第62話 え、パパが勇者!? リーネ村で大歓迎の祭り騒ぎー!?
王都を出て数日。
視界の先に、神崎家がこの異世界に召喚されて初めて訪れた、懐かしいリーネ村の姿が見えてきた。
あんな「……あ、見えてきた」
みゆ「リーネ村」
亮「懐かしいなぁ〜! みんな元気かなー!」
もっふる「ピィー♪」
丘を越えた瞬間、視界に広がるのは――
あの日と同じ、素朴で温かい村の風景。
畑の緑。
木造の家々。
煙突から上がる白い煙。
亮「帰ってきたって感じだなぁ……!」
村の入口に近づくと、すぐに村人たちが亮たちに気づいて集まってきた。
村人A「おぉー! 亮さんじゃないか! また旅の途中で寄ってくれたのか!」
亮「はい、お邪魔しまーす!」
村人B「ようこそようこそ! また立ち寄ってくださって嬉しいですぞ!」
村人C「あんなさんにみゆさんも! ようこそ、またお立ち寄りいただけるとは!」
子供「もっふるちゃんだー!」
もっふる「ピィー♪」
あんな「……なんか、前より元気じゃない?」
みゆ「活気指数、前回比+230%」
もっふる「ピィ?」
村人A「前に教えてもらった“リーネル飯”は村中で大好評ですぞ! 腹持ちが良くて最高だ!」
村人B「村の名物になったんだ!」
亮「おぉー! それは嬉しい!」
村人A「畑も広げたんですよ! ほら、見てくだされ!」
亮「ほんとだ! すごい広くなってる!」
その時――
村人C「おーい! 今日は祭りだぞー!!」
村人D「肉を用意しろー!」
村人E「酒だー!!」
亮「え、祭り!?」
あんな「今日って何の日?」
村人A「いや、亮さんたちが来たから!」
みゆ「……歓迎の熱量、想定外」
村人B「村長ー! 肉が足りません! 足りませんぞー!」
村長「なにっ、しょうがない! 若いもんを連れて今から狩りに行くぞー!」
村人たち「おぉー!!」
盛り上がる村の様子に、亮は目を丸くする。
亮「……あんな。ここ、こんなに元気な村だったっけ?」
あんな「なんか……雰囲気変わった? 前はもっと、のんびりしてた気がするけど」
みゆ「……分析。パパへの感謝が、村全体に暴走気味」
もっふる「ピィ……」
亮「よーし、俺も狩りのお手伝いに行くぞー!」
あんな「はいはい、パパは邪魔になるからお留守番ね」
亮「えっ!?」
みゆ「パパが行くと“余計な仕事”が増える確率85%」
亮「いやいや、手伝うって!」
村人A「客人はゆっくりしててくださいよ!」
亮「そっかー……。何もさせてもらえないのは寂しいなぁ」
もっふる「ピィー♪」
村人A「準備は任せてください!」
村長「そうそう。その間、村を案内しましょう」
――こうして、亮とあんな、みゆは村長に連れられて新しくできた畑や井戸を見て回ることになった。
太陽が沈む頃、若者たちが獲物を担いで意気揚々と帰ってきた。
若者「大量だー!!今日は宴だぞー!!」
そこには数羽のウサギだけでなく、立派な牙を持つ大猪まで仕留められている。
亮「ええっ、猪まで!? 凄くない?」
村長「ふふ、あれから村の若いもので“自警団”を作りましてな。毎日鍛錬しておるのだよ」
あんな「すごい……!」
みゆ「パパより強い可能性、浮上」
亮「えぇ!?」
村人たち「ははははは!!」
亮「なんでみんな笑うの!?」
村中が笑いに包まれ、幸せな熱気が広がっていく。
村長「亮さん、もう少し待っていてくださいね。じきに出来上がりますから」
亮「ありがとうございます」
太陽が沈み、広場に大きな焚き火が焚かれる。
村長「さぁー! 準備ができましたぞー!」
村人たち「飲んで、食べてくださーい!!」
テーブルには山盛りの肉、焼き野菜、スープ、パン。
どれも素朴で、どこか懐かしい味。
村の女性「はい、あんなさん。お肉たっぷりですよ」
あんな「わぁ、ありがとう! 美味しそう!」
村の子供「はい、みゆちゃん。これジュースだよ」
