第64話 え、パパが勇者!? 水不足の村で温泉噴火!? ダウジング暴走で村中が拝み始める大パニックー!?
ミルナ村が見えてくると、そこはリーネ村とよく似た、のどかな村だった。
だが、心なしか広場の木々はしおれ、村全体がどんよりとした空気に包まれている。
あんな「あれがミルナ村かな?」
みゆ「リーネ村と規模はほぼ同じ。ですが、植物の水分含有率が極めて低い」
もっふる「ピィー」
村の入口に近づくと、畑仕事をしていた老人がこちらに気づき、力なく腰を上げた。
亮「こんにちはー! ここがミルナ村ですか?」
老人「ああ、そうだよ。お前さん方は……見ない顔じゃな」
亮「俺は神崎亮! 二人は娘のあんなとみゆ。そしてこいつがもっふる! お米の国から来た男だ!」
あんな「だから! その自己紹介やめてって! 」
みゆ「……“お米の国”。定義不明。文化的な混乱を招くのみ」
老人「ははは、面白い家族じゃのう」
あんな「いえ、面白いのはパパだけですから!」
みゆ「です」
老人「ははは、それはそれは…ただ今は、客人をおもてなし出来るほどの余裕がなくてのぉ、悪く思わないでくれ」
亮「やっぱり水不足ですか……」
みゆ「……水脈の枯渇」
老人「なぜ知っておるのじゃ?」
亮「リーネ村の村長さんに聞きました!」
老人「そうか、まぁー雨さえ降れば大丈夫なんじゃが、こう日照り続きではのぉ……」
亮「任せてください!」
あんな「パパ即答してるけど大丈夫?」
みゆ「問題が起きる確率98%」
あんな「さすがのパパも水源探しでは何も起きないでしょ!」
みゆ「パパですから」
村の中心部へ案内されると、村長が出迎えてくれた。
村長「リーネ村村長の知り合いか。よく来てくれた。私はミルナ村の村長、マーレイじゃ」
亮「マーレイ村長!水源探し、手伝わせてください!俺がサクッと見つけてみせますから!」
村長「ありがたい……だが、一体どうやって?」
亮「これだー!」
亮がドヤ顔でアイテムボックスから取り出したのは、二本の細い金属の棒だった。
あんな「……パパ、それ何? もしかしてダウジング?」
みゆ「古来からの方法。不確定要素多数」
あんな「大丈夫なの?」
亮「任せておけー!」
亮は両手に棒を持ち、真剣な顔で歩き出した。
村人たちが興味津々で見守る中、亮は村の広場をぐるぐると回り始めた。
亮「……うーん、この辺りに……いや、ちがうな。こっちか……?」
真剣に棒を見つめてウロウロする亮。
あんなはそれを見送ると、冷静に声をかけた。
あんな「……ねぇ、みゆ」
みゆ「……うん」
あんな「パパは、ほっといて。みゆ、どうする?」
みゆ「……水脈を直接探査します。非効率な探索は時間の無駄」
みゆは静かに地面にしゃがみ込み、そっと手を添えた。
みゆ「……あった。こっち」
村の東側、少し開けた場所を指さす。
村長「おおー、本当か!?」
みゆ「うん。地下15メートルほどに水脈がある」
村長「よーし、村の若い者を集めろー!」
だが、みゆは首を振る。
みゆ「大丈夫です」
みゆは静かに地面へ手を置いた。
次の瞬間――
地面が静かに沈んでいく。
直径1メートルほどの穴が、地中深くへと掘られていく
村人たち「おおおお……!?」
穴を覗き込むと、底から透き通った水が、勢いよく湧き出ていた。
村人A「おおおおおおおおーっ!! 水だ! 本物の水だー!!」
村人B「本当に出た!」
子どもたち「わーい! 水だー!」
みゆ「一箇所だと不安だと思いますので、後二箇所ほど掘ります」
みゆは淡々と、村の西側と南側にも同じように水源を作った。
それぞれの場所から、冷たくて綺麗な水が溢れ出す。
それを見た村人たちは、もはや震えながら叫び始めた。
村人A「ありがたやー!」
村人B「女神様だ……!」
村人C「水神様ー!!」
みゆ「……そんなんではないです。やめてください」
あんな「みゆ、完全に崇拝されてるよ……」
みゆ「不本意」
もっふる「ピィー!」
あんな「……あれ? そういえば、パパは?」
みゆ「……視界から消失。嫌な予感」
その時――
遠くから叫び声が響いた。
亮「うおおおおおおおおおおおお!!」
村人たち「うわああああっ!」「何だこれ!?」
あんな「パパ、また何かやらかした?」
みゆ「確率 100%」
叫び声の方に駆けつけると、人だかりの中心で、全身びしょ濡れの亮が湯気に包まれていた。
辺りには硫黄の匂いが立ち込めている。
亮「見てみて! 温泉出たー!!」
あんな「……温泉って、こんな簡単に、しかも棒二本で出るものなの!?」
みゆ「……パパだから。地質学の常識が、今この瞬間に敗北」
あんな「そっか、パパだもんね……って、で済む問題ー??」
村人たちは亮を見つめた。
そして――。
村人たちは一人、また一人と地面に跪き、亮に向かって頭を下げ始めた。
村人A「か、神様……」
村人B「神様が降臨された……!」
村長「おおお……! 水だけでなく、神の癒やしのお湯まで授けてくださるとは……!」
亮「いやいやいや! 違う違う違う!! 俺、神様じゃないから!」
あんな「パパ、もう無理だよ。完全に神扱いだよ!」
みゆ「……手遅れ。完全に神格化ルートが確定」
もっふる「ピィー」
こうして――
神崎家は“ほんのついで”で、ミルナ村に伝説を作ってしまった。
噴き出す水と温泉、そして跪く村人たち。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
本人の意思とは裏腹に、崇拝の熱気へと包まれていく!
「神様、どうぞ特等席へ!」
水源どころか温泉まで掘り当てたパパ、ついに人智を超えた「創造主」として崇め奉られる!?
拒否権ゼロの超弩級接待に、娘たちのツッコミも虚しく響く深夜の儀式!
熱狂の渦を抜け出し、一家が次に向かうは——待望の「お米」が眠る巨大商業都市!?
次回、第65話 え、パパが勇者!? 深夜の強制宴と次なる目的地ー!? 拒否権ゼロの神様接待! 次に向かうはー!?
止まらない神格化と、加速するお米への執念が交差する!
⭐⭐⭐⭐⭐やブクマ、本当にありがとうございます!
もっふるも喜んでます
「ピィー♪」
家族の物語、引き続き楽しんでもらえたら嬉しいです。
あんな&みゆ「ありがとうございます♪」




