第15話 え、パパが勇者!? 王都の門でまさかの検問トラブルー!?
夜が明け、朝の光が街道を黄金色に染めていた。
しばらく歩くと、空を切り裂くようにそびえ立つ巨大な門が見えてきた。
門の前では旅人や商人が列を作り、通行証を提示しては、入国を許されていた。
あんな「……ついに、ここが王都ね」
みゆ「推定で外壁の高さは二十メートル以上。構造的にも完全な城塞都市ね」
亮「おお〜っ! なんか“三国志の都”みたいだな! でっけぇ!」
カイル「“三国志”…? なんですかそれは?」
ルーク「異国の例えだろう。亮さんの比喩は独特すぎて理解が追いつかないが」
みゆ「パパの例え、九割は通じません」
亮「えっ!? そんなに!?」
もっふる「ピィ♪」
列が進み、一行は検問所の前へ。
門番が旅人ひとりひとりを鋭い目で見回していた。
門番「次の方、名前と出身地を」
亮「はいっ! 神崎亮と、娘のあんなとみゆです! 出身は……“お米の香る国”です!」
門番「……どこですか、それは?」
みゆ「パパ、また創作国名を使ってる」
亮「創作って言うなよ! ちゃんと香るんだって!」
あんな「パパ、その説明がさらに怪しいんだけど」
門番「で……その横を歩いてる羽毛の生き物は何だ?」
(じぃぃーーーっ)
もっふる「ピィ?」
亮「あ、こいつは――俺の契約獣、もっふるです!」
門番「契約獣?……いや待て、その羽……金色……?」
(目が見開く)
あんな「え、気づかれた?」
みゆ「金翼個体は千匹に一匹の確率だから、気づく人は珍しいわね」
門番「せ、千匹に一匹……“金翼のアヴィレプス”…!?
古来“春の守り神”として祀られる聖獣じゃないか……!」
もっふる「ピィ♪」
亮「かわいいだろ?」
門番「かわいいとかじゃなくてですね!? そんな希少種、普通の旅人が連れて歩くものではないでしょう! 私だって見るのは初めてなんです!
亮「へぇ〜、そんなにすごいんだ?……ところで、もっふるって聖獣だったんだ」
みゆ「希少種なのは確かね」
あんな「癒やし効果は最大級だよ。見てるだけで心が落ち着くもん」
亮「そうそう、家族みんな癒されてるんだ」
門番「……いや、俺が言いたいのはそういうことではない!……もういい、話を戻そう。通行証は?」
亮「あ、ないです!」
門番「なに堂々と答えてるんだ!?」
みゆ「パパ、胸張らないで」
あんな「門番さん、田舎の村から出てきたんです。これから冒険者ギルドに登録する予定なんです」
門番「旅人なのに通行証を持っていないとは……」
ルーク「心配はいりません。彼らは俺たちが保証します」
カイル「命を救われた恩もある。悪人ではない」
門番「王国騎士団のルーク殿とカイル殿。任務、ご苦労様です。 お二人の保証とあらば、信頼に値します。入城を許可いたします」
亮「おおっ、やっぱり騎士様ってすげぇ!」
あんな「一緒に来てくれて、本当に良かったね」
みゆ「結果オーライです」
もっふる「ピィ♪」
門番「ただし、王都では身分登録が義務だ。冒険者ギルドで登録書を発行してもらいなさい。後、獣魔登録も」
亮「了解! ありがとう門番さん!」
門番「“さん”付けされたのあなたたちが初めてだな……」
白い石畳が王都の中心へ伸びている。
市場のざわめき、鐘の音、焼きたてパンの香り異世界の都が、家族の前に広がっていた。
亮「うおぉ〜っ……ついに来たな、王都!」
あんな「うん、パパ、ここからはトラブルのないようにね」
みゆ「課題、身分登録と宿の確保」
もっふる「ピィ!」
ルーク「カイル、お前は本部に報告してくれ。俺は、皆を冒険者ギルドに案内してくる」
カイル「了解しました。報告は私にお任せください」
ルーク「では、皆さん、行きましょう」
亮「助かるよ!」
あんな「本当にありがとうございます」
みゆ「トラブル発生確率が下がりましたね」
もっふる「ピィ〜♪」
一同は思わず吹き出し、和やかな空気が流れた。
朝の光に包まれながら、家族は王都へと歩みを進めたその一歩が、新たな物語の始まりを告げていた。
こうして――
思わず笑い合う家族の空気に包まれながら、
ツッコミどころ満載な、家族の異世界スローライフ(?)が――
いよいよ新章・王都編へ突入する!




