第1話:プロローグ(1)
初投稿です。稚拙な駄文ですが、読んで頂き、感想も頂ければ幸いです。
「ん───あれ……ココ、何処だ?」
目を開くと、見知らぬ場所に立っていた。
何度目を擦っても、瞬きを繰り返しても同じ。
全く知らない、どこかの風景が目前に広がっていた。
「えーっと………俺の記憶が確かなら、さっきまでダチと喋りながら帰ってたはず……なんだがなぁ………」
そう、ついさっきまでは、仲の良い友人二人と一緒に、下らない事を駄弁りながら帰っていた。
だが、その友人二人の姿はなく、代わりに───
「この、瓦礫の山が目の前にありました、と──ハハッ、なんだこれ?どんな状況?マジで冗談きついぜ……」
あまりにも訳の分からない状況に俺は、現実逃避をしていた。
死んだ目をしながら半笑いで周囲を見渡す。するとある一点が、チカッ、と一瞬だけ光った。
一体なんだろうか、と思慮を巡らせている間に───
───《それ》は、起こった。
「───っ!?」
閃光。爆風。熱。それらが一気に、一瞬で襲いかかった。
俺はその爆風に飛ばされ、先程見ていた瓦礫の山にぶつかる事で漸く止まった。
熱で肌を焦がされ、そのあまりの痛みに、肉の焼ける音が聞こえるような錯覚さえする。
現代人が、ましてや日本の学生が味わう筈も無い痛みに、俺は動揺していた。だが、それと同時に──
「───んだよおいチクショウ……!!」
───怒りと、嬉しさ(・・・)がこみ上げてきた。
「なんでこんな事になったのかはこの際一旦置いておいてもいい───が、俺の身体をこんなにしてくれちゃって?更に第一町人ハッケーン……となれば、追わない訳にはいかねぇよな?」
と、言い、────にぃ、と。
その顔に凄惨な笑みを浮かべた。
それと同時に立ち上がり、荒廃し、瓦礫まみれのビル街を走っていく。
先程の、光の発生源へと向かって。
だが、爆風を受け転がった際に何処かを傷めたのか、走り方は不恰好で、不安定だった。
しかし、そんなことは関係ないとばかりに、脚を前へと伸ばす。
前へ、前へ──早く、早く撃ってきた奴の所へ、と。
この、自分の置かれた状況を知るための、手掛かりになると信じて。
走り続けて少したった頃、偶然、自分と同じくらいの年頃の、何処かの制服(学ラン)を着た男子の死体を見つけた。
何故こんな所に?とも思ったが、先程の自分の体験を踏まえ、珍しくないだろうと思い至った。
(眉間に1発、か………この死に方は自殺や巻き込まれの類じゃないな………殺された、か。レジスタンスかなんかだったのか?)
と考察し、
(ま、今はそんなことどうでもいいか。)
と思い直す。
(それより、なんか武器持ってねぇのか〜武器〜〜)
ゴソゴソと、その死体を漁る。
(出てきたのは………拳銃と、予備弾倉、あと刀か。っつーか、なんでこのご時世に刀?ま、丁度いいや。趣味で居合いやってて良かったかもなぁ………)
などと考えつつ、腰に刀を差し、制服の胸ポケットに拳銃を入れ、予備弾倉をポケットの中に入れておく。
(おっ、ついでに応急処置セットみっけ!)
自分の身体の怪我に、最低限だが、治療を施す。
「うぉ〜……もう痛みに慣れて、あんま痛くなくなってきた……ま、好都合か。」
そして応急処置を終えた俺は──
「っし………んじゃ、追跡続行しますかね!」
件の場所目掛けて、全力疾走した。
「──っとと、その前に!」
───が、すぐに立ち止まり、
「成仏しますようにお願いだから祟らないでね〜ナムナム………」
と言いながら、手を合わせた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「っしゃあ着いた、っと!!」
全力疾走して辿り着いた、撃ってきた場所。
「にしても、マジでここから撃ったのかよ………」
そこは───
「神社の、境内だぜ……?」
俺を驚嘆させたのは、まずその距離。
先程までいた場所へ届かせ、更に正確に人のいる位置に落とす事は困難だ、という事がありありと判る距離が、この神社と先程の場所にはある。
いくら坂の上で高度が稼げるからといって、そう簡単なことではない。
だが、俺はそんな一切合切を無視し──
「なん…………って罰当たりな…………」
──などという、場違いな感想へと行き着いていた。
馬鹿な事を考えながら、境内へと入って行くと。
「───ほぅ?何が罰当たりなのか、お聞かせ願いたいものだな。」
と、声が聞こえた。
「んー?そりゃ、神社の境内でロケラン撃つなんて、神聖な場所を穢しているとしか………」
「だが、流血している訳では無いのだから、穢れは無いと思うのだが?」
「ん………あれ?確かに。いやーごめんごめん、罰当たりなんて言っちまって。俺の勘違いだったわ。」
「だろう?寧ろ、そんな怪我をして、血を流している君の方が、ここに穢れを運んでいると思うが?」
「あっれぇ確かにぃ!?ヤッベどうしよ!!?」
俺は上手く切り返され、わたわたと慌て始めた。
が、すぐに、
「い、いや、ほら、まぁ、うん?神様って寛大だから?俺の穢れくらいなら?許してくれる気がするんだよね?うん?」
と、誰ともなく言い訳をし始めた。
そしてそれが落ち着いた頃、俺は。
「っと、まぁそれはそれとして──」
と、笑顔で言いながら、
「───アンタ、誰よ?」
胸の内ポケットから拳銃を抜き放ち、その声の主、鳥居に寄り掛かっていた、先程の死体と同じ(・・・・・・・・)、黒の学ランを纏った青年に向けた。