第17話 え、パパが勇者!? 娘が姫級チートで父は危険人物ー!?
王都の朝は、村より少しだけ賑やかだった。
宿屋「白風亭」の窓から差し込む光に、もっふるが気持ちよさそうに丸くなる。
そんな静かな朝を破るように、コンコン、と扉を叩く音。
ルーク「亮さん、いますか? ギルドマスターから“至急来てほしい”と」
亮「おおっ、ルークさん! おはよう!」
あんな「……はい、パパ。絶対昨日の件ですよね」
みゆ「色々騒がせてるからね。ギルドが動かない理由がないわ」
もっふる「ピィ!」
――王都ギルド本部。応接室。
重厚な扉を開けると、ギルドマスターが腕を組んだままこちらを見ていた。
元騎士団副団長で、現在はこの街の冒険者を預かる立場にある。
ギルドマスター「来てくれて助かった。私は王都冒険者ギルド・ギルドマスター、ガリオスだ。
さっそくで悪いのだが、昨日の盗賊団の件をルークから報告をもらってな……まずは礼を言わせてほしい。
王都の騎士二名を救い、被害をこれ以上広げずに済ませてくれた。
ギルドマスターとして感謝する。
本来なら正式な場を設けるべきところだが、今回は時間がない。無礼を許してほしい」
亮「いや〜、ルークさんたちを助けただけですよ!
それに、ルークさんとカイルさんには、こちらの方こそ助けてもらいました。
王都まで案内してもらえましたし、色々と話も聞けて、楽しかったです」
あんな「“だけ”って言い方で済む規模じゃなかったでしょ」
みゆ「盗賊二十名以上捕縛、騎士二名救助。普通は騎士団レベル」
亮「えっ、俺そんなにやってた!?」
もっふる「ピィ?」
ルークの報告はすでに上へ届いていたらしい。
ガリオス「倒れていた騎士二名の救助、追撃してきた盗賊の撃退。さらにアジト突入に同行して物資回収まで……」
亮「家族旅行のついでに……」
あんな「ついでじゃないから!」
みゆ「王国騎士救助は国家級案件!」
そのとき、机の上の魔石の山がギラッと光った。
ガリオス「ゴブリンキングを含む、ゴブリンを全滅させ、さらにその森を浄化したとの事だが、間違いないか?」
亮「はい、だいたいあっていると思います」
ガリオス「だいたいって…」
亮「いや〜こう、ガッとやってドーンって」
あんな「説明がゼロよパパ」
みゆ「パパ語は翻訳不能」
ガリオスは深く息をついた。
ガリオス「……結論だ。本来はBクラスからの適性を含めて行うことだが、今回、君たちの“ステータス評価”を行う必要があると判断した」
亮「えっ、大ごとじゃない!?」
あんな「まぁ……当然よね」
みゆ「王都ギルドが確認しないわけない」
魔導板が光り、査定が始まる。
それを合図に円形の魔導陣が床に浮かび上がり、壁際に設置された補助結晶が一斉に淡く輝いた。
空気がわずかに震え、魔力の流れが可視化される。
王都ギルドでも限られた者しか立ち会えない、正式かつ極秘の個別査定だった。
ガリオスは無言でその様子を見守り、
ルークは背筋を伸ばしたまま微動だにしない。
――査定結果。
◆神崎あんな
職業:セラフィックブレイダー(聖翼剣姫)
通り名:〈光翼の守護姫〉
※戦闘適性・反応速度・魔力親和性・対多数戦評価など、
複数の詳細項目が魔導板上に高速で展開されていく。
ガリオス「実戦値はS級以上……正直に言えば、王国騎士団長クラスでも不思議ではない」
あんな「目立ちたくないので、はい、現状維持でお願いします!」
◆神崎みゆ
職業:サイレントアークメイジ(静寂大魔導士)
通り名:〈無音の魔導士姫〉
※魔力量安定性・制御精度・無詠唱適性・属性干渉耐性など、
複数の評価項目が魔導板上に順次表示されていく。
ガリオス「詠唱なしで高威力の魔法を安定して行使できている……
評価としては、大魔導士級と見て差し支えないだろう」
みゆ「評価は不要です。Fでいいので」
◆神崎亮
職業:??(表記不能)
推定実力:???
ガリオス「こんな表示、前例がない……本当に“ただの父親”なのか?」
亮「え?普通の父親ですよ」
あんな「パパが一番危険なの。主に社会的に」
みゆ「戦争レベルの災害よ」
亮「えぇぇぇぇぇ!?」
もっふる「ピィ!」
◆もっふる
種族:金翼のモフリット
評価:Cランク相当(希少種)
ガリオス「聖獣で、千体に一体の……希少種か」
最後に、ゆっくりと告げた。
ガリオス「……結論を言おう。君たちのステータスはギルド最上位機密とする。外部には一切漏らさない」
あんな&みゆ「ありがとうございます」
ガリオス「そして対外ランクは—— Fランクのまま活動してくれ」
亮「助かりますッ!!」
あんな・みゆ・ルーク
「ただし……パパ(亮さん)」
あんな・みゆ・ルーク
「目立つ行為は禁止。絶対です(よ)!」
ルーク「亮さんが一番危険ですので……」
もっふる「ピィー!」
亮「みんな俺にだけ厳しくない!?」
こうして――
神崎家の“極秘ステータス”は守られ、Fランク冒険者として、目立たず?スローライフを目指すのであった。
ツッコミどころ満載な家族の異世界スローライフ(?)は、確実に騒動の種を増やしていく。




