第65話 え、パパが勇者!? 深夜の強制宴と次なる目的地ー!? 拒否権ゼロの神様接待! 次に向かうはー!?
温泉が噴き出し、村中が跪くという異様な光景のまま、事態は止まることを知らなかった。
村長マーレイが涙を流しながら、亮の前に額を擦り付ける。
村長「亮様……いえ、神様……! 本当に、本当にありがとうございます! これで、この村は救われます! 飢えることも、乾くことも、寒さに震えることもありません!」
亮「いや、ほんとに違うんですって! 俺はただの、しがないお父さんで……」
村人A「おお……! なんというお慈悲! 自らを『ただの父』と称されるとは……!」
村人B「やはり、我らと同じ目線に立ってくださる、真の神様だ……!!」
あんな「パパ、何言っても逆効果だよ。……ほら、みゆも言って」
みゆ「……手遅れ。完全にミルナ村の教典に刻まれました。……修正、不可能」
亮「いやー、だってさ! ダウジング棒が本当に反応したんだよ! ほら、この棒!」
あんな「パパ、それ絶対ただの棒だって!それ絶対偶然でしょ!? 」
みゆ「天然の極み」
もっふる「ピィー!」
村長「おおお……! 神様のお導きで、水と癒やしの湯が同時に……! 皆のもの、今日は全力でおもてなしをさせてください! 宴の準備じゃー! 最高の酒と肉を持ってこいー!!」
村人たち「おおおおーっ!! 宴だ、宴だー!!」 「神様ー!」「ありがたやー!」
亮「え、ちょっと待って! 宴は昨日リーネ村でやったばかりだし……!」
あんな「……また宴? 毎日お祭り騒ぎじゃない?」
みゆ「……デジャヴ。ですが、拒否権は消失」
その夜、ミルナ村では急遽、もはや「儀式」に近いほど盛大な宴が開かれた。
焚き火を囲み、村人たちが次々と感謝の言葉を口にする。
だが、その様子はリーネ村の時とは明らかに違っていた。
村人A「神様、どうぞこちらへ! 特等席です!」
村人B「神様、お座りください! クッションが足りないか!?」
亮「いやいや、神様じゃないから! 亮でいいよ、呼び捨てでも!」
村長「亮様、どうぞこちらの、特別に作らせました最高級の席へ!」
村人たちが亮を囲み、まるで貢ぎ物のように次々と料理を運んでくる。
亮「ちょ、ちょっと待って! こんなに食べきれないって! みんなも食べてよ!」
あんな「パパ、完全に神様扱いだよ。……もう笑うしかないね」
みゆ「……崇拝レベル、計測上限突破。村人の信仰心がデータとして目に見えるようです」
もっふる「ピィー……」
村人C「水神様のご家族も、どうぞこちらへ! 最高のジュースを用意しました!」
村人D「もっふる様も! この最高級の木の実をどうぞ!」
もっふる「ピィー!?」
子どもたち「もっふる様ー! かわいいー! 触ってもいいですか神様!」
あんな「もっふるまで神格化されてるし……」
みゆ「……家族全員、神聖不可侵の領域に達成」
宴は深夜を過ぎても一向に衰える気配がない。
村人たちは次々と亮の前に現れては涙を流して感謝し、歌い、踊り、笑った。
亮は疲れ果てた様子で、焚き火の前に座り込んでいた。
亮「……もう、何言っても無駄だな……。俺、明日から神様として生きていかなきゃいけないのかな……」
あんな「パパ、お疲れ様。……まあ、この村だけだよ、たぶん」
みゆ「……神様扱い、村の伝説として定着」
村長が、再び亮の前に恭しく現れた。
村長「亮様、本当にありがとうございました。この恩、一生忘れません。……ところで、亮様。しばらくこの村に滞在してくださるのですか?」
亮「いえ、明日にはスローライフ旅行を再開します!」
あんな「……今のところは、ギリギリ、スローライフ旅行……だよね?」
みゆ「……客観的データに基づけば、既に『神の巡幸』と化していますが、続行中」
村長「そうですか……残念です。ではせめて、ここから馬車で三日の距離にある『商業都市』へ行かれてはどうじゃ? あそこなら、あらゆる国の珍品が集まりますぞ」
亮「商業都市! いいですね! 行きたいです!」
村長「ええ。大きな市場があって、世界中の品物が手に入ります。……もしかすると、亮様が探しておられる『お米』の情報もあるかもしれません」
あんな「パパ! お米の情報だって! ありそうだね!」
みゆ「……商業都市の流通規模から推測。入手確率、大幅に上昇」
亮「よーし! 次は商業都市だー! 待ってろよ、お米ー!!」
翌朝。
神崎家が村を出ようとすると、村人たちが総出で見送りに来ていた。
村人A「神様ーーーっ!!」
村人B「水神様、さようならーーーっ!!」
子どもたち「もっふる様ーーーっ!!」
もっふる「ピィー♪」
村長「道中気をつけて。商業都市までの地図、描いておきましたよ。……神のご加護があらんことを!」
亮「ありがとうございます! 村長さんも、みんなも元気で!」
あんな「お世話になりましたー!」
みゆ「……感謝。さようなら」
村人たちが手を振る中、神崎家ともっふるはミルナ村を後にした。
村を出てしばらく歩き、村の姿が見えなくなった頃、あんながぽつりとつぶやいた。
あんな「……パパ。また神様扱いされたね。王都の時より激しかった気がするよ」
みゆ「……計算結果。水源三つと温泉一つ。神格化率、100%。もはや勇者を超えて創造主扱い」
亮「いやー、でもみんなが助かって良かったじゃん! 温泉も気持ちよさそうだったし!」
あんな「そうだけど……神様はさすがに予想外だったよ……」
みゆ「想定外が定番化」
もっふる「ピィー♪」
亮「よーし、次は商業都市だ! お米の情報、絶対にあるぞ!」
あんな「はいはい、パパの米探しね」
みゆ「目的、ブレない」
もっふる「ピィー♪」
こうして――
神崎家は“ほんのついで”で村を救い、新たな目的地へと向かう。
温泉と水が湧き出たミルナ村を後に、目指すは巨大な商業都市。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
お米の香りを求めて、賑やかな都市へと続いていく!
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豪華な食事に温かい一家の団らん、これぞ理想のスローライフ……と思いきや?
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次回、第66話 え、パパが勇者!? 商業都市で恩返しの波乱!? 再会の商人と囲む温かい食卓!?
商人の情熱とギルドの戦慄——波乱の都市生活が、いま幕を開ける!




