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自由気ままな戦場ライフ(暫定)  作者: 夜鳴月 葵
2/3

第2話:プロローグ(2)

更新、随分遅れてしまいました!

今回でプロローグは終了です。

楽しんでいただければ幸いです。


本格的な戦闘は、もう少し先になりそうです・・・((汗

「………私の事を話すのはいいが、その物騒なものを下ろしてくれないかな?」


「嫌だね。」


即答である。


「………ほう?何故か、聞かせて頂いても宜しいかな?」


「あぁいいぜ、聞かせてやるよ。まず、さっきココでロケランが撃たれた筈だ。んで、いたのはアンタ。俺を撃ったのがアンタだって、疑わない方がおかしい。」


「………ふむ、成程。」


「次に、初対面のアンタを俺は信用出来ねぇ。だから、こうやって警戒(・・)させてもらってる。」


この言葉に青年は、


「警戒、か………最早これは、脅しに近いぞ?」


と言い、伏し目がちに溜め息をついた。


「まぁ確かに、普通なら効果があったかもしれんな───だが、俺に対しては無意味だ。」


と言い放ち、一度だけ、素早くフィンガースナップをした。

次の瞬間───


「っ!?」


───周りの茂みから、黒い学ランを着た複数の生徒が立ち上がり、それぞれの武器を向けてきた。


「………状況を判ってくれたかな?君の逃げ場は、ここに来た時点でもう無いんだよ。」


「…………お前一人くらいなら、道連れに出来るぜ?」


と、俺、冷や汗を垂らしながら。


「あぁ、別にいいよ。私が死んでも支障がないように指示は出したし、後続も育ててある。何も問題は無い。」


と、相手、平然と。


「君も頭は悪くない筈だ。先程の会話でそれはわかった。だからこそ、もう一度言うぞ?」


そして、ゆっくりと───


「その、物騒なものを下ろして、話し合いをしようじゃないか。」


「…………………」


暫しの沈黙が流れ、そして。


「───はぁぁぁ……わかったよ。わかりました!」


と言いながら、銃を胸ポケットにしまい、手を上に向け、降参の意を示した。


「………良かった、安心したよ。平和的に済みそうで、ね。」


そういった青年は、くるりとその場で反転して、茂みにいる者達に、


「皆、すまないね。こんな事に付き合わせてしまって。」


と、申し訳なさそうに言った。

この言葉に、茂みにいた女生徒が、


「いえ、御劔三佐を守るのも任務のうちですので。何より………」


ここで言葉を一度区切り、堅い表情を崩し、


「皆、鏡夜の事を慕っていますからね。」


と、微笑を浮かべながら応えた。


「……皆、ありがとう。そう言ってくれると助かるよ。」


青年はそう言うと、嬉しそうに、照れているようにはにかんだ。


(…………なんだかなぁ……)


とは、おいてけぼり状態な俺の心情である。

俺は今、腰に手を置き、片手で頭をボリボリと掻いている。

正直、微妙に居心地が悪い。


(完全に俺除外かよ………)


と、思っていたところで、


「──さて、すまないね。随分待たせてしまったかな?」


と、青年がこちらに振り返り、話しかけてきた。


「いえいえ、それ程待ったわけでもないし、お気になさらず〜」


俺はそう言い、手をひらひらと振った。


「そうか、では、話しに移ろうか。

先程の、私が誰か、という質問に答えよう。」


彼はそう言うと、佇まいを直し、


「私の名は、先程の会話で聞いていたかもしれんが、御劔(みつるぎ) 鏡夜(きょうや)准尉だ。呼び方は、まぁ・・・准尉でも鏡夜でも、好きに呼んでくれ。

大和皇国鎖環連合(やまとこうこくさかんれんごう)東京本部附属高校の司令部に所属している。」


「………大和皇国鎖環連合?なんだそりゃ?」


「……………君、大和鎖連(やまとされん)を知らないのか?このご時世に……」


「いや、初めて聞いたけど………」


「………じゃあ、黒軍は?」


「知らねぇ。何それ、チェスかなんか?」


「……………君、一体どこから来たんだい?大和鎖連を知らないなんて、よっぽどだぞ?ここにいる時点で、知っている前提で話していたんだが………この近隣住民には、既に通達が成されて、一般市民はいないはずだし………」


「って言われてもなぁ………俺もさっぱりなんだよ。そもそも、ここが何処だか分からねぇし………」


「何処だか分からない?」


「あぁ。気付いたらあそこにいた。ってか、そもそもなんで俺を攻撃したんだ?」


「あぁ、いや。あれは君を攻撃したわけじゃないんだ。白軍・・・あぁ、正式には、日本公帝国軍(にほんこうていこくぐん)と言って、略称は帝国軍、白軍があるが・・・まぁ、その『我々の敵』に向けて行った攻撃なんだ。」


