第22話 え、パパが勇者!? 規格外すぎるスキルの代償!?
窓から差し込む柔らかな光が、重いまぶたを刺激した。
亮がうっすらと意識を取り戻すと、そこは見慣れた宿屋の天井だった。
体を起こそうとした瞬間、力が抜け落ちる。
あんな「パパ、無理しないで」
亮が視線を動かすと、視線の先には、あんながじっとこちらを見守る姿があった。
その奥、隣のベッドには――
みゆが上半身だけを起こし、かすかに微笑んでいる。
亮「二人とも大丈夫か?」
あんな「うん」
みゆ「大丈夫、心配しないで」
二人の顔を見た瞬間、涙が滲んだ……
そして、天井を見上げたまま息を吐く。
亮「……着いたんだな」
あんな「……着いたね」
亮はゆっくりと部屋の空気を確かめるように周囲を見渡した。
そのとき、ふと気づく。
亮「あれ?ルークさんとカイルさん。リーナさんまで……どうして?」
ルーク「……どうしてではないでしょ!」
カイル「まあまあ、ルーク殿、落ち着いて!意識も戻られたことですしギルドに報告しに行きましょう」
リーナ「私も業務に戻ります。何かありましたら連絡してください」
部屋に残ったのはいつもの家族だけ。
だが、その静けさは普段とは違う重さを感じていた。
あんな「……あの後」
ぽつりと、話し始める。
あんな「……門番さんが気づいて、ギルドに連絡してくれたの。
すぐに冒険者さんたちとリーナさんが駆けつけてくれて運んでくれた……」
あんなは一度息を整えてから、続けた。
あんな「ルークさんとカイルさんも血相変えて飛んできてくれたのよ。無事だと分かっても目が覚めるまではここにいると言って、三人とも……」
亮「そっか……心配かけた…な」
「ゴン、ゴン」
静まり返った部屋に、ノックの音が鋭く響いた。
「入るぞ!」
部屋の扉が勢いよく開き顔を真っ赤にしたギルドマスター・ガリオスが入ってきた。
その後ろには、ルークの姿もある。
ガリオス「亮!!この、大馬鹿者がッ!!」
部屋の空気が一気に張りつめた。
その張りつめた空気を裂くように、ルークが一歩踏み出した。
ルーク「ギルマス、落ち着いてください! 二人とも、まだ安静が必要なんです!今は無事に帰ったことを……」
ガリオス「結果論だ!一つ間違えば、三人とも戻らなかった!」
その一言で部屋の空気が凍りついた。
そして改めて思い知らされる――この異世界での現実。
ガリオス「亮、元気になったら改めて俺の部屋に来い。以上だ!」
亮「……分かった」
部屋から出ていくガリオスの背中は、何かとてつもなく大きく見えた。
ルーク「私も帰ります……。亮さん、ギルマスも私もたくさんの仲間が……、いや、いいです……」
言いかけてやめた。
言わなくても一番分かっているのはこの人たちだよな。
だからこそ、ここまで無茶をしてでも助けたかったのだから。
あんな「パパもみゆも……今はゆっくり寝て、私も少し横になるね……」
こうして――
命の危機を越え、神崎家はようやく“日常”へ戻ってきた。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、相変わらず波乱の予感しかしない。




