第2話 え、パパが勇者!? 異世界スタートが草原なんですけど!? これからどうなるのー?
――まぶしい光に包まれて、次に目を開けたとき。
ふわふわの草原に、三人が立っていた。
見渡せば、どこまでも広がる大地。聞こえるのは、風が草をすり抜ける音だけ。
不思議な静けさ――まるで、空気そのものが別の法則でできているようだった。
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あんな「……なにこれ。どこ?」
みゆ「異世界、なんだろうけど……なんか、空気が違う。軽いっていうか、透き通ってるっていうか」
みゆは足元の草を指でつまむ。青とも緑ともつかない淡い色の葉が、触れた瞬間に微かに光を散らした。
亮「はぁ〜、空気がうまいな! 地球より澄んでる気がする!」
あんな「パパ、緊張感ゼロ!」
みゆ「ていうか、召喚とか転生って、普通は神殿とか王城に呼ばれるんじゃないの? なんでいきなり野外スタートなのよ…」
あんな「ほんとそれ。それに、あの女神様、もう少し説明してくれても良かったのに…」
亮「まぁまぁ。ほら、異世界って言ったら、まずは冒険でしょ! ここにテント張って拠点つくるか!」
――そんなことを言いながら、三人はふと互いの姿を見て驚いた。
みゆ「お姉ちゃん、その剣……本物みたい!」
あんな「え、ほんと!? 本物? ……でも軽いし、初めてなのにこんなに馴染むなんて……女神様が持たせてくれた初期装備ってことかな?」
亮「ふたりともすごいな! 勇者パパも負けてないぞ! マントに金の飾り、肩の装甲もイケてる!」
みゆ「あ、ほんとだ。ちょっとカッコよすぎじゃない?」
亮「ふふん。これが“勇者補正”ってやつだな! いや〜、鏡が欲しいな!」
あんな「ちょっと! 自分で“勇者”って言うの? そういうのは周りが呼ぶものでしょ!」
みゆ「確かに。勇者ってセルフで名乗るとちょっと笑える」
亮「ははっ、いいじゃないか! 異世界補正で勇者パパって響きが最強なんだ!」
あんな「……でも、見た目も補正されてる気がする」
みゆ「そうそう。……ていうか、パパ、顔……なんかイケメン度上がってない?」
あんな「ほんとだ! 髪も白くなってるし、目つきもキリッとしてる!」
みゆ「お姉ちゃんも、すごく可愛くなってる。髪さらさらだし、肌もツヤツヤ」
あんな「みゆこそ! ローブ似合いすぎ! なんか、神秘的って感じ!」
二人は顔を見合わせて、思わず笑った。
亮「うん、美人姉妹だな。この世界で噂になるぞ〜!」
みゆ「あー、もうパパの親バカ始まったよ」
あんな「でも……ちょっと嬉しいかも。なんか、強くなった気がする」
亮「異世界補正、最高だな!」
三人はしばし互いの姿を見比べ、補正された外見や装備に感心していた。 その中で、あんなは手にした剣を改めて見つめる。
あんな「この剣持ち歩くのはちょっとねー、どこか収納できないかな?」
その瞬間、あんなの目の前で空間がふわりと揺らぎ、剣が淡い光に包まれて吸い込まれるように消えた。
残ったのは、胸の奥に“しまった”という確かな感覚だけ。
あんな「えっ……ちょ、ちょっと待って! 剣が……消えた!?」
亮「おおっ!? マジかよ、どこ行ったんだ!?」
あんな「変なの……でも、しまえたって感じがする。不思議だけど、自然に分かるの」
みゆは目を閉じ、静かに呟いた。
みゆ「鑑定……アイテムボックス。生き物以外のものは出し入れ自由。食べ物は腐らないらしい。保存にも最適……しかもこれはパパのスキル。大容量のアイテムボックス……かなりのチート級能力だよ」
みゆは少し首をかしげる。
みゆ「……でも、なんで私、鑑定なんてできるんだろう? 女神様の加護に含まれてるのかな。自然に口から出てくるのが不思議」
亮「確かに不思議だな。でも女神様が“家族みんなに加護を与える”って言ってたし、その一部なんだろうな」
あんな「そう考えると、私たちもまだ知らない力があるのかもね」
亮「なるほど……じゃあ俺も試してみるか! アイテムボックス!」
そう言った瞬間、先ほど剣を吸い込んだのと同じ空間が亮の目の前に開いた。 そこに亮は自分の剣と、みゆの杖を入れてみる。二つの装備は光に包まれ、すっと消えていった。
亮「おおっ……入った! しかも、しまったって感覚がちゃんと残ってる!」
あんな「ほんとだ……パパでもできるんだね」
亮「でもって……」
みゆ「やっぱり加護で知識ごとインストールされてるんだと思う。初めてでも自然に扱える」
亮「いや〜、便利すぎる! これなら荷物持ち放題だな!」
あんな「……でも、パパが一番楽しそうなのがちょっと不安」
みゆ「まぁ、チート級なら役立つでしょ。保存もできるし」
亮「よし! これで準備は万端だな!」
そう言って両腕を広げ、草原の風を胸いっぱいに吸い込む。
見渡せば、地平線の向こうにうっすらと青白い山が見えるだけ。町どころか、ひとっこひとりいない。
あんな「このままじゃ野宿になっちゃうよ! まず町探そ!」
みゆ「そうだね。とりあえず行ってみよう」
三人は草原を歩きながら、方角もわからぬまま進み始める。
亮「おっけー! 家族そろって異世界初冒険だー!」
あんな「もう……パパって、どこ行っても楽しそうだねー」
みゆ「ていうか、“勇者”ってどうなったの?」
亮「うむ。“お米の祝福”がある限り、きっとそのうち炊ける!」
あんな&みゆ「……いや、何を?」
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こうして――
勇者(?)パパと、ツッコミ担当(?)の娘たちによる
ツッコミどころ満載な家族の異世界スローライフ(?)が、静かに始まった――!




