第78話 え、パパが勇者!? 村が大発展!? 温泉で猿とサシ飲みしてたら女湯が悲鳴の渦ー!?」
雲ひとつない青空の下、街道を歩く一行。
風は心地よく、旅の疲れを忘れさせるような穏やかさだった。
亮「いやー、良い天気だなー」
あんな「本当。絶好の旅日和ね」
亮「ミルナ村、どんな感じになってるのかなー。前に来たときは、のどかな村だったけど」
ベアトリス「私は初めてですから、楽しみですわ!パパが救った伝説の村、期待に胸が膨らみますわ!」
みゆ「……観測。経済効果から計算して、人口密度は大幅増と推定」
もっふる「ピィー♪」
のどかな空気の中、歩みを進めると――
遠くにミルナ村が見えてきた。
しかし。
亮「……あれ? なんか、前と違わない?」
あんな「建築ラッシュじゃない! もう、村じゃなくて『街』だね」
みゆ「……急激な発展。建築音、複数」
あちこちから、トントン、カンカンと小気味よい木槌の音が響く。
新築の宿屋や商店が立ち並び、急激な発展を遂げている様子が伺えた。
亮「ほんとだなー。活気がすごい!」
宿屋や店が立ち並び、前とは比べ物にならない賑わい。
人々が忙しそうに行き交い、荷車が次々と運び込まれていく。
村人A「おー亮さん、来てくれたのか!」
村人B「あの時は本当にありがとうな!」
村人C「温泉のおかげで、今ではこんな感じじゃ!」
亮「いやー、活気があって良いですねー!」
村人C「そうじゃろそうじゃろ!」
亮「よーし、早速温泉に入りたい! 宿屋はどこ?」
村人A「案内しますよ!」
案内された先には――
以前とは比べ物にならないほど立派な宿屋がそびえていた。
二階建ての大きな建物で、木の香りがまだ新しい。
亮「豪華な宿屋だなー!」
あんな「ドラマとか映画に出てきそう!」
みゆ「立派」
ベアトリス「すごいですわ!」
もっふる「ピィー!」
宿屋の主人「当温泉宿、こもれびの主人、エルドと申します。今後ともよろしくお願いします」
亮「俺は神崎亮! 三人は娘のあんな、みゆとベアトリス。そしてこいつがもっふる! お米の国から来た男だ!」
あんな「ああっ!しまった! パパに自己紹介させちゃったよ!」
みゆ「油断大敵」
ベアトリス「面白い紹介ですわ!」
もっふる「ピィー♪」
案内された部屋は広く、清潔で、どこか高級感が漂っていた。
亮「よーし! ミルナ村で温泉スローライフだー!」
あんな「毎回言ってるけど……」
みゆ「……定番の恐怖」
亮「さっそく温泉だー!お酒は頼めるのかな?」
エルド「はい、大丈夫ですよ」
亮「じゃー温泉に持ってきてね!」
エルド「かしこまりました」
あんな「パパ、飲みすぎないでよ」
亮はさっそく、もっふるを連れて男湯へと向かった。
湯気の向こうに人影が揺れ、男性の仲居が酒を持ってきた。
「お待たせしました」
亮「ありがとう!」
湯船に浸かり、運ばれてきた地酒を一口。
湯亮「……くぅー。美味い! 日本酒じゃないけど、このお酒もなかなかだな」
もっふる「ピィー♪」
ふと見ると、湯気の向こうに猿がいた。
亮「おおー、お猿さんがいるー!」
湯船の縁に、ちょこんと座る猿。
もっふると目が合い、すぐに仲良くなった。
もっふる「ピィー♪」
猿「キー♪」
亮「いいねー。お猿さん、酒は飲むか?」
猿「キー!」
亮「飲むか! よし、おーいグラスちょーだい!」
男性の仲居「はーい!」
猿と乾杯する亮。
亮「ぷはー! 良いねー!」
猿とお酒を飲み出し、もっふると猿も仲良く湯船に浸かっている。
その時、壁越しの女湯から叫び声が上がった。
きゃーーー!!
わーーー!!
亮「どうしたー?」
あんな「猿ー!!」
みゆ「猿」
ベアトリス「猿ですわ!」
亮「一緒に入れば大丈夫だよー!」
あんな「猿だよー!」
亮「大丈夫、パパは一緒に入ってるぞー! しかも一緒にお酒飲んでるぞー!」
猿「ウキキー!」
もっふる「ピィー♪」
あんな「パパは特殊なのー!」
みゆ「……同意」
ベアトリス「お猿さんにも友達がいるなんて、すごいですわ!」
あんな「友達ではないと思うよ……」
亮「おーい、お酒追加ー!」
男性の仲居「はーい!」
あんな「パパー、ほどほどにねー!」
亮「はーい」
猿「キィー」
部屋に戻った亮は、窓から夜の景色を眺めた。
亮「いやー、良い温泉だー! お酒も美味い! しばらくはスローライフできるぞー!」
窓から見えるミルナ村は、以前とは比べ物にならないほど活気に満ちていた。
亮「……良い街になってきたな!」
その声は、どこか誇らしげだった。
こうして――
かつての村は、亮の与えた「温泉」によって目覚ましい発展を遂げていた。
猿と酒を酌み交わすという、この世の極楽のような時間が流れる中、
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、
ただその夜、ミルナ村のどこかで「何か」が動き始めていた。
猿との「サシ飲み」の次は、まさかの種族を超えた友情が爆発!?
なんと、亮の適当すぎる振る舞いが、猿たちの心を完全に掴んでしまった!
神崎家の常識が通じない中、パパがいつの間にか「群れのカリスマ」に祭り上げられる!?
次回、 第79話 え、パパが勇者!? 猿と裸の付き合いで意思疎通!? 恩返しが重すぎて村の神様として祀られ始めてるー!?
もはや人間をやめる勢い!?
パパの無自覚無双が止まらない!




