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 マオシは村に戻って、すぐにカザを治療してやった。氷柱華草を処方されると、すぐ顔色が良くなる。

 魂魄から出来た薬だけあって、命の結晶のようなものだ。どんな病でも治せぬわけがない。ましてや親の命を犠牲にしたのだ。助からぬ道理がない。


 カザが回復をしたのを見て、マオシは早々に村を出た。感謝なぞされて、引き留められたら困る。ましてや父親がいないと怪しまれれば、我が身がどうなるか。


 こうして旅の薬師マオシは、病に困る村から村へ渡り、幾人もの命を氷柱華草へと変えた。

 その様こそ、人の命に寄生して成長する、冬虫夏草のようなものだったかもしれない。


 だがマオシが鬼畜の所行を続けるのには理由がある。マオシには息子がいた。名をラオサという。

 カナラの娘カザにも輪をかけて、ラオサは体の弱い子として産まれた。冬が来るたびに寝込み、死の淵を彷徨うことも珍しくない。

 そしてラオサが寝込むごとに、マオシは氷柱華草を処方して飲ませた。


 甲斐甲斐しい看護を続けた甲斐があり、ラオサは病気がちだったのが、見事な青年に成長した。

 大きくなったラオサは父を師として薬師としての修行を積んだ。飲み込みは早く、ラオサは若くして独り立ちする。

 マオシは息子の病が完治すると共に、氷柱華草を作ることはやめていた。だが多めに作った手持ちが残っており、それで殿様に取り入って出世している。


 マオシは慎重にした甲斐あって結局、一度も村の者に怪しまれなかった。またラオサには氷柱華草のことを黙ったままでいた。

 つまり、マオシはうまいことやっていたのである。


 ラオサは薬師として行脚の途中、ある村に立ち寄った。そこで村人から、お前のような腕の良い医者こそ村に住んでくれないかと頼み込まれる。

 頼みを聞き入れたラオサは村に住まいを定め、嫁を取った。二親を早くに亡くし、貧しく育ったが気だての良い、働き者の娘だ。


 やがてラオサとの間に子が産まれたが。幼い頃の自分のように病気がちな子だった。

 何度も倒れ。とうとう、この冬を越せるかどうか怪しいまでに病状は悪化する。


 ラオサは苦悩の果てに、師匠である父へ手紙を送った。

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