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001 エンカウント!

(x´Å`x)よろしぅ

ライトに読めるコメディ風味。ちょこっとピリ辛なリアル有り、始めました。

御一読頂けると幸いです←重い

 ――ぷるぷる ――ぷる? ――ぷるるん

 私こと近衛このえ仲弥なかやは、これまで27年の生涯において希代未聞きたいみもんの状況に遭遇していた。

 自分で言うのもなんだが私はいわゆる青年実業家、しかし()の中にニートと付く存在で、月に一度の定例会議の帰り道をノンビリと歩いていたところで未確認生物に遭遇してしまった。

 私の心の声を聴ける者が居ればなにを言っているのか解らないだろうが、自分でも何を言っているのか解らないので心配無用だ。

 しかし、しかしだ。この目の前に確かに存在しているナマモノ……いや生物は、現実なのである。

 ぷるるん♪と揺れる魅惑の緑色ボデー(ボディ)。気合の入った眉……毛?に、への字に食いしばられた口……多分、口。形は丸くやや平たい、例えるなら牡丹餅、色で言うなら草餅か?

 それらを踏まえて表現すると、――スライムである。もちろん目線を黒く塗りつぶさなくてはならない、気持ち悪い笑みのトンガリ頭では無い。

 落ち着けー落ち着け~と私は眼鏡のフレームを右手の中指で押し上げ、何処のジョ○ョ立ちだよ!とツッコまれそうな格好で言葉を発した。


「ヘイ・ユウ! ワッチャネーム?」


 ……混乱した私はどこぞのとんぺーみたいな台詞を口にしてしまった。それもどう考えても言葉の通じないナマモノ相手に。

 ――ぷるるん? ぷる……ぷるぷる♪

 お? ひょっとして通じた?


「ユーのネームは……って、これはもう良い! あ~コホン。ひょっとして君の名前は“ぷるぷる”と言うのかな?」


 ――ぷるん♪ ぷるぷる

 マジか?! 通じたの!? お~、何を言っている?のか解らないけれど、彼、もしくは彼女の名前はプルプルと言うらしい。

 ……だからそれがどーしたと言う話ではあるが。

 ――ぷるん! ぷるぷる!

 おや? プルプル君……ちゃん? 面倒だからプルプルで良いか。が、体を大きく震わせて背中、顔が無いから多分背中だと思う場所を見せて走っ……這いずって行った。


「ど、どうする? 此処は如何すべきか?!」


 あなたなーらどうする~? なんて何処かで聞いた事がある台詞が脳内でリフレインされる。しかしスライムなんて不可思議に過ぎるナマモノに好奇心を大きく刺激された私は、年甲斐もなく興奮して後を追った。

 もちろん、まて~こいつ~♡なんて馬鹿な追い方でない事は此処に断言しておこう。

 傍から見ればどう見えたかは知らないが――


 ――そして気づけば見知らぬ場所。晴れ渡る青空の下に広がる広大な草原。一カ月に一度しか着ない黒いアルマーニのスーツの胸元には、私が抱き上げたプルプルがぷるん♪としている。


「おーのー」


 こうして私の不可思議に満ちた日々が始まった。


    ◆


「さて、プルプルさん。ご説明を願えますか?」


 怪我をしないようにそっと草原に下ろしたプルプルを前にドッシリと尻を落とした……ププッ。

 コホン、失礼。胡坐あぐらをかいた私は、バスケットボールよりも少し大きいくらいのプルプルに問いかけた。

 まあ返事は返ってこないんですけどね?

 ――ぷるるん

 ほらね。


「これ、家に帰れるのか? まさか異世界って事は無いよね?」


 不思議の国のアリスならぬスライムの国のナカヤとか、ワラエナインデスケド。

 ――ぷるん? ぷるぷる! ぷるっぷー♪

 おっと! プルプルが突然胸元に飛び込んできて、凄く震え始めた。すんごいバイブレーション、あ゛、あ゛、あ゛、あ゛、あ゛~~な゛ん゛がぎも゛ぢい゛い゛~。

 なんて私が少しトリップしいていると、周囲がぐんにゃりと曲がって……気がつけば私の家の近くにある小さな神社に居た。先ほどの場所に行く前、プルプルを捕獲した場所だ。


「まじか~」


 ――ぷる!

