第十一話:吸命の絆と「熱探知」の略奪
「……無駄だ。今の俺は、お前の感知能力を超えている」
もはやグランド・サーペントの動きは止まって見えた。
【等価共有】でバフを盛り続けた俺の身体能力は、もはや人間に許された領域を遥かに逸脱している。さらに、召喚士のもう一つの枝――【吸命の絆】が牙を剥く。
『【吸命の絆】発動。配下(胞子)の与ダメージ5%を本体のHPとして還元します』
本来、数体の召喚獣からの微々たる回復を想定したスキルだ。しかし、魔獣の体内で蠢く数百万の「配下」が同時に肉を喰らい、HPを削る。そのたびに、俺の全身に濁流のような癒やしの波動が流れ込む。
(無限の魔力回復、無限のステータス上昇、そして無限の体力吸収……。もはや、俺を殺せる理屈が存在しない)
一振りで4ヒット。4ヒットで衝撃波。
そこに無限上昇した筋力が乗り、一撃一撃が地殻変動のような破壊力を帯びる。
「……終わりだ」
かつては苦労した「HP70%減少」という条件も、今の俺には数分の作業に過ぎない。衝撃波と胞子の侵食が魔獣のバイタルを瞬く間に食い潰していく。
『個体名:グランド・サーペント。HP70%減少を確認。――「半植物化」を完了しました』
脳内に響く無機質なアナウンス。
暴君として君臨していた大蛇は、今や翠の蔓に覆われ、俺の意のままに動く操り人形へと成り果てた。俺は操作権を握った大蛇を引きずり出し、そのスキルツリーへと手を翳す。
「いい性能だった。その『目』……俺が有効活用してやるよ」
俺が狙うのは、俺の隠密を破ったあの探知能力だ。
『【接ぎ木】対象:半植物化グランド・サーペント。パッシブスキル【熱探知】を抽出・接合します』
(パキィィィィン!)
快音と共に、俺の視界が切り替わった。
暗闇の中でも、壁の向こう側でも、生き物の熱源が鮮明な色彩となって浮かび上がる。
「……最高だな。これで隠れた敵も、姿を消した暗殺者も、俺の前では丸裸だ」
弱点を克服し、さらに獲物を探す「目」を手に入れた俺は、半植物化した個体が崩れ落ちるのを横目に、次の獲物を求めて闇へと消えた。
【現在のビルド】
影の叡智(魔力共鳴の強化版): 1振りが4ヒット。
隠密: 姿を消す。
剛力無双: 物理ダメージの底上げ。
気脈の循環・咆哮: 全ステ増幅 & 1振りで確定衝撃波。
大地の拍動・万象の微光: 魔力・体力の永久機関。
春虫秋草の胞子: 敵のHPを吸いながら自己増殖。HPを70%削り取った段階で、敵を「植物ゾンビ」に変えて完全制御する。制御下でもHP吸い続けるので寄生対象は最終的に完全崩壊する。
聖域の盾: 30秒ごとに一度無敵。
【新】等価共有: 配下のステータスの20%を本体へ加算。(胞子の数だけステータスが上昇)
【新】吸命の絆: 配下(胞子)が削ったHPの5%を自分に還元。
【新】熱探知: 熱源視覚化。隠密・障害物を見える化。