みゆ「ビタミン補給に最適。ありがとう」
村人C「もっふる様も!」
もっふる「ピィー♪」
気づけば、もっふるの周りに子どもたちの輪ができている。
子どもたち「もっふる様ー!」「撫でさせてー!」
村人C「あの子がいるだけで、村が明るくなるなぁ」
みゆ「もっふる人気、村全体に波及中」
あんな「前回もそうだったね!」
もっふる「ピィー♪」
あんな「……あれ? そういえばパパは?」
みゆ「……あちら。騒音レベル最大値」
二人が視線を向けると、
亮は村長と肩を組み、酒を片手に大盛り上がりしていた。
村人A「亮さん! こういう時のために特別に仕込んだルーテ酒があるんです!」
亮「おおっ! 飲む飲む!」
あんな「パパ、ほどほどにね!?」
みゆ「アルコール許容量、すでに超過気味」
亮「大丈夫大丈夫ー!」
――数杯後。
亮「村長ー! 元気にしてましたかー!うおー、ルーテ酒、最高!」
村長「亮さんこそー! はっはっは!今日は朝まで飲み明かしましょうぞ!」
亮「いやー、この村最高! みんな最高! 俺、ここに住むー!」
村人たち「ええっ!?」
あんな「パパ、酔ってる酔ってる!」
みゆ「発言、完全に本気モード。帰巣本能のバグが発生中」
村長「はっはっは! いつでも歓迎しますぞ!」
亮「じゃあ明日から畑仕事やるー!」
あんな&みゆ「やらないよー!!」
村人たち「ははははは!!」
あんな「……パパ、完全に馴染んでるね。どっちが村の人かわかんないよ」
みゆ「適応力、異常」
もっふる「ピィー♪」
宴も佳境に入り、村長が立ち上がって杯を掲げる。
村長「みなの衆! 今日はこの村の恩人、亮さんたちを歓迎する宴じゃ!」
村人たち「おおー!!」
村人A「あの森を浄化してくれたおかげで、村は平和になった!」
村人B「リーネル飯も教えてもらって、腹も満たされてる!」
村人C「本当にありがとうございます!」
亮「いやいや、俺たちは――」
村人たち「乾杯ー!!」
亮「聞いてないー!!」
あんな「パパ、完全に流されてるね」
みゆ「統計的に、パパの意見は通らない」
もっふる「ピィー♪」
さらに盛り上がり、村人たちが歌い始める。
村人たち「♪~(村の民謡)~♪」
亮「おお、いい歌だな!」
村長「亮さんも一緒に!」
亮「え、俺も!? 歌詞わかんないけど!」
あんな「パパ、適当に合わせて!」
みゆ「リズム感、期待薄」
亮「♪ら~ら~ら~♪ お米はどこだ~♪」
村人たち「ははははは!! 亮さん最高だ!!」
もっふる「ピィー♪」
焚き火の炎が揺れ、笑い声が夜空に響く。
村全体が、ひとつの家族のように温かかった。
亮は笑いながら、ふと空を見上げた。
亮「……やっぱり良い村だなぁ。ここでスローライフもありだなぁ」
あんな「パパ、それ毎回言ってるよ」
みゆ「でも、気持ちは分かる」
もっふる「ピィ♪」
酒が入って大盛り上がりの亮。
王都の豪華なディナーも凄かったが、この騒がしくて温かい宴こそが、神崎家にはよく似合っていた。
こうして――
懐かしのリーネ村で、家族は最高の再会と活力を手に入れる。
お米を探す旅の途中で立ち寄った、思い出の場所。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が
村人たちの笑顔と笑い声に包まれて、夜更けまで続いていく。
「ちょっと様子見」が破滅の、いや救済の引き金に!?
水源枯渇の村を救うべく、お気楽パパが信頼度ゼロの即決で緊急出動!
娘たちの呆れ顔をよそに、無自覚なお助け精神が今回も炸裂する!?
パパの「ついで」に巻き込まれる、神崎家ともっふるの運命やいかに!
次回、第63話 え、パパが勇者!? 「ちょっと様子見るだけ」が破滅の呪文!? 信頼度ゼロの即決で平和な村から緊急出動ー!?
無自覚な救済劇が、青空の下でいま加速する!




