第四章 自由
ギイーンと出会ってから四ヶ月過ぎた十二月、おばあちゃんが亡くなった。
僕は新幹線に飛び乗った。お父さんは相変わらず仕事だった。
働き者でいつも元気に歩き回っていたあのおばあちゃんが亡くなるなんて信じられなかった。
また、ぼくを大切にしてくれる人を失った。
僕はまるで眠っているかのようなおばあちゃんの顔を見た途端、押さえ切れなくなり声を上げて泣いた。ギイーンもいつのまにか僕の隣に座っていた。
お葬式に参列しているとたくさんの思い出が浮かび上がり僕はまた泣き出してしまった。
皆と離れて蔵の方に向かった。
ギイーンは蔵の前に立っていた。
「ヒカル、大丈夫?」
「ああ平気、男なのに泣くなんて。」
そう言って僕は袖口で目を何度も擦った。
それから僕とギイーンはしばらく蔵の前にたたずんでいた。
冬の真っ青な青空を僕は見上げていた。
お葬式が終わった次の日、僕は伯父さんと叔母さんと一緒におばあちゃんの部屋の片付けを手伝っていた。といってもおばあちゃんの部屋は綺麗に片付いていた。そこへ伯父さんが、茶色く色が変色した巻物みたいなものを僕に渡した。
「これは?」
「ばあさんからだ。」
見ると巻物の端に紙切れが挟んでありおばあちゃんの字で「光へ」と書かれていた。
「これ僕が貰っていいの?」
僕は伯父さんに尋ねると
「もちろん、お前宛てになっているからお前のもんだ。」
僕は部屋に戻り巻物を開いたそこには絵と字が書かれていた。
もちろん昔の字など僕には読めないけどその絵で何が書かれているのか想像が出来た。
僕は胸を捕まれた気持ちになった。おばあちゃんは知っていたんだ。僕とギイーンの事を。気が付くとギイーンが隣に来ていた。
僕から巻物を受け取るとじいっと目を通し始めた。
「これは」
ギイーンが小さく呟いた。
僕は驚いて巻物を覗いた。
ギイーンは胸の短剣に手を当てた
「この短剣に封印されている。」
「えっ何が?」
「封印を解けば…。」
「どう言うこと?」
はやる僕の気持ちとは裏腹にギイーンは静かに答える
「水の神、所へ行く。」
「行くって?僕も行くよ。」
ギイーンは首を振った。
「ヒカルは連れていけない。そこへ行くには危険な事が多すぎる。」
「大丈夫だよ。僕も一緒に行く。」
「ダメ、人間は連れていけない。」
「ギイーンだって危険だろ。精霊の力使えないでしょ。」
ギイーンは何も言わずに黙り込んだ。
僕は言いすぎてしまったと後悔したが、ギイーンに謝る事が出来なかった。
次の日朝、ギイーンの姿が無い事に気づき僕は血が逆流した。
まさか、もう行ってしまったのか。
僕はもうギイーンに会えなくなる事に怯えた。ギイーンを失いたくなかった。
僕は飛び起きると家中を探し始めた。
しかしギイーンの姿は何処にも無かった。僕は力無く部屋に戻るしかなかった。
昨日貰った巻物をもう一度目に通して見た。よく見ても何て書いてあるか分からなかったが、一つの絵に僕は目が止まった。
それはある場所を示すしるし。それはこの近くにある神社のしるしだった。
僕は急いで着替えるとその神社に向かった。
樹齢何百年も超える木々に囲まれた社の中を僕は走り回った。
息が切れ立ち止まって辺りを見渡すと静かに朝の光が指し込んで来た。
そしてその光の筋の先に地図に描かれていたしるしが刻まれた石碑が立っていた。
石碑に近づくと石が陽炎のようにゆらゆら動き始めた。僕は手を伸ばして石に触ろうとすると石の中に手が吸い込まれていく。
「もしかして?」
