第4話 え、パパが勇者!? ――草原の先、そして小さな村へ
もっふる「ピィ♪」
ふわふわの毛を揺らしながら、もっふるが草むらをちょこちょこ歩いて進む。 その後ろを、父がご機嫌で鼻歌を歌いながらついていく。
亮「おっ、見ろよあんな! もっふる、ちゃんと道案内してくれてるぞ!」
あんな「……いや、それ、たぶん前を歩いているだけだから」
亮「いやいや、これはもう“導き”ってやつだ! 俺とこいつ、絆でつながってるからな!」
みゆ「その“絆”って、パパが勝手に抱きついたときのやつでしょ……というか、方向あってるの? さっきから同じ景色ばっかりなんだけど」
亮「問題ない! 自然は俺に語りかけてる。“こっちが米のある方角だ”ってな!」
あんな「……自然まで米基準なの?」
みゆ「もうその発言、ちょっと才能の域ね」
あんなは苦笑しながらも、家族の歩く後ろ姿を見つめる。
この世界に来てから不安だったけど、こうして笑っていられるのは――やっぱり、この父の底抜けな明るさのおかげなのかもしれない。
その時だった。
あんな「……あれ? パパ、見て」
亮「お? なんだ、あの煙は?」
みゆ「……炊飯の煙、ではないと思うけど」
亮「いや、わからんぞ? ご飯を炊いている煙かもしれない!」
丘の向こうから、白い煙がゆるやかに上がっていた。 神崎ファミリーともっふるが小道を進むと、木柵で囲まれた小さな村が見えてくる。
あんな「……ほんとにあったんだ。村」
みゆ「完全に偶然だけどね」
亮「ほらな! 俺の“米センサー”が導いたんだよ!」
あんな&みゆ「絶対ちがーーーう!!」
村の入口では、畑を耕していた老人が顔を上げ、目を丸くした。
老人「おや、旅の人かい? 珍しいのう、このあたりじゃ見かけん顔じゃ」
その声が耳に届いた瞬間――三人は、はっとして顔を見合わせた。
意味が、分かる。まるで日本語のように、自然に理解できる。
一瞬、混乱しかけたが、これも女神様の加護……。
(……本当に、言葉が理解できる……)
胸の中で小さくつぶやき、三人は微笑みを返す。
亮「俺は神崎亮! 二人は娘のあんなとみゆ。そしてこいつがもっふる! お米の国から来た男だ!」
あんな「だから! その自己紹介やめてって!」
みゆ「“お米の国”とか意味不明だから……」
老人はぽかんとしたあと、くすりと笑った。
老人「はっはっは! 面白いお人じゃの。宿なら広場の先の村長の家を訪ねるとええ。ちょうど今、夕飯の仕度をしておると思うぞ。」
亮「夕飯!? 聞いたか、みんな! 飯だぞ、飯! もしかしたら白米かも!」
あんな「この世界に白米あるわけないでしょ!」
もっふる「ピィッ!」
亮「もっふるも食べる気満々だな!」
勢いそのままに亮は村の中へ。
あんな「……もう止めても無駄だよね」
みゆ「うん。どうせ止める前に何か起こすから」
二人が苦笑しながら後を追うと、夕焼けに照らされた村の空気が、どこか懐かしく包み込んでくれた。
――こうして、
偶然たどり着いた小さな村。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、 小さな村で、また一つ、物語が動き出す――!