 プルプルがマジ!って感じで震えた。マジみたいだ。


「ひょっとしてまたさっきの場所に行ける?」


 ――ぷる~…… ぷるぷるぷ!

 何を言っているのか解んねーよ! でも何となく言いたい事を感じてしまうのが悲しい。


「つまりすぐには無理で、明日なら出来ると?」


 ――ぷるん♪

 だ、そうだ。なんかスライム?と会話もどきしてる自分がマジで気持ち悪いが、まあそう言う事ならまた明日、色々と準備してから行ってみよう。

 でもその前にハッキリさせておかないと行けないな。


「プルプル。家の子になる?」


 ――ぷるん! ぷるぷるぷる、ぷるるん!


「ほうほう、美味しものが食べたいと。良いぞ~穴場観光地の高級お取り寄せセット開けちゃうか~」


 ――ぷる~ん♪

 もう気にすまい。どんどんと意志疎通が出来るようになってきていることとか、スライムなんてナマモノを普通に受け入れてしまった自分の頭のおかしさとか……


    ◆


 そして翌日。やってまいりました異世界! ……多分、知らんけど。

 昨日プルプルを通行人に見られないように人通りの少ない道を選んで帰宅したが、私の住処が郊外の廃ビルを買い上げた物であり、プルプルと出会ったのがその近くであった事から人目に付く事なく無事に辿り着けた。

 それからプルプルと一緒にお風呂に入り、前言通りにとっておきの食材コーナーから北海道の牧場直送のチーズとベーコンやソーセージ、そしてステーキとビールで乾杯した。相手は美女じゃ無くスライムだけれども!

 けっこう行ける口?だったプルプルと結構な量を飲み食いし、遅朝にゆっくりと起きて身支度。登山用のリュックに色々と詰め込んでロ型になっている廃ビルの中庭に出ると、プルプルに恐らく異世界と思われる場所へと連れて来てもらった。

 これも転移とか言うものになるのだろうか? 青年実業家なんて言っても引き籠りを拗らせ、中卒どころか小卒レベルの私にはとんと解らないが。

 自分、中学校に3日しか行ってないのに卒業できたんだぜ? テストなんて一回も受けてないのに。凄いよな、日本の学校って。……悪い意味で。


「さて、来てみたは良いけれど、一面の草原なんだよなあ。プルプル、どっち行けば良いか解る?」


 ――ぷる!

 転移する時に抱いたままのプルプルがぷるぷるボデーを少し尖らせて一方向を示した。太陽の位置を見るに方角は南々西。この位置からでは何も見えないが、移動すれば何か見えてくるかも知れないな。

 ああでも肝心な事を聞くのを忘れていた。


「プルプル、移動しても家に転移できる?」


 ――ぷるん!

 出来るらしい。このスライム、ほんと有能だな! ……でも本当にスライムなのだろうか? ゲームとかを例えに出すのもどうかと思うのだけれど、スライムって普通ワープとかしないよね?

 まあ、良いか。別に自分に何かあっても悲しむ人間が居るでも無し、会社も何時私に何かあっても大丈夫なように弁護士に頼んでいるから後顧の憂いは無い。


「それじゃあ行きますか!」


 ――ぷるん♪

 だから楽しもう。プルプルと言う不可思議な存在との出会いを。それにもたらされた不思議な世界の旅路を。

 その先に何があろうとも――


仲弥のモンスターメモ


スライム (暫定・プルプルの場合)


バスケットボールよりも少し大きくらいで、やや平べったい水餅のような外見。

色は薄緑色で澄んでいる。光沢があればエメラルド色とでも言えたが、そこまでではない。

丸いボディーの前面?に上を向いた短い眉毛とまん丸い眼にへの字口と、やけに気合が入った顔が付いているが、どうやら模様のような物らしい。

でも食べ物は口の辺りから取り込んで吸収した。あくまで辺りだが(笑)

スライムなのに世界観移動が出来る有能種? 一日に一回の往復が限界だが凄い、凄すぎる。

後、結構な重さ、5キロくらい?あるのに水に浮く。風呂で浮かんでいた。

スライム、訳わからんナマモノである……。

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