「ん………?ここ日本だよな?今戦争やってんのか?」


「?………何を言っているんだい?ここ数十年はこうだったじゃないか。授業で習わなかったのかい?」


「え、ハァ?」


「本来ならば、初等学校の時点で習うのだが………全く、知らないと?」


「あぁ。そんなもの、聞いた事すらないな。」


「……………どういう事だ?もしや、学校にずっと行っていなかった?………いや、服装からしてまず有り得んだろう……」


「……ん、待てよ?」


………もしかして………


「………なぁ。」


………もし、俺の推測が正しければ………


「ん、なんだい?」


………この質問で………


「……………2020年に、東京でオリンピック、開催されるよな?」


絶対に、俺の記憶と食い違う(・・・・・・・・・)。


「………?ハハッ、何を言い出すかと思えば。そんなもの──」



────この日本で行う訳がないじゃないか────



「────っ!!」


確信した。

致命的なまでに、確信してしまった。

ここは───


「……………………………俺の知る、日本じゃない………?」


俺は、確認の為にもう何度か日本の有名な出来事を尋ねたが、何一つ俺の知る歴史は語られなかった。


「…………………嘘だろ、おい………」


俺は手で顔を覆い、あまりのショックでふらついてしまった。


「…………?、どうしたんだい?」


「ハハッ、マジかよ…………なぁ、鏡夜。どうやら俺ぁ──」


俺は顔を覆った手を離し、の方へ向いた。


「───この世界の、人間じゃないみたいだ。」


その時、俺がどんな顔をしていたかはわからなかったが、彼の反応を見る限り、相当ひどい顔をしていたようだ。


「……この世界の、人間じゃ………ない?」


「あぁ、そうだ。俺はこの世界の人間じゃない。さっきした質問は、全て、俺の世界で起こった、もしくは起きるはずだった出来事なんだよ!」


「なっ………そんな、馬鹿な話が………」


「あるんだよこれが………事実、あんたの目の前にな……」


暫しの沈黙。

そして、次に口を開いたのは───

彼の、方だった。


「………まぁ、よくわからないが。一度、我々と行動を共にしてみないか?」


「………?」


「そうして見えてくるものもあるだろうし、何より、雨風を凌ぐための宿も必要だ。金は持っているかい?」


「あー……1000円ちょっとだな。」


「ふむ………成程。よし、わかった。君が我々と来るなら、君に宿と、暖かい食事と、綺麗な服を用意しよう。」


その言葉を言い終わった後に、

と言っても、宿は学校の寮で、食事は学食、服は制服になるがね。

と、申し訳なさそうに付け足した。


「……………それは、俺に軍に所属しろ、って事か……?」


「まぁ、そういう事になるかな。大丈夫だ、悪いようにはしない。私が保証しよう。」


そう言って、彼は右手を差し出してきた。


「……………………」


俺は考える。

付いていく事のメリットとデメリットを。

それを比べ、どちらの方が大きいかを。

一通り頭の中で算出し終える直前に、ふと耳をある音が掠めた。

───怒号と、銃声。それに、爆発音。

そちらに目をやると、今いる山の麓にほど近い場所で、黒の学ランの生徒と、白のブレザーの生徒が、

───殺し、合っていた。

槍で刺し、ナイフで抉り、刀で断ち切り。

銃で撃ち、爆弾で吹き飛ばし、火で焼いた。

そんな───ある種の、地獄。

それが、目前に広がっていた。

そして、俺は俯いて考える。

───俺は、人を殺せるのか、と。

死体を見るのは大丈夫だ、問題ない。それは先程死体を漁ったことでも証明されている。

だが問題は、殺人行為自体を行えるか。

俺に、そんな覚悟はあるか?

・・・いいや、無理だ。俺にはそんな事出来ない。

そんなことを考え、差し出された手を払おうとしたその時──


「…………人を殺す事に、抵抗があるか?」


──そんな声が、聞こえた。


「まぁ、無理もあるまいよ。我々も、そうだったからな。」


「───え……」


「それはそうだろう?たとえこんな状況の国にいたとしても、どうしても忌避感は拭えない。まぁ、私たちが弱いだけなのかもしれんが………」


彼はそこで区切り──


「だが、躊躇えば、私達の方が殺され、奪われ、蹂躙されてしまう。」


そう、言い放った。


「………………」


「だから私たちは剣を取り、戦うことを選んだ。」


「…………………」


「君はそれでいいのか?確かに、今の君には何もない。だが、いいのか!?このまま、何もせずに終わってもいいのか!?」


「………っ!」


「───さぁ、選べ!ただ黙って緩やかな死を選ぶか、抗い、勝ち取り、この窮地から脱するか!!」


その言葉で。


「……………………りたい……………」


俺の中に。


「聞こえんぞ!声を張り上げろ!振り絞れ!!」


───火が、灯った───


「勝ち取りたい!!ぜってぇに帰ってやる!!俺の障害になるモンは、一切合切、全部ぶっ壊してでも!!」


「────いい顔に、なったじゃないか。」


彼はそう言い、ふっ、と笑うと、再び、手を差し出した。


「改めて、御劔 鏡夜だ。よろしく頼む。」


その握手に、俺は───


「………俺は終夜(よすがら) (けい)、こちらこそ、ヨロシク。」


今度こそ、応じた。


こうして俺は、大和鎖環連合東京本部附属高校に、暫定的ではあるが、籍を置くことになった訳だが───。


「あ、そうそう。荊君の正式な入学は書類が通ってからだから、もう少し通学は待ってくれよ?」


とは、寮に着き、部屋を案内して貰った後の《名前》の談である。

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