僕は両手で石の中に手を入れたそしてゆっくりと石の中に僕は身を沈めていった。
石の中は真っ暗な闇だった。ギイーンはこの中を通って行ったのだろうか。
僕はどの方向に進んでいるかも分からない闇の中をただ足だけを動かしていた。すると足が地面に着く感触があり右側に石の壁らしき感触があった。
僕は石の壁に手を当て確認しながら進んでいった。
どのくらい歩いたのだろう。時間と距離感覚が全く麻痺していた。目が慣れて来て暗闇の中がうっすらと見えるようになって来た。
僕はギイーンを見つけたくて早く歩き出そうした。
するとサッと僕の前に影が横切った。
何?僕は目を凝らし、辺りに気を集中させた。
何かいる。僕の身体は見えないものの恐怖で硬直し出した。
ぽつんと僕の襟首に水が落ちてきた。
「うああ…。」
僕が声を上げ振りかえると暗闇に光る二つの目が浮かび上がっていた。
僕の体は凍りついた。荒い息遣いも聞こえてきた。身体は恐怖でガタガタ震え出した。一歩ずつ僕に近づいてくる。
そしてその鋭い爪が僕に向かってきた。もうだめだ。僕はとっさに身を屈め地面に頭を着けた。
ドサッと何かが倒れる音がした。僕がそおっと頭を持ち上げると僕の前にもう一つの影が立ちはだかっていた。それはすぐにわかった。
「ギイーン…。」
緑色の瞳をしたギイーンは銀の短剣を持ち僕に襲いかかろうとした奴を切り付けた後だった。
「どうしてここに。」
「ギイーンの事が心配で…。でもこんなザマじゃカッコ悪いね。」
僕は手に付いた小石を払いながら立ち上がった。
「本当にヒカルは無茶な事ばっかりする。」
ギイーンはちょっと飽きれた顔で僕を見て、ため息混じりに言った。
ここまで来てギイーンもさすがに帰れとは言わなかった。
僕はギイーンの後に続いて歩き出した。二人で黙々と静寂の暗闇を歩き続けた。
次第に道が明るくなってきた。
「出口だ。」
僕は喜んで走り出したが、目の前の光景は僕の想像とは全く違うものだった。
出口かと思ったその場所は、僕達の道を遮るように真っ赤なマグマが激しく流れる谷だった。
対岸には先に続く洞窟が続いていた。
「ここを渡らないと先に進めない。」
「でも、橋が無いよ。どうやって渡るの?」
僕は辺りをキョロキョロ見渡した。
ギイーンはマグマに近づき少し覗き込んだが激しい流れと熱さに首を振った。
「渡れそうなところも無いし先を進むのは難しいかもしれない」
「えっそんな。ここまで来たのに。」
僕はマグマの近くまで行ってどうにかして向こうに渡る方法は無いかと端から端まで走り回った。
何か方法があるはずだ。
僕はギリギリまで身を乗り出し真っ赤なマグマを見つめた。
しかしその強烈な熱さに目の水分が全てなくなりそうになった。それでもぼくは何度も何度も身を乗り出しながらマグマを見つめた。
ギイーンも何か考えているようだった。そして近くに落ちていた小石を拾うと向こう岸に向かって投げた。小石は放物線を描くように飛んでいったが、途中で溶けるように火を吹き散ってしまった。
「マグマの上は高温過ぎて通過することは難しい。」
「他に道は無いの?」
ギイーンは黙って首を横に振った
「このマグマの川はおそらく暗炎界に繋がっているの。ここが暗炎界の領域なら女王の許可が無いと通れないかもしれない。」
「どうすれば?」
僕とギイーンはただその場に立ちすくむしかなかった。
僕は向こう岸を見つめた。あそこに洞窟の続きがあるのならきっと方法があるはずだ。
「お願いするよ。」
