〝これから〟の為の一歩3
体調がずっとよくなくて、書き進める事ができてません。
土曜日分はスキップとさせてください。
水曜日も、もしかすると投稿スキップするかも知れません。
ご了承下さると助かります。
何やってんの、あの人は……。
あの人、つまり、
ローリス・イルトゥース女公爵ーー。
ユーナが『水の王』として仕えている、『世界の管理者』。
まあ、仕えていると言っても、時々、お茶会に付き合う程度なのだが。だが、それ故に、彼女が『管理者』としてどんなことをしているのか、ユーナも詳細は知らない。
しかし、彼女が裏にいるとなると、ユーナが『皇命監視官』としてこの場に居る状況も、彼女の意図によるものかもしれない。公爵の地位にあるローリスが、皇帝に入れ知恵することは十分にあり得る。
そしてそれが正しいのなら、ユーナには、『水の王』として果たさなくてはならない使命があると言うことになる。
もっとも、使命の内容を知らされていないのは、大問題だが。
「はあ」とユーナはため息を吐くが、「それで? カリンの目的というのは?」
「それは、わたしの口から告げよう。ようやく、話を元に戻すことが出来る。……カリン・カイラスの目的は、我らダールバイ聖堂教会が秘匿する秘密、すなわちシュトルス・タクラスの調整なのだ。そのために彼女たちは作られ、ここに来るために、ヴェルゼン村に配置されたのだ」
「作られた……?」
ユーナはダールバイ聖堂教会の秘密云々の前に、その言葉に引っかかりを覚える。
「『調停者』と言えば、ピンと来るのではないですか?」と答えてくれたのはアンナだ。
「千年紀戦争の時に現れるって言う、『世界に作られし存在』だっけ?」
生物であれば、親から生まれるのが当然だが、『世界に作られし存在』は生物でありながら親はないとされる。つまり、言葉通り、『世界が作った』存在なのだ。それはーー、
時に、世界に変革をもたらすため。
時に、世界の破滅を止めるため。
時に、世界の調停を行うため。
『千年紀戦争』では、2人の『調停者』が現れ、次代の『世界の管理者』を選ぶ戦争に参加する、とユーナは聞いている。
そして、そのことからユーナは思い至る。
ダールバイ聖堂教会の秘密は、そのためにはわざわざ『調停者』が現れるほどに、重要なものなのだ、と。
その秘密に対して、どういう調整が必要なのかは、よく判らないが。というより、調整が必要な秘密というものが、想像できない。
「それで、聖女になるまでは、やはり調停者としての使命は、果たすことが出来ないのでしょうか?」とカリン。
「いや、そのつもりはない。そなたさえ良ければ、今からでもお願いしたいほどだ。幸い、障害となるものは、すでに、すべて取り払われている」と教皇は応じる。
「では、今から、お願いします」
「判った」
椅子から立ち上がろうとする教皇の前に、フロリアンが跪いた。
「如何した、フロリアヌス」
「わたしは、ここで皆様のお帰りをお待ちする……ということで宜しゅうございますか?」
その申し出は、ダールバイ聖堂教会の秘密に触れることを危惧してのものだろう。聖堂教会に所属しているとは言え、フロリアンはゲイルゴーラの人間である。その彼が秘密を知ることは望ましくないと考えたのだ。
しかし、教皇は首を振る。
「いや、フロリアヌス助祭、お前にも同行してもらおう」
「……なぜ、ですか? わたしめが相応しくないことは、ご存知のはず」
「相応しいかそうで無いかで言えば、そなたは相応しかろう。……というのも、ダールバイ人が守護するものがなんなのか、そなたの祖国に伝えて欲しいのだ。もし今後、支援が必要になった時のために。そして、カムネリアとダールバイの和解のために」
教皇の言葉に何を感じたのか、フロリアンは、こくりと頷いた。
「そうであるなら、微力を尽くすことといたします」
「よろしく頼む」




