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パパ、またやらかしてる! 〜50歳天然パパ、娘2人ともっふるで挑む最強Fランク家族の無自覚無双スローライフ〜  作者: Kou
第三章 迷宮編~家族で挑む、仕掛けだらけの地下世界⁉~

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第39話 え、パパが勇者!?  空中戦は盾で防げ! 炸裂する姉妹のコンボと謎の無拍剣!

巨大スライムの影が、落下中の亮たちの視界を真っ黒に染め上げる。

直撃まで、あと数秒。


亮「やばいやばいやばい、何かアイテム、アイテム、アイテムーー……あったー!!」


亮はアイテムボックスから、第八階層で手に入れた盾をひったくるように取り出した。


亮「あんな! みゆ! これを持てぇぇぇ!」


亮は自分用の盾を胸元に引き寄せながら、残りの盾を二人の手元へ向かって思い切り放り投げた。


あんな「えっ、ちょ、パパ!? ――ナイス! 掴んだ!」


みゆ「……キャッチ!」


亮「もっふる、こっちへ!」


もっふる「ピィィッ!」


あんなとみゆは空中で盾のグリップをガシッと掴むと、もっふるを中央に抱え込むようにして、三人で盾の壁を即座に完成させた!


ボヨォォォォォォォォンッ!!!


強烈な衝撃。


だが、三人が即座に連結させた盾の壁が、巨大スライムの圧力をギリギリのところで受け止めた。しかし、あまりの勢いに亮たちは弾き飛ばされ、「床」へと転がり落ちた。


あんな「……っ、生きてる。パパ、ナイス判断! 盾が役に立ったね!」


亮「八階層のお宝がありがたい! これ、人数分あって本当に良かった……!」


みゆ「……威力、半減された。盾による衝撃分散、成功」


巨大スライムは、再び「ポヨン……ポヨン……」と巨体を震わせ、次の跳躍に備えている。


あんな「後はもうギミックないよね?」


みゆ「……分からない、役割分担は必要。ここからは“対応力”が重要」


亮「お、おう……」


あんな「もっふる。砂時計の監視お願い。残り少なくなったら合図して!」


もっふる「ピィ!」


あんな「みゆ、同時にいくよ!」


みゆ「了解。《フロスト・アロー》(凍矢)」


あんなが鋭く踏み込み、剣を一閃。

みゆの氷魔法は巨大スライムへ直撃。


だが――


あんなの剣撃は、


パァンッ!


と無情に弾かれた。


あんな「えっ!?」


亮「なんで!?」


巨大スライムの表面がぷるんと震え――


ポヨンッ!


小型スライムが分裂して飛び出した。


亮「増えた!?」


みゆ「……来る」


もっふる「ピィーー!!」


ゴウンッ。


その瞬間、世界が反転する。


あんな「もう一回同時にいくよ!」


みゆ「《フロスト・アロー》(凍矢)」


あんなは剣を一閃。


今度は――


みゆの魔法が弾かれ、

あんなの剣撃が通った。


あんな「どういうこと!? さっきと逆じゃない!」


みゆ「……分裂スライム、また出現」


亮「どうなってるの?」


みゆ「……これまでのギミックの複合型。正転時は『物理が有効・魔法反射』、逆転時は『魔法が有効・物理反射』。そして反射が発生するたびに、スライムは分裂する。……厄介」


亮「なるほど……いや、頼もしすぎるだろ」


あんな「景色が上下対称だから分かりにくいね」


みゆ「そこが罠」


あんな「パパ、分裂したスライムお願い!もっと増えるかも!」


亮「任せておけー!」


ポヨンポヨンと跳ねる小型スライム二匹。

亮は剣を構え、必死に追いかける。


亮「お前ら、地味に速いんだよな!!」


その背後で、姉妹の素晴らしい連携が始まった。

巨大スライムへ集中攻撃。


みゆ「《フロスト・アロー》」


あんな「はぁっ!!」


正転・逆転のタイミングを読み、


二人はまるで呼吸を合わせたように攻撃を切り替えていく。


……すげぇ


あんなは光の翼があるかのように軽やかに踏み込み、

みゆは静かに、正確に魔法を撃ち込む。


あんな――セラフィックブレイダー〈光翼の守護姫〉


みゆ――サイレントアークメイジ〈無音の魔導士姫〉


亮(……誰がつけたか知らないけど。あんなは光の翼があるみたいに魔物に向かっていくし、みゆは静かに、的確に魔法をぶつけてる。……ほんと、娘ながらすごい二人だな)


娘たちの成長に目を細める亮。


だが、巨大スライムの再生力は凄まじく、決定打に欠ける。

亮は感心しつつも、焦りが募る。

決定打が出ないのだ。


亮(……まずい。このままではジリ貧だ。前の記憶が蘇る……このままじゃ、また同じことを繰り返す……!)