僕は叫ぶとマグマにギリギリまで近づき目を閉じた。そして心の中で叫んだ
〔女王、暗炎界の女王、どうかこのマグマの川を通過させてください。僕達はあなたの領域を侵しに来たのではありません。ただこの先にある水の神にどうしても会いたいだけなのです。お願いします。ここを通して。〕
そんな僕の横にギイーンも立っていた。僕がギイーンを見るとギイーンもこっちをむいた。
すると微かに涼しい風が何処からか吹いてきた。今まで全く吹いてなかったはずなのに。
僕は風の吹いてくる方向に目をやるとすうっと薄い影のような物が見えた。やがてそれが近づいて来た。
そして僕はその姿をはっきり見たのだ。
言葉では表現できない妖しいほど美しい姿を。女王だ。ギイーンの美しさとは違う別格のものだ。女王は僕と目が遭うと微笑んだかのように見えた。そして通りすぎると消えていった。
「今の見た?」
僕は目を見開いたまま言った。
ギイーンもまた茫然としていた。
僕はゆっくり視線を動かすと今まで無かった橋がマグマの川に架かっていた
「橋だ、ギイーン橋だよ」
僕は興奮して橋を指差した
「本当だ。」
ギイーンも橋を信じられないように見つめた。
「さあ、行こうギイーン!」
僕はギイーンの手を取るとその橋を渡った。橋の上はマグマの熱さは全く感じなかった。
「ここを渡れたのはヒカルのお陰だ。」
「?」
「私一人なら永遠に渡れなかった。女王にお願いするなど考えもつかなかった。」
「ギイーンだって一生懸命だったから渡れたんだよ。」
そう言って僕は繋いでいたギイーンの手を強く握り締めた。
洞窟を抜けると森に出た。僕とギイーンは森の中をどんどん進んでいった。そしてついに水の神、碧晶の住む大きな泉に出た。
水は静まりかえっていた。鳥達の声も風の音も聞こえなかった。
「静かすぎる。」
ギイーンが呟くと森の中からガサガサと音が聞こえてきた。
「誰?」
ギイーンが振りかえるとそこには大きな姿をした怪物が現れた。
僕はその恐ろしい姿に腰を抜かしその場にしゃがみ込んでしまった。
「九苦魔!」
ギイーンが鋭い目で睨んだ。
「ひさしぶりだな、ギイーン。情けない姿しておって。」
九苦魔は鋭い牙を剥き出しにして笑い出した。
「人間に封印されるなんてお前も愚かな。」
「お前、なぜここにいる?」
「そろそろお前が来ると思って迎えに来てやったんだよ。」
「…。」
「精霊でも人間でもないお前の存在を誰が認めると思ってんだ。お前も自由になりたいんじゃないのか。」
九苦魔はチラッと僕を見た
「ちんけなガキだな。つまみにもならねえな。」
「九苦魔、私はもうお前等とは一緒になる気は無い、私は元に戻るためにここに来た。」
「何、馬鹿なこと抜かしてんだ。お前は二度と精霊には戻れないんだよ。お前自分が何をして来たか忘れた訳じゃないだろうな。」
「わかっている、私は森に住むことだけでも許してもらおうと来た。」
「森に住むだと?永いこと封印されて頭がイカレたんじゃねえか。お前は本当に馬鹿だな。」
「私が怒らないうちにさっさと引き上げてくれないか。」
「何だと、貴様。何も知らないくせに。お前の愛した人間もお前と関わったばっかりにかわいそうだったな。」
「?」
「お前の為に命を落としてまで封印して、面倒な事をしたもんだ。俺たちが仕組んだとも知らずに。」
九苦魔は牙を剥き出し醜い大きな声で笑い出した。
「仕組んだ?」
「無駄死にまでして。始めからお前等がうまく行かないようにしてたのさ。」
「何だと?」
