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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第四章 大会編〜大会優勝より大事なもの、家族で挑む波乱の救出劇!?〜

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59/90

第53話 え、パパが勇者!? スローライフ開始一分で強制連行!? 王城で皇女様とガチバトルー!?

女王蜘蛛グラントを討伐したことで、空を覆っていたどす黒い霧が、嘘のように晴れていく。

包んでいた異常な結界が解け、異常な魔力反応も薄れていった。

だが、倒された木々は元には戻らない。

荒れた森が元の姿を取り戻すには、きっと時間が必要だろう。


ガルド「しかし……不思議だったよな。急に動きが鈍くなって」


ブロス「あれがなかったら、正直やばかったです」


ガルド「ああ、命拾いした。……亮さん、あんなさん、みゆさん。お礼を言わせてくれ。あんたたちが来なけりゃ、俺たちは今頃蜘蛛の餌だった」


セリナ「……ま、とりあえず、お礼だけは言っておくわ。とりあえずよ!」


リュシア「助かったのは事実だしね」


ミレイア「感謝はしますわ。ええ、感謝“だけ”は」


不器用な感謝を口にする《紅蓮の輪》と、改めて頭を下げる《蒼流の連》。


ブロス「本当に助かった」


亮「いいんだよ、みんな無事で。よーし、じゃあ帰ろー!」


あんな「賛成!美味しいもの食べたい!」


みゆ「虫は嫌い。即刻離脱」


もっふる「ピィー♪」


紅蓮の輪と蒼流の連が胸を叩く。


「帰りは任せろ! 俺たちが守ってやる!」


その言葉通り、神崎家はVIP待遇で無事に帰還した。

ギルドマスター・ガリオスへの報告を済ませ、ようやく一息ついたギルドのロビー。


亮「さぁー、明日からスローライフだー!」


あんな「嫌な予感しかしない!」


みゆ「パパのフラグ構築完了です」


もっふる「ピィー!」


ギルド中に笑い声が響く中、ガリオスは去りゆく神崎家の背中を、複雑な眼差しで見つめていた。

翌朝。宿屋の爽やかな陽光の中で、亮は大きく伸びをした。


亮「よーし、スローライフ一日目だー!」


だが、その宣言から一分も経たないうちに、部屋のドアが重々しくノックされた。


コンコン。


使いの者「突然の訪問にて失礼いたします。私は第一皇女レオニア殿下の命を受け、お迎えに上がりました。……神崎亮殿でお間違いございませんか?」


亮「はい……そうですが……」


あんな「パパー! 今度は何したのー!?」


みゆ「最速のスローライフ終了」


もっふる「ピィー」


使いの者「亮様、並びにあんな様、みゆ様、そしてそちらの獣魔様もご一緒に、城へとお招きするようにとの仰せにございます。既に馬車を宿の前に待機させております。何卒、皆さまご一緒にお越しいただければと存じます」


