【外伝】執念の特訓を笑顔でスルー? 復讐に燃える《紅蓮の輪》でギルドが大混乱ー!?
王都のギルド。
受付カウンターの奥で、ギルドマスターは感心したように書類を確認していた。
ガリオス「最近の《紅蓮の輪》の活躍はすごいな。依頼の達成ペースも、内容の正確さも、以前とは比べものにならん。一体何があったんだ?」
その言葉に、リーダーのガルド・ヘインズは、大盾を背負い直し、どこか強張った笑みを浮かべた。
ガルド「まあな。俺がリーダーとして、しっかり皆をまとめてる結果だ」
レオン「……いや、みんなの目的が『神崎家に勝つ』で一致して、勝手に動いてるだけなんだけどな」
レオン・バルクスは、内心、冷や汗をかきながら空を仰いだ。
かつては実績あるC級として名を馳せていた彼らだったが、その内情はセリナ、リュシア、ミレイアの三人が実質的な意思決定を主導し、ガルドは名目上のリーダー、レオンは彼女たちの間で調整役に徹するという状態だった。
だが、あの日――大会で圧倒的な負けを喫し、挙句の果てにダンジョンで神崎家に救われたあの日から、彼らの空気は一変した。
セリナ「ガリオス。次の依頼は何? どんなに泥臭い仕事でも構わないわ。あの小娘に、二度とあんな憐れむような目で見させないためならね」
セリナ・フェルドは、腰の剣を強く握りしめ、嫌味を隠そうともせずに吐き捨てた。
彼女のプライドは、あんなの無邪気な言葉によって粉々に砕け散っている。
リュシア「効率的な魔力運用、および戦術の再構築。あのみゆという娘に、これ以上『分析不足』などと指摘させるわけにはいきません。次は必ず、論理的にねじ伏せます」
リュシア・ノアールは、氷のように冷たい声で付け加えた。
知性マウントを得意としていた彼女にとって、みゆに理屈で負けたことは、消えない汚点となっていた。
ミレイア「ふふ、そうですね。私も亮さんには、たっぷり『お礼』をしないといけませんもの。……あんな風に、私の言葉を笑顔で聞き流されたのは初めてですから」
愛想よく微笑むミレイア・クロウだが、その背後にはどす黒いオーラが立ち上っている。
彼女の「善意を装った言葉攻め」を天然で無効化した亮への執念は、パーティの中でも一番深いかもしれない。
もはや名目上のリーダーであるガルドの声など、彼女たちの耳には届いていない。
だが、その歪な「執念」こそが、今の《紅蓮の輪》を狂気的なまでの強さへと押し上げていた。
レオン「……次は勝つ。いや、勝たないとこの人たちの気が済まないんだ。俺、もう胃が痛いよ……」
ガリオスは、目の前の5人が纏う、異様なまでの「殺気」と「やる気」に気圧され、たじろいだ。
ガリオス「理由はともかく、お前たちがここまで必死に依頼をこなすのはギルドとしても助かる。だが、その執念の矛先は一体どこに向かっているんだ?」
紅蓮の輪の面々は無言で拳を握り、ただ一点を見つめていた。
「決まっている。あの一家に、次は必ず思い知らせてやる」
ガリオスがふと窓の外を見ると、そこには今日も元気に散歩をする神崎家の姿があったのだ。
「あ……」
あんなとみゆがこちらに気づいて、満面の笑みで手を振った。
こうして――
神崎家という強烈な壁にぶつかり、プライドをズタズタにされた《紅蓮の輪》は、復讐にも似た努力で最強のC級への道を歩み始めていた。
今回は視点を変えまして、実は(?)努力家だった《紅蓮の輪》の面々を描かせていただきました。
最強の天然一家・神崎家にプライドをズタズタにされた結果、図らずも「最強のC級」へと覚醒しつつある彼ら……。
違う視点から見る彼らはいかがでしたでしょうか?
神崎家にとっては日常の一コマでも、周囲にとっては人生を変える大事件?
そんな温度差を楽しんでいただけていれば幸いです。
さて、いよいよ明日朝8時より、本編第六章がスタートいたします!
亮パパのやらかしと、娘たちの華麗な(?)フォロー、そしてさらに加速する勘違いの嵐……。
これまでと同様に、いえ、これまで以上に楽しんでいただけたら嬉しいです。
明日の更新をお楽しみに!