「人間達は本当に頭が悪いよな。」
「私を嵌めたのか?」
九苦魔は笑い続けた。
「竜樹を嵌めたのか?」
九苦魔はギイーンの声が聞こえんばかりに笑い続ける。
「お前だけは許せん。」
ギイーンの瞳が緑色に変わった。
「何を生意気に。精霊の力が無いお前が勝てると思っているのか?」
九苦魔はそう言うと拳を地面に叩きつけた。
辺りが揺れ大きな地響きとクレーターのような穴が出来ていた。
「俺と組めば命だけは助けてやってるぜ。」
ギイーンは自分の胸に手を当てるとそこから鈍い光がこぼれ右手に銀色の短剣を握り締めた。
九苦魔の鋭い爪がギイーン目掛けて振りかざされるとギイーンは身軽にひょいっと避けると九苦魔の右目を差した。
耳が割れそうな叫び声と共に九苦魔の目から青い液体が噴出した。
すごいギイーン。僕はギイーンの所に駆け寄ろうとした際、九苦魔の太い腕が伸び身体を掴まれ締め付けられた。僕は苦しさにもがいたがその手は緩まなかった。
「ヒカルを放せ!」
ギイーンの声に九苦魔は、にやっと笑うと僕をギイーンの目の前に降ろした。
「ヒカル、」
そう言ってギイーンが僕の所に近づこうとした瞬間、僕は目の前が真っ白になった。
僕の体から熱い何かが吹き上がった。物凄く身体が熱い。僕はどうなったの?ギイーンが泣き出しそうな顔をして何か言っている。何も聞こえないよ。ねえギイーンなんて言っているの?
九苦魔の鋭い爪が僕の心臓を貫いたのだった。
僕は真っ白い世界に浮いていた。
ここは何処?ギイーンは何処にいるの?僕は死んじゃったのかな。白い白い光景が広がっていた。僕はフワフワ浮いていてとても心地良かった。なんだか眠くなってきた。
僕がウトウト始めると懐かしい声が響いた。
「光、光!」
僕は聞こえた方に振り向くと一人の女性が立っていた。
「お母さん?」
「光、ここにいてはいけません。早く戻りなさい。」
「戻るってどうやって?」
僕はこの真っ白い世界でどうやったら戻れるか見当がつかなかった。僕はお母さんを見つめた。
そしてずっとお母さんに聞きたかった事があるのを思い出した。
「お母さんは、幸せだった?」
お母さんはにっこり微笑んで答えた。そして僕を愛しいそうに見つめると
「そばに居てあげられなくてごめんね。」
お母さんは僕の頭をやさしく撫でた。
僕はもっとたくさんお母さんと話したかった。でも言葉が見つからない。たくさん有りすぎて。お母さんはそんな僕にお願いする様に言った。
「光、お父さんと仲良くしてあげてね。」
僕はお母さんを見つめた後うつむいた。
どうしてあんなに冷たいお父さんの事を言うのか僕には理解出来なかった。
「僕は、お母さんを苦しめたお父さんが嫌いだ。」
いつも仕事で僕と遊んでくれた事もない。お母さんの時より見せる切ない表情が辛かった。お母さんの病気だって、お父さんさえ振り向いてくれれば僕はお母さんと別れなくても良かったんだ。ずっとお母さんと暮せたんだ。
「お母さんが、弱すぎたの。一番、光に辛い思いをさせてしまったわ。お父さんにも悪い事をした。でもお母さんは、お父さんと光に出会えて幸せだった。」
お母さんの目には涙がたくさん溜まっていた。そして、僕に手を振った。僕もお母さんの姿が滲んで見えた。
僕はお母さんに背を向けると目を閉じた。
そして強く思った。あの世界に帰る。
僕の目の前に森の景色が広がった。そして僕の目の前に一人の青年が現れた。青年は山道を登っていく。僕は後を追いかけた。呼びかけても僕の声も姿も見えてないようだった。
