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そして薬師マオシは姿を消す。発狂して失踪したとも。罪を償うために行脚の旅に出たとも伝えられているが、定かではない。
ただ、それから十数年が過ぎた、後の世にて。若い旅の薬師が不思議の薬を用い、無償で万民の病を癒やして歩いた。
それこそ、マオシの孫とも。そしてその薬こそ氷柱華草ともいわれているが。やはり定かではない。
ただ旅の薬師は、その不思議な薬の製法も、ありかも、決して口外しようとはしなかった。
やがて氷柱華草の製法は失伝。もはや誰もが、その名すら忘れてしまった。
氷柱華草の花が咲くことはもう二度とない。




