第54話 え、パパが勇者!? 激闘の後は宿屋で爆睡!? お米を忘れて皇女様を徹夜させる大失態ー!?
王城での嵐のような手合わせを終え、神崎家の一行はようやくいつもの宿屋へと辿り着いた。
豪華な馬車から降り、見慣れた宿の看板を目にした瞬間、あんなが大きく伸びをする。
「おかえりなさい!」
宿の主人が笑顔で迎えてくれる。
テーブルに座った瞬間、三人は同時にぐでーっと脱力した。
あんな「ふぅー! 緊張したぁ……。まさかお城に連行されて、皇女様と剣を交えるなんて思ってもみなかったよ」
みゆ「精神的疲労が蓄積。脳内リソースの92%が睡眠を要求しています。……お腹も空きました」
もっふる「ピィ……」
料理が運ばれてくると、空気は一気に“日常”へ戻った。
亮「王都の飯はうまいなー! これ毎日食べたい!」
あんな「皇女様、あれでまだ余裕あったよね……」
みゆ「……マルティナさん、魔力の見方が鋭い」
もっふる「ピィー♪」
そんな中、ふと亮が箸を止め、何かに気づいたように天井を見上げた。
亮「……あ」
あんな「どうしたの、パパ。急に神妙な顔して」
亮「……レオニア様に、お米のこと詳しく教えるって約束したのに忘れてた」
みゆ「……パパらしい。データの欠落、通常運転です」
もっふる「ピィー」
亮「いや、だってさ! あんなの試合すごかったし、みゆの魔法もすごかったし、なんか色々あって……忘れた!」
あんな「もう、パパらしいっていうか……。でもまあ、あんなに凄い剣を貰っちゃったんだし、お米はまた今度、話せばいいんじゃない?」
みゆ「……むしろ、向こうから来る気がする」
亮「え、来るの?」
もっふる「ピィ♪」
神崎家ともっふるの会話は、戦いの緊張感とは無縁の、いつもの温度だった。
部屋に戻ると、三人はベッドに倒れ込んだ。
あんな「ふぅ……今日は濃かったね」
みゆ「……睡眠。おやすみなさい」
もっふる「ピィー♪」
亮は窓の外を見ながら、王都の夜景に目を細めた。
亮「よし、今日はもう寝よう。明日こそ、スローライフだ!」
あんな「スローライフ……できるといいね」
みゆ「……できない気しかしない」
もっふる「ピィー♪」
だが、亮が眠りについたその頃、王城ではレオニア皇女が「お米……一体どんな奥深い武術の隠語なのだ……」と夜通し古文書を調べていることなど、神崎家はまだ知る由もありませんでした。
――そして、その空のさらに遥か。
女神は、穏やかな微笑みを浮かべていた。
ふふ……あの家族は、どこまで私の予想を裏切ってくれるのでしょう。
王都の威信をかけた大きな大会ですら、彼らにとっては家族の時間を彩るひと幕に過ぎなかったようですね。
無自覚なままに常識を塗り替えていくあの勇者の背中と、 その想いに応えるように、誇り高く、けれど優しく舞った娘たちの姿。 たとえ相手が敵意を向けてこようとも、彼らはそれを「ファンサービス」と笑い飛ばし、 目の前の困難よりも、誰かの窮地を救うために迷わず手を差し伸べる道を選びました。
使命感ではなく、純粋な気持ちで……。 ただ幸せを分かち合い歩む彼らの姿は、戦いの熱狂さえも温かな光へと変えていく。
最強の力を持ちながら、誰かを打ち負かすことよりも家族で囲む食卓を愛でるその純粋な想いこそが、 この世界で最も強く、そして優しい魔法なのかもしれませんね。
さて……次はどんな日々を紡ぐのでしょう。 不穏な影が忍び寄る深い階層で、あの家族はまた一つ、奇跡を日常に変えてしまうのでしょうか。
光が揺れ、風がそっと雲を払う。 その微笑みは、どこまでも澄み渡る空のように優しかった。
こうして――
激動の一日を終えた神崎家に、ようやく静かな夜が訪れ、
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、
お米への未練を明日の活力に変えて、穏やかに続いていくのでした。
第四章「大会編~大会優勝より大事なもの、家族で挑む波乱の救出劇!?~」は、これにて一区切りとなります。
王都の大舞台で、気づけば国家規模の騒動に巻き込まれていた神崎家ですが、亮の「全力の勘違い」と娘たちの「全力のフォロー」により、今回も(本人的には)平和に解決(?)いたしました。
最強のFランクとして名を馳せてしまったパパですが、果たして今度こそ、念願の「お米のあるスローライフ」に辿り着けるのでしょうか……?
(おそらく、次なる王都のトラブルがそれを許してくれません)
このあと、王都での賑やかな余韻を描く【外伝】を少しだけ挟み、第五章ではさらにスケールアップした(パパのやらかしが加速する)新展開が始まります。 引き続き、神崎家の「天然無双な日常」を見守っていただけたら嬉しいです!
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
もし「パパ、またやらかしてる(笑)」
「神崎家、ちょっといいな」
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パパが調子にのりますけど、私たちが止めまーす⁉
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もっふる「ピィー♪」




