第3話 え、パパが勇者!? 今度は獣魔と契約して遊び始めた!?
風が草原を渡り、揺れる草の間を三人の笑い声が駆け抜けていった。
父の冗談にツッコミを入れた余韻が残るまま、家族は村を目指して歩いていく。
――そんな穏やかな時間の中で。
風に揺れる草の間から、そっと顔を覗かせたのは――ふわふわの体に、ウサギのような長い耳。リスのようにふさふさした尾を揺らす、まるい可愛らしい姿。身長はおよそ50cmほどで、草むらから姿を現すと、ペンギンのような歩き方で近づいてきた。
「ピィ♪」
みゆ「……なにあれ。ウサギ? いや、リス? どっちにしても、まるすぎない?」
あんな「え、あれって……ぬいぐるみが勝手に歩いてるだけじゃないの?」
亮「おぉっ、可愛い! あれは――異世界公認マスコットだー!」
あんな&みゆ「誰が公認したのよーー!」
亮は娘たちのツッコミを気にすることなく、ズイッと前に出て、何の躊躇もなく手を差し出した。
あんな「パパやめて、それ正体不明なんだから……!」
みゆ「よし、試してみるか。『鑑定』」
みゆの目が一瞬光る。
みゆ「……《鑑定》 これは――アヴィレプス。通称モフリット。
鳥獣系の小型獣魔だね。
・基本は温和、臆病。
・危険時に“戦闘形態”へ変化。金切り声で短時間の麻痺を発生。
・跳躍と回避能力が高くて、仲間の攻撃を少し強化する“支援型”。
……で、この子は特別。黄金羽の“金翼個体”。通常よりステータスが高くて、将来的にはAランクまで進化する可能性あり。」
その詳細な説明に、あんなは思わず感心したように息をついた。
あんな「鑑定って、色々な事が分かって便利だね。女神様ってやっぱりすごい」
みゆ「……うん、そうだね。すごいと思う」
あんな「ところで、“特別”ってどういうこと?」
みゆ「金色の羽があるみたい。鑑定で分かったんだ」
二人がモフリットを見やると、可愛らしい金色の小さな羽が光っているのが分かった。
あんな「ホントだ……かわいい」
みゆ「……ね、こんな特別な子が目の前にいるなんて、幸先いいよねー」
亮「へぇ〜、特別なんだな。つまり、進化したらもっと可愛くなるってことだな」
あんな&みゆ「ちがうってば!」
そんなやり取りの中、いきなり――
モフリットに父が抱きついた。
「ピィ♪」
その瞬間、思った以上にずっしりとした重みが腕に伝わり、父は「おぉっ!」と声を上げる。
亮「意外と重いな……でも、なんか抱き心地いいぞ!」
「ピィ♡」
その時――
「《スキル発動:“お米の祝福”》 《相性の良い魔物と契約が可能になります》」
亮「おぉっ!? 今なんか来た! これ、もしかして――契約!? やったーー!!」
みゆ「米関係なくない!?」
一瞬の沈黙。姉妹は顔を見合わせ、同時に笑みを浮かべた。
あんな「……でも、契約しちゃったなら仕方ないか。えっと……その子の名前は?」
亮「う〜ん……よし、お前の名前はもっふるだ!」
もっふる「ピィ♡」
そして父はそのまま、草原をもっふると追いかけっこを始める。もっふるはちょこちょこと草の間を進み、父は笑いながら追いかける。時折もっふるを抱き上げると、そのずっしりした重みでバランスを崩しそうになりながらも、楽しそうに走り回るのだった。
みゆ「……パパ、異世界に来てまで本気で遊んでる……」
あんな「ていうか、村探してたのに話進んでないよね……」
こうして――
天然の父としっかり者の姉妹による
ツッコミどころ満載な家族の異世界スローライフ(?)の村を探す旅は、まだまだ続いていく――!




