第79話 え、パパが勇者!? 猿と裸の付き合いで意思疎通!? 恩返しが重すぎて村の神様として祀られ始めてるー!?
温泉宿こもれび の夕食は、宿とは思えないほど豪華な料理が並んでいた。
亮「豪華だねー!」
あんな「本当。そのうえ、素材の味がしっかりしてて、美味しい」
みゆ「……豪華。栄養素のバランスも最適化」
ベアトリス「美味しいですわ!」
もっふる「ピィー♪」
周囲の席からは、客と仲居の会話が聞こえてくる。
客A「最近、猿が増えたよな」
仲居「ええ。今のところ悪さはしませんが……少し、数が増えすぎているようで怖いですよね」
客B「今のところは、だろ? 何もなければいいけどな」
亮「猿が増えたのかー。一緒に飲んだけど、いい奴だったぞ!」
あんな「それはパパだからだよ」
みゆ「普通は怖がる」
ベアトリス「さすがパパですわ! 異種族間の対話も容易くこなされるのですわね」
もっふる「ピィー!」
亮「よし、明日は村長さんに挨拶しに行くか!」
翌朝。
亮は宿の主人・エルドに声をかけられた。
エルド「昨日はよく眠れましたか?」
亮「ぐっすりだったよー! 温泉に特別な効能でもあるの?」
エルド「特に調べてはいないのですが……今度、調べてみます」
亮「そうなんですね。よーし、朝風呂いってくるよー!」
エルド「いってらっしゃいませ」
男湯の引き戸を開けると、白い湯気が立ち込めて視界を遮っている。
湯気の向こうに何人かの影が見えた。
亮「おー、先客がいるね……湯気でよく見えないな」
近づいてみると――
そこには五、六匹の猿が悠然と湯船に浸かっていた。
猿たち「キィー♪」
亮「お猿さん、お邪魔するよー」
猿「キィー!」
亮「温泉はいいよなー」
猿「キィー♪」
もっふる「ピィー♪」
亮は猿と普通に会話しながら、朝風呂を満喫した。
部屋に戻ると、すでに旅装を整えた娘たちが待っていた。
あんな「パパー! どこ行ってたの?」
亮「朝風呂だよー」
あんな「みんな準備万端だよ」
もっふる「ピィー!」
亮「おぅ! すぐ準備する!」
慌てて身支度を済ませ、一行は村長の家へと向かった。
村長の家も、以前の素朴な面影はなく、立派な邸宅へと生まれ変わっていた。
亮「村長さんの家も立派になってるなー。どんどん発展してるね」
ミルナ村 村長・マーレイ「おおー亮さん! よく訪ねてくれました。お陰様で村もこんなに立派になりましたよ!」
亮「村長さんの人徳ですよ」
マーレイ「いやいや、亮さんを始め、神崎家の皆さんのお陰です。実は今、広間の中央に、神崎家の銅像を作成しているところですよ」
亮「銅像?」
あんな「やめて欲しい」
みゆ「即取り壊しでお願いします」
ベアトリス「えっ、素晴らしいですわ! さすがは師匠たちですわ!」
もっふる「ピィー♪」
あんな「目立つのは……」
みゆ「却下」
亮「大丈夫だよー。この村の温泉を出しただけだからさ」
あんな「不安しかない」
みゆ「同意」
もっふる「ピィー!」
ベアトリス「いえ、この国一の銅像にしなさいですわ!」
あんな「ベアトリスちゃん! ちょーっと黙っておこうか!」
ベアトリス「はいですわ……」
しゅんと肩を落とすベアトリス。
もっふる「ピィー♪」
ベアトリス「もっふるちゃん……慰めてくれるのですわ……」
もっふる「ピィー♪」
亮はその様子を見て、どこか嬉しそうに笑った。
こうして――
かつての平穏な村は、止まらぬ発展を続けていた。
亮たちが望む「静かなスローライフ」とは裏腹に、周囲の期待が雪だるま式に膨らんでいる。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、
広場の片隅で、建立途中の石像だけが、何かを見ているようだった。
三日間の平穏がついに崩壊!?
なんと、温泉の効能に引き寄せられた「猿の群れ」が村を占拠し、人間との共存限界を突破!
住民パニックの中、パパは「猿も話せばわかる」とノーガードで交渉を宣言!?
次回、 第80話 え、パパが勇者!? 平穏終了で村が猿の惑星化!? 住民パニックなのにパパは『話せばわかる』と豪語して大混乱ー!?
野生の群れにパパの天然交渉術は通用するのか!?




