに揺れたのが見えたが、幸い、過疎地なので別段被害はない……と思う。


「よし、これで見えなかったシールドの向こうが見えて――」


 言いかけ、ベルザーグは唖然として向こう側を見つめた。


「あ、あれはっ」

「ベルザーグ様、巨大な飛行船みたいなのが三つ!」


 ベルザーグと同時に、抱かれたエステルが叫ぶ。

 そう、白濁した防壁の向こうには、どうも空中に馬鹿でかい飛行物体が三つも浮かんでいたらしい。映画インデペンデンスデイに出てくるアレほどデカくてはないが、大きさとしてはこれも一隻が東京ドーム一つ分くらいはあるだろう。


 円盤形状ではなく、どっちかというと鋼鉄製の戦艦みたいに見えた。


 そんなのが三つ、攻撃魔法の効果範囲直下にいたせいか、モロにダメージを受け、煙を上げつつ墜落していく。


 どういう世界から来たんだこいつらっ、という感じである。




「ま、まずいっ」


 落下していく先に、割と立派な街があるのが見えて、ベルザーグは焦った。

 あんなのを配置した記憶はなかったが、どうやらNPC達が勝手に作っていたらしい。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