あんな「私たちも? パパのトラブル病が伝染したのかも!」


みゆ「それは迷惑。ヒールでは回復しない」


亮「今回は何もしてないぞ…」


使いの者「さあ、こちらへ。皆様を無事にお連れすることが、私の務めにございます」


宿を出ると、王家の紋章が入った、目も眩むような豪華な馬車が停まっていた。


あんな「この馬車、揺れないね」


みゆ「パパの車の運転より静か」


亮「いやー確かに静かだな」


みゆ「高度な振動制御魔法の付与を確認。王都の技術です」


亮「さすが王家の馬車だー」


もっふる「ピィー♪」


到着した王城は圧倒されるほど巨大で美しく、一行はその威容に圧倒された。

豪華な応接室に通され、しばらくすると、凛とした足音と共に数名の男女が入室してきた。

その中心に立つのは、まばゆいばかりの気品を纏った美しい女性。

亮たちは反射的に立ち上がった。


ライオネル「……皆様、お控えを。第一皇女レオニア殿下であらせられる」


傍らに控える騎士団長ライオネルが、重厚な声で紹介する。

彼はまず客人である亮たちに主君を紹介し、その場の秩序を保とうとした。


レオニア「団長、堅苦しい挨拶は抜きにしましょう。今回は非公式の招きなのですから」


レオニア皇女は涼やかに笑い、椅子に深く腰を下ろした。


レオニア「私が第一皇女、レオニアです。そしてこちらは王立魔術師団団長、マルティナ・アーヴェント」


あんな「こ、皇女様……?」


レオニア皇女は、真っ直ぐに神崎家を見据えた。


レオニア「さて……あなたたち、大会を棄権したでしょ」


あんな「す、すみません……」


亮「あれは俺が決めたことです。娘たちに責任はありません」


レオニア「責めているわけじゃないわ。ただ……私の楽しみが減ったの。だから――今から手合わせしなさい」


あんな「皇女様とですか!?」


レオニア「そうよ。あなたの実力を肌で感じたいの。ね、ライオネル」


ライオネル「試合を見て興味を持たれたのだ」


マルティナ「私もその1人よ。あなたに興味があるの、みゆ」


みゆ「……」


レオニア「さ、演習場へ行くわよ!」


あんな「今からですか?」


レオニア「そうよ。その為に呼んだのですから」


みゆ「……」


演習場は、ドラゴンが暴れても壊れないという化け物施設だった。


亮「すごいな……ところで勝ったら何か貰えるの?」


あんな「パパー!」


みゆ「この状況でその発言、さすがパパ」


もっふる「ピィー」


ライオネル「なっ……! 貴様、皇女様になんという無礼な……!」


レオニア「よい、ライオネル。面白い男ではないか。……いいわ、もし私に勝てたら、この剣をやろう」


亮「お米ではないのですね……」


ライオネル「この剣は王国一だぞ!」


レオニア「お米? 後で詳しく聞かせなさい」


亮「…おっ! 手がかりがつかめるかも」


レオニア「さあ、あんな。全力で来い!」


あんな「……よろしくお願いします!」


鋭い金属音が響き渡る。

レオニアの剣は速く、重い。だが、あんなはそれを最小限の動きで避けていく。

剣は交わるが、お互い当たらない。


レオニアは確信した。


レオニア「……ここまでにしましょう」


ライオネル「これまで!」


レオニア「あんな、あなたは欲がないのね」


あんな「……」


亮「あれ? 終わったの?」


レオニア「楽しかったわ! また遊びに来い。毎日でもいいぞ!」


あんな「いや、それは……」


ライオネル「レオニア様!」


レオニア「冗談よ! ほら、約束の剣だ」


あんな「勝敗はついていませんけど……」


レオニア「私を楽しませた礼だ」


亮「おぉーラッキーだなー」


続いて、マルティナがみゆの前に立った。


マルティナ「さあ、みゆ。魔法をひとつ見せてほしい」


みゆは小さく頷き、前に出た。


詠唱はない。

ただ、手をそっと掲げる。

爆発も、熱も、風もない。

それなのに――

空間が、色づいた。

幾層もの色が重なり、揺らぎ、存在している。


マルティナ「……なるほど、君は魔法を“放って”いない」


みゆ「はい」


マルティナ「構築して……置いているだけだな」


みゆ「見せるだけって言われたので」


マルティナ「……これ、どれくらい維持できる?」


みゆ「壊さなければ、ずっとです」


沈黙が流れ、そして師団長は断言した。


「君は、この国で“教わる側”ではない。我々が、学ぶ側だ」


レオニア「それほどまでか」


マルティナ「はい、レオニア様」


亮「おぉーみゆ、学校の先生になれるぞー」


みゆ「いや、望んでない」


レオニア「娘たちをそれぞれの師範にするのはどうだ?」


あんな「辞退します」


みゆ「同じくです」


ライオネル「見事にふられましたな」


亮「2人とも即決だなー」


あんな&みゆ「パパー!」


こうして――

王都の最高権力者たちにその実力を知られてしまった神崎家。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、

本人の希望とは裏腹に、王族をも巻き込む大騒動へと加速?していくのだった。

王都を揺るがした激闘から一転、神崎家は安定の「即寝」モード! 娘たちの快挙も皇女様との手合わせも、美味しいご飯の前では二の次三の次!? そんな中、パパがうっかりやらかした「最大級の忘れ物」とは――。

「お米の話、忘れてた!」 その一言が、真面目すぎる皇女様を「お米=伝説の武術」と勘違いさせ、徹夜の迷走へと叩き込む! 無自覚なパパの放置プレイが、王城の知性をジワジワと削っていく!?


次回、第54話 え、パパが勇者!? 激闘の後は宿屋で爆睡!? お米を忘れて皇女様を徹夜させる大失態ー!?

女神様も見守る(呆れる?)神崎家。明日こそ、夢のスローライフは掴めるのか!?


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