第77話 え、パパが勇者!? じゃんけんの間に群れが消滅!? 三姉妹の過剰防衛で街道が静かすぎるー!?
第八章、始まります!
「今度こそ、温泉でのんびりスローライフを」
そんなパパの切実な願いを胸に、神崎家が訪れたのは懐かしのミルナ村。
しかし、癒やしの湯を求めてパパの前に現れたのは……まさかの「言葉の通じない先住民」!?
種族の壁も、常識の壁も、パパの無自覚なやらかしの前では無意味。
気づけば事態は、村全体を巻き込む「お猿な大騒動」へと発展してしまいます。
三姉妹の呆れ顔と、もっふるのマイペースな癒やし、そして新家族ベアトリスも加わった神崎家のドタバタな日常。
果たしてパパは、無事に(?)極楽の湯に浸かることができるのか。
人とお猿さんがお湯でつながる(?)、ちょっとシュールで温かな新章も、ぜひ楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
商都グラーディオの心地よい活気が遠ざかり、街道には木々のさざめきと鳥の声だけが流れていた。
柔らかな木漏れ日が降り注ぐ中、新しく加わったベアトリスは、周囲を油断なく見渡している。
ベアトリス「街道って、もっと危険かと思ってましたわ。驚くほど静かで安全ですのね」
亮「ん? まあ、たまには魔物も出るけどね」
あんな「たまに出るくらいだよ。ここは道も整備されてるしね」
ベアトリス「左様でしたのね。少し拍子抜けですわ」
亮「ベアトリス、気合い入ってるなぁ」
あんな「いいことだけど、肩の力抜かないと長旅は疲れるよ」
みゆ「……体力と集中力は、長距離移動のボトルネックになりやすい」
ベアトリス「ご心配ありがとうございます。私の体力には自信ありますわ!」
もっふる「ピィ♪」
その時、一行の先頭を歩いていたもっふるが、短く鋭く鳴いた。
もっふる「ピィーー!」
あんなとみゆの表情が切り替わった。
みゆ「警戒」
あんな「えっ、どこ?」
みゆ「……警戒。左前方。ウルフ、五体。距離、約四十メートル」
あんな「移動してる?」
みゆ「……接近中。こちらに気づいてる」
亮「よーし、今回は俺が――」
あんな「どうする? 誰が行く?」
ベアトリス「私、行きますわ!」
みゆ「公平に、じゃんけん」
もっふる「ピィー!」
亮「えーと、パパは?」
あんな「ベアトリスちゃんともっふるはモグラ退治したでしょ」
ベアトリス「あれはテストですわ!今回こそ本番ですわ!」
みゆ「じゃんけん」
亮「パパは……?」
ウルフたちが、低く唸りながら距離を詰めてくる。
赤みがかった毛並み、地を這うような低い体勢。
五体の視線が、一行に向けられていた。
「……ウゥゥ、ガァッ!」
あんな&みゆ「うるさい!」
ベアトリス「うるさいですわ!」
三人の声が、綺麗に揃った。
次の瞬間――
ヒュンッ!!
ドゴォォン!!
バーーーン!!
あんなの鋭い剣気が空気を切り裂き、同時にみゆが手をかざして衝撃波を放つ。
そこにベアトリスが全力で放った火球が重なった。
三方向から放たれた攻撃が、ウルフの群れを一瞬で吹き飛ばした。
あんな「で、じゃんけんする?」
みゆ「……続行。公平性は維持されるべき」
ベアトリス「良いですわ!」
もっふる「ピィー!」
亮「あのー、盛り上がってるところ非常に申し訳ないんだけど……」
あんな「何、パパ?」
亮「ウルフの群れ、もういないよ」
あんな「え?」
みゆ「……個体反応、消失。どこへ行ったの?」
ベアトリス「逃げ出したのですか? どこまでも追いかけますわ!」
亮「いや、君たちが倒したんだよ。今の同時攻撃で、跡形もなく……」
シーーーーン。
三人が顔を見合わせ、信じられないといった様子で周囲を見渡す。
街道には再び、穏やかな静寂が戻っていた。
あんな「……さぁー、魔石回収」
みゆ「……同意。魔石は貴重な資源」
ベアトリス「私もお手伝いしますわ! 獲物の処理も嗜みですわ!」
もっふる「ピィー!」
亮「……みんな、頼もしい限りだな!」
三姉妹(?)と一匹は、手際よく魔石を回収し始めた。
亮はその様子を見守りながら、どこか誇らしげに微笑む。
亮「いやー……本当に強くなったなぁ、みんな」
あんな「パパの出番、なかったね」
みゆ「……いつも通り」
ベアトリス「次はパパにも活躍していただきますわ!」
亮「お、おう……がんばるよ……?」
もっふる「ピィー♪」
ベアトリスはふと思った。
ベアトリス(……これが、神崎家の〝普段〟なのですね……)
三人とも笑っている。
当然のことのように、笑っている。
街道には、今日ものんびりとした風が吹いていた。
ミルナ村まで、まだ少し距離がある。
けれど、誰も急ぐ様子はなかった。
亮「よし、行くか! 今日のスローライフ、まだまだ続くぞ!」
あんな「脅威が消える速度はスローじゃなかったけどね」
みゆ「……時間にして、約三秒」
ベアトリス「じゃんけんの練習もしておいた方がよさそうですわ!」
もっふる「ピィー!」
家族の笑い声が、木漏れ日の中に溶けていった。
こうして――
ミルナ村への旅路は、魔物が姿を見せる暇もないほどに守られていた。
じゃんけんの結果が出る前に脅威が消え去るという、
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、
何事もなかったかのように再開されるーー。
穏やかな温泉街がパニックの渦に!?
なんと、湯船で待ち構えていたのはお酒を嗜む「猿」だった?
伝説の村を「街」へと変えた亮のやらかし(?)に、もっふると娘たちも大困惑!?
次回、
第78話 え、パパが勇者!? 村が大発展!? 温泉で猿とサシ飲みしてたら女湯が悲鳴の渦ー!?
至福のスローライフ、その裏で不穏な影が動き出す……
今回も娘たちの鋭いツッコミと、家族の絆全開でお届けします。
神崎家のドタバタ異世界スローライフ(?)、
新章、ぜひ楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!
亮「あ、あの……もしよければでいいんだけど、応援の★やブックマークをしてもらえると嬉しいな!
みんなの応援が、俺が頑張る一番の力になるんだ。……なんて、ちょっと格好つけすぎかな?」
あんな「もう、パパがもじもじしててどうするのよ! 読者の皆さん、パパのやる気を出すために、ぜひ★やブックマークで応援をよろしくお願いします! もちろん、感想も待ってますからね!」
もっふる「ピィー♪」




