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義妹の引き立て役はもう終わりにします  作者: 水空 葵


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47. 取り調べの結果

 あれから少しして。

 イアン様との会話を楽しみんでいると、扉がノックされ執事が部屋に入ってきた。


「殿下、アイリス様。取り調べの結果が出ました。

 これまでの暗殺未遂事件を含め、今回の件は全てザーベッシュ夫妻が計画し、実行に移したようです」

「そうか、分かった。報告ありがとう」

「今後も取り調べは継続しますので、また新しいことが分かりましたらご報告いたします」


 取り調べは一カ月ほどかけて行われる予定で、余罪が無いか念入りに調べられるらしい。


 取り調べが終わると、今度は魔法が使えないように魔封じを施し、洗脳を解いた上で裁判が行われる。そして、認められた罪状に応じた刑罰を受けるのだ。

 どんな罪になるのかはまだ分からないけれど、一番軽くても無期刑が妥当だとイアン様が説明してくれた。


「――それでは、失礼いたします」


 イアン様の補足が終わると、執事は恭しく一礼してから部屋を後にする。

 それを見送って、私は少しだけ残っていたお茶を飲み干した。


「イアン様、そろそろ帰っても大丈夫でしょうか?」

「ああ。屋敷まで送るよ」

「ありがとうございます」


 あまり長居していると伯父様達に心配されると思うから、断りを入れてから立ち上がる。

 遅れてイアン様もお茶を飲み干してから立ち上がり、手を差し出してくれた。


「イアン様、明日は空いていますか?」

「空いているよ」


 廊下を歩きながら問いかけると、すぐに答えが返ってくる。


「新しい魔法の戦い方を思いついたので、試したいのです。付き合って頂けますか?」

「もちろん。いつも通り朝に迎えに行っても大丈夫だろうか?」

「はい、その時間でお願いします」


 魔物と戦ったばかりなのに、魔物と戦いに行きたいと言うのは変だと思う。

 でも、イアン様は普段通りの笑顔で快諾してくれた。


 それからは他愛のないお話をしながら玄関に足を進め、王家の馬車で家路についた。




「――お帰りなさい!」

「無事でよかった。心配したぞ……!」

「お帰りなさいませ、アイリスお嬢様」


 馬車に揺られること数分。

 無事にアースサンド邸に到着した私は、馬車から降りてすぐに伯母様達に出迎えられた。


 よほど心配されていたみたいで、伯母様が駆け寄ってきたかと思えば強く抱き締められる。

 イアン様が見ている前だから恥ずかしいけれど、それに勝るくらいの安心感があるから、離れるつもりはない。


 けれど、イアン様の声が聞こえて、慌ててお義母様から離れ彼に向き直った。


「アイリス、また明日。今日はゆっくり休んで」

「は、はいっ! 送っていただき、ありがとうございました」

「お礼を言いたいのは俺の方だ。本当にありがとう」


 私が一礼すると、彼も礼を返してくれる。

 それから間もなく、イアン様を乗せた馬車が動き出す。


 私は馬車が見えなくなるまで手を振り続けた。




   ◇




 翌朝。

 私はイアン様と共に馬車に揺られ、王都から少し離れた草原に来ている。


 この辺りも魔物が増えていて、既に両手で数えきれないほどの魔物を倒してきた。

 戦っているのは全て私だけれど、魔法での新しい戦い方を試している最中だから、イアン様も攻撃の構えをして備えている。


「次はあのワイバーンを狙ってみますね!」

「分かった。いつでも大丈夫だ」


 ちなみに、新しい戦い方というのは、水魔法で作った魔法陣を維持して、儀式魔法をいつでも使えるようにするもの。


 普通の魔法は、狙いを定めながら魔力の制御もしないといけないから疲れる上に、少しでも制御を誤ると失敗したり、とんでもない量の魔力を使う羽目になってしまう。

 でも、この方法なら狙いを定めながら魔力を流すだけ。どんなに焦っていても失敗することは無いから、楽に魔物を倒せる。


「アイリス、よく水魔法を維持できるね?」

「水魔法は息をするのと同じ感覚で使えるので、寝ていても維持なら出来るのです」

「そんなことまで出来るのか……。アイリスはやはり天才なのだな」


 イアン様に説明したら驚かれてしまったから、この感覚は普通ではないのだと思う。

 でも、出来ることなら楽をしたいから、今の実験を止めようとは思えなかった。


「天才ではないと思います……」


 一応、天才という言葉は否定したいから、そう口にする。

 その時だった。


 ワイバーンが私達に気付いたようで、黒い何かを飛ばしてきた。

 それを避けると、今度はワイバーンまで突っ込んできて、私は魔法陣に魔力を込める。

 すると、ワイバーンに大穴が開き、私達の前に落ちていった。


「やはりワイバーンは速いな」


 呟きながら、構えていた手を下ろすイアン様。

 その時だった。


(……お姉さん、助けて)


 近くから、小さい男の子の声が聞こえてきた。

 声のした方を見ると、さっき落ちてきた黒い何か――私の手で包めそうなくらい小さな鳥と目が合う。

 その鳥は羽が途中で切れ、他にも酷い傷を負っていて、今にも息が絶えそうなほど弱っていた。


 ちなみに、鳥というのは空を飛ぶ動物のことで、魔物とは違う。

 どうして魔物に狩り尽くされずに済んでいるのかは分からないけれど、王都の中でも黒い鳥はよく見られるのよね。


 確か、黒い鳥は捨てられているゴミを綺麗に掃除してくれるとか。

 でも、鳥が話すなんて聞いたことが無いのよね。


「今治すわ」

「アイリス、誰と話しているんだ?」

「イアン様には見えないのですか?」

「まさか、その鳥の雛か?」

「はい、この子です」


 そう口にしながら治癒魔法を使うと、痛々しい傷が羽毛で覆われ、千切れていた羽も生えてきた。

 でも、その羽は私が想像していた形とは違う。


「……これ、竜の幼体だ」

「竜……?」


 イアン様がポツリと呟いた言葉の意味を、すぐには理解出来なかった。

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