第18話 え、パパが勇者!? 初依頼でまさかの救出劇ー!?
王都ギルドでの緊急査定を終えた神崎家は、そのまま受付へと向かった。
朝から人の出入りが絶えないギルド内は、依頼人と冒険者の声が入り混じり、独特の活気に満ちている。
その中で、昨日も対応してくれた受付嬢のリーナが、変わらぬ明るい笑顔で対応してくれた。
リーナ「神崎さん、おはようございます!今日は依頼の受注ですね?」
亮「うん! よろしくね、リーナさん!」
あんな「昨日はありがとうございました」
みゆ「初依頼、お願いします」
もっふる「ピィ♪」
リーナは一度うなずくと、仕事用の落ち着いた表情になり、基本ルールをあらためて説明し始める。
リーナ「初心者の方は全員Fランクからスタートです。受けられる依頼は、一つ上のEランクまで。依頼を10回連続で達成すればランク昇格。Cランク以上になると、昇格試験があります。あと……1ヶ月依頼ゼロだと、ギルドカードは無効になります」
亮「ひえぇ……期限付きなんだね……」
あんな「当たり前でしょ」
みゆ「普通は、そんなにサボらないわ」
もっふる「ピィ!」
リーナ「依頼は、あちらの掲示板に貼ってあります。内容を見て、好きなものを選んでくださいね」
亮「分かりました、ありがとうございます」
三人は掲示板の前へ向かった。
木製の掲示板には、薬草採集、荷物運び、街道の見回りなど、大小さまざまな依頼書がびっしりと貼られている。
亮「よし、これにしよう! 薬草採り!」
あんな「初めてだし、無難ね」
みゆ「パパにしては、無難なのを選んだね」
亮「だろー? 異世界ものの定番だし!一度はやってみたかったんだよ、薬草採取!」
決まった依頼書を手に、再びカウンターへ戻る。
亮「これ、お願いします」
リーナ「薬草採集ですね。ここに書いてある数は最低限ですので、それ以上取れた分も買い取ります。安心してください」
亮「了解です。任せておいてください♪」
あんな「なんか嫌な予感しかしないんだけど……」
みゆ「フラグがたったよね」
もっふる「ピィー」
王都より少し離れた草原。
そこで、みゆは足を止め、静かに手をかざした。
みゆ「広域スキャン……薬草ポイント、三十七」
亮「え、何それ?天才すぎん!?」
もっふる「ピィ!」
薬草採集は驚くほど順調だった――その時。
「きゃああああぁぁっ!!」
鋭い悲鳴が、響いた。
あんな「パパ! 右奥に小型魔物!」
みゆ「七体のウルフ……子どもが囲まれてる!」
亮「行くぞ!!」
もっふる「ピィッ!」
亮は迷いなく駆け出し、魔物の間へ飛び込む。
子どもを抱き寄せ、そのまま地面を転がった。
亮「もう大丈夫だよ!」
子ども「う、うん……!」
背後から迫る魔物の群れ。
その時、みゆの手が淡く光った。
みゆ「《サイレント・バースト(無音衝撃)》」
爆音なき衝撃波が魔物たちを吹き飛ばし、数体が地面に転がった。
体勢を崩した残りの魔物へ、あんなが迷いなく踏み込んだ。
流れるような剣撃が閃き、魔物を一体残らず斬り伏せた。
もっふる「ピィ!」
亮「ふう……間に合った……」
子どもを下ろし、ほっと息をついたところで、亮は改めて問いかける。
亮「俺は亮。君の名前は?」
子ども「…ティオ」
亮「ティオ君か、良い名前だ。……どうして、こんなところに一人で?」
ティオは視線を落とし、小さな袋をぎゅっと握りしめた。
ティオ「……お母さんが、病気で。薬草が必要で……僕、探しに来たの」
ティオは唇を噛みしめ、必死に涙をこらえていた。
あんな「危なすぎるよ……」
みゆ「この薬草……回復系の薬草!」
亮「じゃあさ、これ。分けてあげる!」
亮は採集した薬草の中から、必要なものを数本選び、ティオに差し出した。
ティオ「いいの……!?」
亮「もちろん! 困ってる人は助けないとね!」
あんな「パパらしいね」
みゆ「方向性は、間違ってないわ」
もっふる「ピィ〜♫」
亮「よし、じゃあ家まで送ろう!」
ティオの家は王都の外れにあった。
質素な部屋の奥、ベッドには顔色の悪い母親が横になっている。
母親「本当に……本当にありがとうございます……」
亮「気にしないでください!きっと、すぐ元気になりますよ」
あんな&みゆ「お大事にしてください」
その後、神崎家はギルドへ行き、採集した薬草と魔物の魔石を提出した。
受付のリーナは、それを見て思わず目を見開く。
リーナ「えっ……ウルフの魔石!? 薬草採集中、ですよね!?」
周囲の冒険者たち「また何かやらかしたのか……?」「Fランク冒険者が、初日からウルフの群れを……?」
リーナ「あ、いえ……亮さんなら……まぁ、そうですね」
冒険者たち「あぁ……亮さんなら……」
あんな「納得されてる……いや、なんで!?」
みゆ「パパの扱い、完全に“災害枠”ね」
亮「どういうこと!?」
夕方、宿屋《白風亭》では、温かい料理が次々と運ばれてきた。
亮「いや〜、今日もいいことしたなぁ……!」
あんな「結果的には、ね」
みゆ「まぁ、子どもが無事なら良かったわ」
もっふる「ピィ♪」
こうして――
無事に?初依頼をクリアしたFランク冒険者神崎家!
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)は、初依頼からすでに、波乱と優しさに満ちていた。




