第48話 え、パパが勇者!? 食欲全開で猪鍋(素材)を狙ったら返り討ち!? 無意味なスキル発動でパパ、吹っ飛ばされるー!?
転移陣の淡い光が収まると、石造りの空間だった。
あんな「10階層までクリアしてたから、転移できて良かったね」
みゆ「あのギミック地獄はつらい……」
亮「確かに!」
目の前の巨大な扉に手をかけた。
亮「さぁー、未知の11階層だー!」
もっふる「ピィー♪」
重厚な扉を押し開けると、そこには地下とは思えない光景が広がっていた。
亮「これが地下なのかー! 空まであるよー!」
みゆ「高密度魔力による“空間拡張”。典型的なタイプ」
亮「だけど、これぞ定番! こういうのを待ってたのよねー!」
あんな「パパのテンション高っ!」
みゆ「……テンション異常」
あんな「パパ、何しに来たか忘れてないよね?」
亮「もちろん、大丈夫だよー!」
あんな「ただ、この広大な場所で探すのは至難だよね。最後に目撃されたのは?」
みゆ「漠然としてるけど……北西の方角」
あんな「みゆ、探索できる?」
みゆ「任せて、お姉ちゃん」
みゆ「《サーチ》……探索開始。……距離にして約20キロの地点。……不可解な反応。サーチを阻害する魔力のもやが停滞し、生体反応が一切検知できないエリアがあります」
あんな「そこが怪しいよね」
亮「よし、とりあえず向かってみるか。慎重に行こう」
もっふる「ピィ―!」
魔力異常の場所を目指して歩く神崎家ともっふる。
亮「この辺は異常は見当たらないなー。お、あそこにいるのは……」
みゆ「……《鑑定》フォレストウルフ」
亮「おぉーウルフ! 定番!」
あんな「群れで襲ってくるから気をつけて!」
亮「任せろー!」
亮は剣を構え、2匹、3匹と軽快に倒していく。
あんな「パパやるじゃん!」
みゆ「……やらかさないパターン」
さらに森の奥へ進むと、今度は巨大な猪が道を塞いでいた。
みゆ「……ワイルドボア」
亮「おぉーボアって猪だよねー! 猪鍋、一回食べてみたい!」
あんな「パパ? 持って帰るつもりなの?」
亮「お? 良いねー! アイテムボックスに入れて持って帰ろう!」
みゆ「……自分でね。後は倒しておくから」
あんな「ワイルドボアは結構強いよ! 突進力半端ないから飛ばされないようにね!」
亮「任せておけー! 今日は帰ったら猪鍋だー!」
――が。
ワイルドボアが亮めがけて突進。
あまりの速度に、間一髪かわすのがやっと。
あんな「パパ気をつけてよ!」
みゆ「……危険予測が甘い」
気づけば、残りのワイルドボアはあんなとみゆが倒していた。
亮「大丈夫だよー。今はちょっとびっくりしただけだー」
しかし、剣を構える暇もなく、再び突進。
亮「ちょっと早い! 待ったー!」
慌てて逃げ出す亮。
あんな「ワイルドボアとパパ、どっちが速い?」
みゆ「……ワイルドボア」
もっふる「ピィー!」
あんな&みゆ「……ちょっとやばい!?」
亮「観戦してないで、なんとか……!」
ワイルドボアが亮のお尻めがけて突進。
亮は大木を2本倒す勢いで吹っ飛ばされた。
あんな「パパ!? 大丈夫?」
みゆ「……たぶん」
亮「いってー……」
亮は立ち上がり、剣を構えた。
その雰囲気は、いつもと違う。
あんな「……何かが起こる?」
みゆ「……フラグ?」
亮「スキル! 《お米の祝福》」
シーーーーン。
あんな「……え?」
みゆ「……ギャグ?」
ワイルドボアが突進。
亮「わーー止まらない! もっふるー金切り声ー!」
もっふる「ピィ?」
亮「ピィー? じゃなくて金切り声だよー!」
――と言っている間に、再び吹っ飛ばされる。
亮「ワーーー!」
あんな「パパーー!」
みゆ「……学習してない」
亮「わぁぁー! 今度こそは!」
ようやく剣がボアを捉え、光の粒子となって消滅させた。
あんな「パパナイス!」
みゆ「……《ヒール》」
亮「みゆ、ありがとう。 ……あれ?倒したワイルドボアは?」
みゆ「消滅。ダンジョンの魔物なので、倒すと魔力に還元されます」
亮「そんなぁ……。あんなに苦労したのに、猪鍋ぇぇ……」
あんな「そんなことより先を急ごう!」
みゆ「了解」
亮「おぉ、そうだな」
もっふる「ピィー」
しばらく森を進むと、みゆが急に足を止めた。
みゆ「……この先、魔力異常」
あんな「見た目は普通の森と変わらないけど……」
みゆ「それが狙いなのか、自然現象なのかは不明。視覚情報が書き換えられている可能性がある」
亮「……よし、行こう!」
こうして――
パパの猪鍋への野望は無惨にも散り、不気味な静寂が支配する未知の領域へ
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、
かつてない不穏な空気の中へと突き進んでいく。
一歩進めば閉じ込められる、脱出不能の「見えない壁」! 地獄の結界に迷い込んだ神崎家を待っていたのは、最強の魔物……ではなく「虫」!?
いつも冷静なみゆが、恐怖でキャラ崩壊&魔法を乱射! 巨大カマキリ一匹を倒すために、森を一つ消滅させるオーバーキルが炸裂! 世界を救う力があっても、女子にとって「虫」は絶対無理な天敵だった!?
次回、第49話 え、パパが勇者!? 脱出不能の虫地獄! 魔法乱射で森ごと消滅ー!?
最強の娘たちがまさかの戦意喪失!? パパ、今こそ頼れる背中を見せる時……かも!?




