プロローグ
■登場人物
・有田博満【主人公、粘土が生きがい】
・上田舞【博満の幼馴染、ツンデレ】
・中村遥花【アンタじゃないよ!アンタ
じゃ!ウチだよ!ウチ!】
・黒瀬杏璃【数学教師、なによ!が口癖】
・中瀬奈々【あだ名はプン】
・中村結花【遥花の妹】
・澤田郁夫【返事が独特】
・那須大二郎【笑い方が独特】
・鈴木千紗【今日も会長から言われたの】
・永松芽衣【遥花の天敵】
・宮崎はる【いつも校歌を口ずさんでる】
・宮崎のどか【親が権力者】
・正清義家【平成高の理事長】
『ねんどくん』
こう呼ばれたのは、みんなが園庭を走り回る中、
ひとり室内で粘土をこね回した幼稚園の時。
『粘土男』
こう呼ばれたのは、みんなが校庭でボール遊びを
楽しむ中、ひとり教室でバスケボールやサッカー
ボールを粘土で作って楽しんでいた小学生の時。
『有田、だっけ?』
こう呼ばれたのは、持ち物検査で粘土を没収され
休み時間が暇すぎて、直前の授業でとったノート
を写経の如く書き写していた中学生の時。
『』
そして、誰にも呼ばれなくなった高校1年生。
中学時代の写経効果で、地元熊本県でも随一の
進学校、熊本平成高等学校(通称:ヘーセーコー)
に入学するも、粘土が友達・恋人・生きがいの僕
が誰かに話しかけることも無ければ、もちろん
話しかけられることも無く、卒業後の進路が
“粘土アーティスト”に決まっているため
写経で学力を高めようというモチベーションも
持ち合わせていなかった。
そんな僕は高1の秋、不良の道に足を
踏み入れてしまう、立ち入り禁止の屋上で昼休み
粘土弄り、始めました。
これまで、教室で今晩どんな粘土を作ろうか
思案していた昼休みに粘土を弄れる!
僕は安住の地を手にしたのだ。
青空の下での粘土がこんなに楽しいと知って
いれば、幼稚園の頃から外で粘土遊びをして
いれば良かったという後悔さえ芽生えさせた
この地に危機が訪れたのはプロ野球が
ストーブリーグに入った頃であった。
冬、手がかじかんで動かない
このピンチは、粘土をひと弄りするたびに
カイロで手を温めるロージンバッグ作戦
によってなんとか切り抜けることができた。
そんなこんなでルーキーシーズンは屋上に
79登板という、シーズン3位タイの記録を
打ち立てた、久保田、藤川に次ぐということは
僕はウィリアムスを超えたとも言える、今後は
JFK改め、AFKと呼んでくれ!
教室をAFKし続けた1年が終わり
2年生になった僕は、相変わらず昼休みを
屋上で粘土弄りに興じながら過ごしていた。
ここまで実は、僕こと、有田博満が喋ってました。
僕から終わり。
僕から終わり。