第46話 え、パパが勇者!? 不戦勝に気絶で娘が連勝!? パパだけ「運がいい」と笑ってたら事態は急変ー!?
いつもの宿屋『白風亭』の朝は、相変わらず騒がしい。
あんな「パパ! ほら、もっふるの毛並み整えてないで、早く行くよ!」
亮「あはは、ごめんごめん。もっふるが気持ちよさそうにしてたからさ。よし、今日も一日楽しもうか!」
みゆ「……準備完了」
もっふる「ピィ♪」
会場に到着すると、昨日以上の熱気が神崎家を包み込む。
実況「さあ! 武闘大会・第二回戦・第三試合――アンナ・カンザキ VS フォルカー!」
あんな親衛隊の応援が飛ぶ。
「あんなちゃーーん! 今日もその凛々しい姿を焼き付けてくれーー!」
「あんなちゃんマジ天使! マジ太陽!」
亮「あんなーー! 今回も楽しめよーー!」
もっふる「ピィ、ピィーー!」
実況「さぁ第二回戦! 一回戦は相手が勝手に落ちてラッキーでしたが、今回はどうなるか!」
対戦相手のフォルカーは、身の丈ほどもある大剣を肩に担ぎ、鼻で笑った。
フォルカー「フン、一回戦は相手が勝手に舞台から落ちてラッキーだったな。だが俺様はそんなヘマはしねえ。その細い腕をへし折ってやるぜ」
あんな「……分からなかったの? その程度なのね、あなた」
あんなは静かに構えもせず、ただ真っ直ぐに相手を見据えた。
審判「――はじめ!」
ドサッ。
実況「…………え?」
開始の合図と同時だった。フォルカーが、まるで糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちたのだ。
実況「す、すみません、状況が全く分からないのですが……フォルカー選手が倒れている! 立ち上がりません!」
審判「……フォルカー、戦闘不能! 勝者、アンナ・カンザキ!」
あんな親衛隊「うおおおーー! さすがだあんなちゃーーん! 見てないけど凄いぞーー!」
あんなが悠然と舞台を降りる中、貴賓席では冷や汗を流す男がいた。
ライオネル「レオニア様、優勝者と対戦とおっしゃられていましたが……あの、あんなとか言う女性と戦って、勝てるのですか?」
レオニア「ふ。そういうあなたはどうなんですの? 騎士団長殿」
ライオネル「さぁー、ご想像にお任せしますよ」
レオニアは小さく笑い、視線を舞台へ戻した。
亮「お、今度はみゆの番だ!」
こちらも、みゆ親衛隊の応援が飛ぶ!
「みゆ様ーー!」
「知的な瞳で僕たちを計算してくださーい!」
実況「……えー。魔術大会・第二回戦・第五試合ですが、対戦相手の選手が現れません!」
審判「……不戦勝! 勝者、ミユ・カンザキ!」
実況「えーと……相手選手、棄権とのことです!」
亮「おー、みゆ、ラッキーだったな! 美人だと得をするんだなー。あんなの相手は勝手に倒れるし、みゆの相手は来ないしで。やっぱり神崎家の娘は世界一だな!」
みゆ「……評価基準が雑です、パパ」
亮「今日はこれで試合は終わりだな。明日に備えて……どうする? 試合見ていくか?」
あんな「私はお祭り行きたい!」
みゆ「……賛成」
亮「よーし、せっかくだから楽しもう!」
俺たちは賑やかな王都の祭りを堪能し、屋台をハシゴして回った。
娘たちが楽しそうに笑っているだけで、俺はもう大満足だ。
そうして、平和な一日は宿屋に戻ることで幕を閉じた……はずだった。
宿屋の食堂は朝からざわついていた。
「聞いたか? 紅蓮の輪の話」
「え?」
「ダンジョンで行方不明になったらしい」
「え? どういうこと?」
「大会に出てたよな?」
「負けたのが悔しくて、あの後すぐ潜ったらしい」
「無茶しすぎだろ……」
亮「……ちょっと、ギルドに行ってくる」
あんな「パパー!? ちょっと待ってよ、私たちも行くってば!」
みゆ「……待ってよ」
もっふる「ピィ!」
こうして――
棚ぼた続き?の連勝の裏で、かつての対戦相手に魔の手が忍び寄り、
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、
不穏な影に包まれ始めました。
「人が人を助けるのに、理由が必要なんですか?」 国家行事の栄光をゴミ箱にポイ捨てして、即決で危険地帯へ大爆走! 理屈抜きで動く神崎家の「お人好し」が、ついに限界突破!
大会優勝よりも仲間の命! 娘たちまで二つ返事で棄権しちゃう、このパパにしてこの子ありな熱血展開に全米が(たぶん)泣いた!?
次回、第47話 え、パパが勇者!? 国家行事をドタキャンして11階層へ突撃ー!?
常識を脱ぎ捨てて突き進め! 史上最強の「お節介一家」がダンジョンの闇を照らす!