かつての苦い経験が亮の脳裏をよぎる。

同じ失敗を繰り返す未来。

胸がざわつく。

だが、その時だった。


その時、みゆが静かに両手を広げた。


左手には形なく流れる「清流」、右手には鋭く形を成す「氷晶」。

二つの魔力が螺旋を描きながら、一つの巨大な奔流へと混ざり合っていく。

その周囲だけ、空気がピキピキと凍りつき、白い霧が立ち込めた。


みゆ「《サイレント・フリーズ》(静寂の凍てつく抱擁)」


水を媒介にした過冷却の魔法が、ボスの芯まで浸透する。

一瞬で白く染まり、芯から結晶化していく。


それは荒々しい凍結ではなく、世界そのものが深い眠りについたかのような、静穏で神秘的な拘束だった。


みゆ「……固定、完了」


ボスは、その巨体を震わせることすら忘れ、美しく煌めく氷像へと変わった。


あんなは、息を吸わない。

構えもしない。

みゆが作り出した「静止した世界」を壊さないよう、ただ一歩、静かに踏み出した。


そして――次の瞬間。


ボスの巨体は、一筋の閃光と共に真っ二つに両断されていた。

斬られたことすら、氷は気づいていない。


一拍遅れて、


パキィィィ……


と、繊細な音を立ててボスの巨体が崩れ落ちる。


エメラルド色の光の粒がゆっくりと天井へ舞い上がると、部屋を埋め尽くしていた重圧が嘘のように消えていった。


亮「……え? 今、振った?」


あんな「……うん」


亮「今の剣、名前あるのか?」


あんな「……ないけど?」


みゆ「今のは“無拍剣(むはくけん)”。拍が存在しない」


亮「決まりだな!! あんなの奥義は『無拍剣(むはくけん)』だ!」


パパの弾んだ声が、静まり返った広間に響く。

その声に導かれるように、あんなとみゆの緊張がふっと解けた。


あんな「……はぁ。なんか、一気に疲れがきたかも……」


みゆ「……同じく」


亮「お疲れ様。二人とも、本当にかっこよかったぞ」


もっふる「ピィー♪」


しばしの間、家族三人と一匹は、ボスが消えた後の静かな空間で、自分たちの荒い呼吸だけを聞いていた。

亮がゆっくりと顔を上げた。

その視線の先、広間の中央。


宝箱が、スポットライトを浴びるように出現していた。


亮「ボス戦だったし、最後は家族そろって……」


あんな「え、ちょ、ちょっと待って!」


みゆ「私もやるのー?」


亮「もちろん! 三人で開けるからこそ価値があるんだから」


亮は宝箱の前に立ち、軽く腕を回す。


亮「よ〜し、それじゃあ――」


亮&あんな&みゆ「いざ、オーーープン!!!」


もっふる「ピィー♪」


重厚な蓋がゆっくりと開き、中から眩いばかりの光が溢れ出す。

三人が身を乗り出して覗き込むと、そこには一本の剣が鎮座していた。


あんな「わぁ……きれい」


亮「おおおっ! 剣だ!」


それは、エメラルドのように透き通った緑色の刀身を持つ、細身で美しい剣だった。 あまりの美しさに、亮は思わず手を伸ばし、恭しくその柄を握りしめる。


亮「……なんだこれ、軽い。それに、なんか手に吸い付くような感覚だ。なぁ、みゆ、これって……?」


亮に促され、みゆが静かに一歩前へ出た。その瞳が淡く光る。


みゆ「鑑定」


名称『翠霊のスライム・エクステンダー


みゆ「…………スライムを攻撃するときに、効果絶大!」


亮「最後までスライムだったな……」


家族の笑いが、静かな部屋に響く。


奥の扉が開いた。


右手には下へ降りる階段。

左手には帰還用の転送魔法陣。


亮「よし、帰ろう!」


あんな「……」


みゆ「……」


あんな「そうだね」


みゆ「いい即決」


こうして――

十階層を突破し、迷わず帰還を選んだ神崎家ともっふる。

ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)

今日もまた、笑いながら家へ帰っていくのだった。

激闘の果て、ついに十階層を攻略した神崎家! 魔法陣の光の先で彼らを待っていたのは、王都を揺らす大歓声と五歳の天才皇子即位の噂だった⁉

次回、第40話『え、パパが勇者⁉ 十階層を突破したのにFランク⁉ 天才皇子の即位と、パパの「お米」基準なスローライフ』

最強のFランク、爆誕! 嫌味なエリートさえも天然スマイルで無力化するパパの勢いは、もう誰にも止められない!


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