やがて小川のせせらぎの音が聞こえてきた。
そして僕の前に現れたのはギイーンだった。新緑と同じ緑の髪と瞳。綺麗だ。とっても綺麗だねギイーン。本当は君をこの姿に戻してあげたかったんだ。
するとギイーンは青年を見るととびっきりの笑顔を向けた。きっとその青年が竜樹だね。君が愛した竜樹。裏切られて憎んでも君は竜樹が好きなんだね。僕のお母さんも同じだ。女の人の心は僕にはまだ分らないよ。
僕は結局、何の役にも立てなかった。
ギイーンごめんね。
僕は意識が遠くなる感じがした森の景色が消え暗闇になった。
最後にギイーンの精霊の姿が見られて良かった。
僕はそのまま意識の奥へ奥へと入ろうとしていた。
「ヒカル、ヒカル。」
誰かが僕を呼んでいた、聞き覚えの有る澄んだ綺麗な声。
「ヒカル、お願いだから目を開けて。」
ギイーンの声が聞こえる。ギイーン。
僕はカッと目を開いた。そこには顔中血だらけで泣いているギイーンがいた。
僕はそおっと手で触れようとするとギイーンの手が僕の手を握り返してきた。
「ヒカル、大丈夫?」
「九苦魔は?」
「もういないわ。」
僕はもう片方の手で自分の心臓の所に手を当てた。そこには心臓の鼓動がしていた。
九苦魔に刺されたはずなのに。
ギイーンは僕の心臓の上にそっと手を乗せると
「ヒカル、私のせいでごめんなさい。痛かったでしょう。もう少しであなたを失う所だった。でも碧晶様に助けてもらったの。」
そう言うとギイーンの隣に白髪の老人が現れた。
「ヒカルに新しい心臓を入れたから。」
「新しい心臓?」
僕は聞き返した。
「ギイーンの短剣に封印してあった竜樹の心臓じゃよ。」
碧晶は静かに告げた。
「竜樹の?でもギイーンはどうなるの?竜樹の心臓が無いと精霊に戻れないんでしょ。」
「私はいいの。ヒカルの命が助かれば。」
「でも…。」
「ヒカル、私は元に戻ることよりもあなたを失うほうがつらいの。大切な人をもう誰も失いたくないの。」
「ギイーン…。」
僕は涙がぽろぽろ溢れ出て来た。
「ありがとう。」
ギイーンのやさしさ、強さ、そして切なさが心臓を通して伝わってきた。
そして僕の意志でなく勝手に身体が動きギイーンを抱きしめた。
竜樹の思いが心臓から伝わってくる。
僕の中で命を吹き返した竜樹の意識が僕を通してギイーンに伝えていたのだ。僕は心臓の鼓動から竜樹を感じた。竜樹もまたギイーンと同じように苦しんでいた。自分の心臓を使う事によりまたギイーンが元に戻れるように。命を掛けてギイーンを愛していた。二人には僕の想像をはるかに超える強い絆があったんだね。
「竜樹…。」
ギイーンも大粒の涙を流し泣き始めた。
涙がこぼれればこぼれる程、ギイーンの薄茶の髪は緑色に変わり始めた。涙と一緒に今までの過去がを洗い流されていくかのように。
ギイーンは精霊の姿に戻っていく。
「ギイーンの心が森に認めてもらえたんじゃ。」
碧晶はギイーンにやさしく言うと姿を消した。
竜樹の願いが届いた。ギイーンは精霊に戻り森に帰れる。
僕とギイーンは、しばらくお互いを見つめ合っていた。
「ギイーンはこの森に残れるの?」
僕がそう聞くとギイーンは黙って頷いた。
「そうだよね。」
僕は自分の気持ちを押さえた。離れるのはつらかった。でもギイーンの為を思えばここに居たほうが良いに決まっている。
「また遭えるよね。森に入ればギイーンにまた遭えるよね。」
「ええ、きっと。」
ギイーンがやさしく微笑んだ。
「ヒカル、ありがとう。」