第7話 え、パパが勇者!? 静寂の森で初任務ー!?
森の入口に立った瞬間、空気が変わった。肌にまとわりつくような湿った風。木々の奥から響く低いうなり。まるで森そのものが、何かを警告しているようだった。
村の青年たち「ここが西の森です。昔は木の実採りにも入っていたんですが、今は誰も近づかなくて……」
あんな「ここまで案内してくれてありがとう。本当に助かったわ」
みゆ「この先は、私たちで行く」
青年たち「え? でも……もし何かあったら――」
亮「いや、君たちは村に戻ってくれ」
青年たち「えっ?」
亮「森の外でも安全とは限らない。もし危険な魔物が出るなら、村の人たちを守る方が大事だ」
青年たち「……!」
亮は真剣な目で続けた。
亮「村長さんにも伝えてくれ。“俺たちに任せろ”って」
一瞬の沈黙ののち、青年たちは力強くうなずいた。
青年たち「……わかりました。必ず伝えます。気をつけてください!」
亮「心配すんな。俺、頼れるパパだからな!」
あんな「自分で言うんだ……」
みゆ「そもそも見えてない」
青年たちが走り去っていくのを見届け、神崎家ともっふるは森の方を向いた。
亮「よし、行こう。森の奥に何があっても、もう引き返さない」
あんな「……ちょっと、パパが真面目な顔してる」
みゆ「珍しいから、逆にフラグ立った気がする」
亮「おい、縁起でもないこと言うなって!」
もっふる「ピィッ!」
――神崎家ともっふるは、静寂の森へと足を踏み入れる。
森の中は、想像以上に暗かった。木漏れ日が届く場所でも、小動物の姿はまるで消えていた。
あんな「……静かすぎる。動物の気配が全然ない」
みゆ「動物がいないのは不自然。何かに怯えてるのかもしれない」
亮「よし、じゃあ――俺の“お米の祝福”で守ってやる!」
みゆ「どういう効果あるのそれ」
亮「心が満たされる!」
あんな「……それ戦闘に関係ある?」
もっふるが耳をピンと立てた。
「ピィ……!」と鳴いて、木々の間を駆け抜けていく。
あんな「もっふる!?」
みゆ「何か見つけたのかも!」
亮「よし、この奥か」
木々がざわめき、風が森を抜ける。
もっふるが小さく「ピィ……」と鳴いた。
追いつくと、そこには踏み固められた地面が続いていた。草は踏み荒らされ、木の根には泥がこびりついている。ところどころに、小さな足跡がいくつも重なって残っていた。
――まるで群れが通ったような痕跡だった。
みゆがしゃがみ込み、指先をそっと地面に触れる。その瞳がわずかに青く光を帯びた。
みゆ「〈鑑定〉……」
数秒の沈黙のあと、みゆが顔を上げる。
みゆ「……ゴブリンの足跡。間違いない」
亮「ゴブリン!? この辺りに?」
みゆ「今朝早くのもの。まだ乾ききってないし、魔素の残留も新しい」
あんな「ってことは……近くにいるってこと!?」
みゆ「ええ。私たちの気配に気づいている“かもしれない”。警戒を強めて」
亮「おぉ……やっぱりすげぇな、そのスキル!」
みゆ「鑑定スキルだからね」
あんな「すご……もはや探偵じゃん」
みゆ「便利でしょ?」
亮「便利っていうか怖ぇ!」
もっふる「ピィ……」
風がざわりと木々を揺らす。その風の中に、かすかに鼻をつく獣臭が混じっていた。
亮「……来るな。ふっ、俺の出番ってわけか!」
あんな「こういう時にテンション上がるのやめて」
みゆ「でも、もう引き返せないね」
亮「よし、行くぞ! 神崎家、初任務開始だ!」
あんな「パパ、声がでかい!」
みゆ「もうちょっと緊張感持って!」
もっふる「ピィ♪」
――神崎家ともっふるは森の奥へと歩を進めた。
こうして――
神崎家ともっふるは、静寂の森での“初任務”へと挑むことになった。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、森の奥で新たな一歩を踏み出す――!
第8話
え、パパが勇者!? ゴブリン退治でまさかの展開ー!?
あんな「……嫌な予感?」




