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ティレリエン・メア 〜学館の陽は暮れて〜  作者: 西羅晴彦
滅びの魔女と癒しの聖女
571/664

教皇館へ

昨日の分です。

短くてすみません。

多分、八つ当たりみたいなものだと、ユーナも思っている。

クリスが傷付き、疲弊し、離脱したのはクリス自身が無茶をした所為。

第一、クリスの活躍によって、敵の聖騎士達にも被害が出ている訳だから、クリスが傷付いたことへの怒りを、彼らに向けるのは、どこか間違っているような気もするのだ。

しかし。

それでも。

ユーナは八つ当たりさせて貰う気で満々だった。

敵の数はかなり減ってきている。

現状、前線はニキアとクリュオが大暴れしており、そのお陰もある。

しかし、前面に出ていない聖騎士達は次々と教皇館の中に入って行ってるのだ。館の中には最強の炎が待ち構えるので、そこが破られることは無いが。

館の窓から、時々、赤や黄金の光が外へ向かって放たれるのは、フラグランティアが戦闘に突入しているからだろう。

ここでいつまでも悠長に構えている訳にも行かない。

と言うわけで、ユーナは再び、聖騎士達を、その鎧を凍らせる。

「ニキア、戻って!」

声を掛けると、ニキアはすぐに反応し、後退してきた。クリュオはまだ渦中にいるが、彼女のことを考慮する必要は無い。

ニキアが十分に離れたのを見計らって、ユーナは聖騎士達がいる範囲に広域で〈氷結〉を励起する。

すぐさま効果は現れ、聖騎士達の動きがどんどん緩慢になっていくのと同時に、悲痛な呻きが上がり始めた。

これで無効化は完了。鎧を脱いだ聖騎士も少数ながら存在するので、彼らに対処しながら先に進む。

「あれ、クリスは?」

クリスの姿がないことに気付いたニキアが聞いてくる。

「がんばってくれたけど、怪我しちゃったから離脱して貰ったわ」

そうユーナが返答すると、ニキアは、

「そうか」

とだけ、答えたが、その声には明らかに怒りが滲んでいる。

それから2人ほどの鎧を脱いだ聖騎士を蹴散らし、ようやくユーナ達は教皇館のエントランスに入った。

エントランスは広い空間になっており、天井にはシャンデリアが吊され、壁はクリーム色系の暖色の色合いで統一されている。

ぱっと見、宗教者の住居というよりは貴族のそれに見えるが、まあ、権威を持った宗教者も見栄を張るという身では、貴族と大差ないのかも知れない。

「教皇猊下の執務室と寝室は2階のはずです」とアンナ。

「フラグランティア様も2階におられます」

「じゃあ、クリュオ。フラグランティアの所に案内して」

フラグランティアが教皇を守っているはずだから、フラグランティアの居るところが教皇の居るところとなる。

「畏まりました」

クリュオは、そのまま先頭に立つ。

2階に続く階段の登り口に、花が飾られてあるのを見付けたユーナは、その花瓶の大きさに目がとまる。

ちょうど良いことに、花瓶は水を入れたままでも持ち歩きできそうな大きさだった。

これ幸いとばかりに、ユーナは花瓶から花を抜き、床に置いた。花瓶の中身は半分以上、水が入っているのを確認する。

いざという時、水があった方が良いだろうという判断だ。ユーナ自身が使えるし、クリュオの役にも立つはず。

階段を2階へ登り切ると、左の方へ続く廊下の奥の方に、人の姿が見える。10人ほど居るそれは聖騎士の鎧に見えた。


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