表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外道アサシンのスキル接合無双  作者: 曇りクモ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/14

第九話:世界樹の「手術(オペ)」

エルフの聖地の最奥。そこに座す世界樹を前にして、俺はその異様な光景に圧倒された。

空を覆うはずのみどりの葉は枯れ果て、白銀の幹には赤黒く脈打つ「呪いの枝」が、おぞましい寄生虫のように深く食い込んでいる。

「カイル、準備はいいですか……。失敗すれば世界樹は死に、あなたも無事では済みません」

セレナの震える声に、俺は無造作に短剣を抜いて応えた。

「セレナ、俺が今からこの呪いの枝を切り落とす。断面から生命力が漏れ出す前に、俺が持ってきた『身代わり』を叩き込むぞ」

俺の傍らには、道中で【春虫秋草の胞子:Lv.3】によって半植物化させた大型魔獣が控えている。Lv.3へと進化し、生存時間を延ばしたこの個体が、今回の手術オペにおける「輸血用の苗木」だ。

「……始めるぞ」

俺はアサシンの精密な短剣術を用い、世界樹本体を傷つけないよう、呪いの部位だけをミリ単位で剥離させていく。本来は命を奪うための技術だが、急所を見抜くアサシンの目は、外科医のメスよりも鋭く「切り離すべき境界」を捉えていた。

呪いの枝が剥がれた瞬間、世界樹の傷口から黄金の生命力が濁流となって溢れ出す。

「【接ぎ木】発動! 回路を繋ぎ変えろ!」

俺がやったのは「浄化」なんて聖職者のような真似じゃない。

世界樹が本来持つ強靭な生命力を、俺が【接ぎ木】というパス(回路)となって、呪われた箇所を迂回するように「新しい正常な回路」として繋ぎ直したのだ。

(ぐ、あああああッ!!)

一瞬、全身の血管が弾け飛ぶような衝撃が走る。神話級の魔力が俺の肉体を通り抜けようとして、内側から焼き切りにかかってくる。

だが、俺は冷静に手札を切った。

まず、Lv.3の【気脈の循環】で肉体の強度を限界まで底上げする。さらに、本来は外部のダメージを防ぐ【聖域の盾】を「自身の血管」に展開して内側からの崩壊を阻止し、溢れ出す余剰魔力を【大地の拍動】の回路を逆流させて、大地へと逃がしたのだ。

(耐えろ……俺の『幹』! 今ここで折れるわけにはいかねえ!)

光が収まった時、赤黒い呪いの脈動は消えていた。

手術は成功。世界樹は最悪の腐敗を免れた。

だが、長年の呪毒に蝕まれた世界樹は、いまだ青白く弱りきっている。

「……助かりました。ですが、申し訳ありません。世界樹は今、自身の回復に精一杯で、あなたが望んだ『完全な枝』を分け与える余裕がないのです」

セレナは申し訳なさそうに、一本の小さな枝を差し出した。

「これは、手術の際に剪定した『世界樹の若枝』です。完全なものではありませんが、あなたの力になるはずです」

奥義級の力は、まだお預けか。だが、それでいい。

今の俺が「完全な世界樹の枝」という神話級のパーツを自分のツリーに接いでも、今の肉体では受け止めきれず自壊していただろう。

俺はその若枝を自分のツリーに接ぎ木した。

『固有スキル【接ぎ木】により、パッシブスキル【万象の微光】を習得・接合しました』

それは、微弱な体力・魔力の自動回復パッシブだった。

【大地の拍動】のような爆発的な回復力はない。だが、このスキルの真価は「非接地時」でも効果を発揮し続ける点にある。

(……これで、空中戦や足場の悪い場所でも、俺のスタミナは枯渇しなくなる。これからの『スキル狩り』の効率が劇的に上がるぞ)

派手な一撃よりも、死なないための継続力。不遇職を生き抜く俺には、これこそが相応しい。

「十分だ。……世界樹が完全に回復した頃、また本物の枝を貰いに来る。それまでに俺の『幹』をさらに太くしておいてやるよ」

俺はエルフたちの感謝と困惑が入り混じる聖域を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