第19話 え、パパが勇者!? 病気のお母さんを救う薬草探しへー!?
王都の朝。
宿屋「白風亭」の食堂は、焼きパンと温かなスープの香りで満ちていた。
亮「昨日のあの子……大丈夫かなぁ」
あんな「……やっぱり気になってたんだ、パパ」
みゆ「母親の容体、深刻そうだったしね」
もっふる「ピィ」
朝食を終えた神崎家は、昨日ティオと別れた下町へ向かった。
──王都の外れ。古い石壁の家が並ぶ細い通り。
亮「たしか、このへんの家だったな」
あんな「うん、すぐ分かるよ」
みゆ「行こう」
扉をノックすると、昨日の少年ティオが顔を出した。
ティオ「あっ! おじさんたち!」
亮「お、おじさん!? まぁ……そうだけど……!」
あんな「パパ、五十歳は普通におじさんだから」
みゆ「統計的にも確定」
もっふる「ピィ」
亮「……もう、みんなして。参ったな」
冗談混じりのやり取りにもティオの顔が、晴れない。
ティオ「お母さん……まだ苦しそうで……」
家に上がると、母親は浅い呼吸で横たわっていた。
亮「これは……放っておけないな」
みゆは静かに手をかざし、状態を調べる。
みゆ「必要な薬草、分かった。“シルフ草”だよ」
あんな「パパ、決まりだね」
亮「もちろん! 困ってる人を見捨てるわけないだろ!」
ティオ「ほ、ほんとに……助けてくれるの?」
亮「任せてくれ! おじさん……いや、パパ……いやおじさんだ!」
あんな「どっちよ!」
みゆ「混乱中!」
こうしてシルフ草の手がかりを聞きに、神崎家はすぐに王都ギルドへ向かった。
受付のリーナは、神崎家を見ると穏やかな笑顔で迎えた。
リーナ「みなさん、今日はどうされましたか?」
あんな「薬草を探したいの。シルフ草、知ってますか?」
リーナ「……シルフ草ですね。少々お待ちください」
リーナは急ぎ足で奥へ向かう。
すぐ戻ってきたが、その顔は真剣だった。
リーナ「ギルドマスターが、お会いになります。こちらへどうぞ」
ギルド応接室にはギルドマスター・ガリオスが座っていた。
威厳ある瞳で神崎家を見つめる。
ガリオス「シルフ草を求めていると聞いた。理由を聞いてもいいか?」
亮「昨日助けた子の、お母さんが病気なんです。それで必要だってことが分かって……」
ガリオス「事情は理解した。シルフ草は王都近辺にはない。150キロほど離れた辺境の山岳地帯だ。涼しく、水の綺麗な場所にだけ自生する」
あんな「そんな遠くなんだ……!」
みゆ「なるほど……だから手に入らないわけね」
ガリオス「あの辺りはD〜Bランクの魔物が出る。奥に入らなければBランクと遭遇することはそう多くないが……、本来ならば“Cランク以上のパーティ”での正式依頼となる場所だ」
亮「でも……行きます。困ってる子がいるから」
ガリオス「無茶はしないようにな。ただし今回は正式依頼ではなく“私的な救助行動”扱いだ。報酬は出ないが……それでも行くか?」
亮「もちろんです!」
あんな「パパ、迷いゼロだね」
みゆ「分かりきってたけど!」
もっふる「ピィ!」
ガリオス「この地図とシルフ草の絵を持って行きない。必ず無事に帰ってこいよ、お前たち!」
神崎家はシルフ草を求め、150キロ先の山岳地帯へ向かう決意を固めた。
こうして――
渡された地図を握りしめ、幼い少年の涙を拭うために、迷うことなく未知の旅路へと視線を向ける神崎家ともっふる。
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が、誰かの笑顔を取り戻すための新たな一歩を、力強く踏み出す――!




