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義妹の引き立て役はもう終わりにします  作者: 水空 葵


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34. 王宮の水事情

 あれから一週間。

 王宮勤めの全員に水魔法を使ったお茶を出し終えた私は、保存魔法の効果を確かめることになった。


「料理人が包丁で指を切ってしまったから、今回は彼に試して欲しい」

「分かりました」


 今までは治癒魔法のために傷を作っていたけれど、今回は怪我をした人を治せるらしい。

 人助けをするのは久々だから、嬉しい気持ちが湧いてきた。


「傷、見ても良いですか?」

「お願いします」


 切ったのは手の指のようで、甲に近いところの皮が剥けている。

 人差し指も中指も同じくらいの傷だから、治る速さも見やすそうだ。


「では、かけますね。染みたらごめんなさい」

「大丈夫です」


 保存魔法が失敗していたら、ただ痛むだけになる。

 だから、先に謝ってからグラスに入れておいた水をかけていく。


 すると、普段の水魔法と同じ早さで傷が塞がった。

 作り出したばかりの水をかけても結果は変わらない。


 どうやら保存魔法は成功したらしい。


「……本当に治った。ありがとうございます!」

「また何かあったら言ってくださいね」

「分かりました。では、私は仕事に戻ります」


 言葉を交わすと、料理人さんは部屋を後にした。

 すると、イアン様がこんなことを口にする。


「成功したようだね」

「はい。これで堀に水を入れても大丈夫ですね!」


 彼は複雑そうな表情をしているから、不思議だ。

 保存魔法が成功すれば、魔物対策で堀を満たすことも出来るし、戦いに備えて沢山用意することだって出来る。


 汲んだ水を溜めておく場所に入れておけば、誰かが洗脳をかけられてもすぐに解ける。

 良いことばかりなのに……。


「……何か辛いことでもありましたか?」

「それは大丈夫だ。ただ、これから皆がアイリスを頼るようになるから、辛い思いをさせそうで心配なんだ」

「それは大丈夫だと思いますよ? 水を貯める場所にまとめて作れば、私が動く必要は無いですから」


 どうやら、イアン様は私の心配をしてくれていたらしい。

 大抵の王侯貴族の邸宅には井戸から汲み上げた水を貯めておく場所がある。


 ずっと同じ水を貯め続けていると病の元になるから、数日に一回は空にして掃除することになっているけれど、今も毎日のように王宮に来ているから気にすることは何もないのよね。


「確かに手間は省けるが、魔力は大丈夫なのか?」

「それも大丈夫です」

「分かった。それなら、お願いしたい」

「分かりました」


 イアン様の言葉に頷き、私はさっそく王宮で使われる水を貯めている場所に向かう。

 王宮の井戸で汲み上げられた水は給水塔という場所までポンプという魔道具を使って送られ、各部屋にある蛇口を開けると水が流れ出る仕組みになっている。


 どういう原理かは分からないけれど、一度水を汲み上げたら王宮の最上階でもお水が出てくるから、同じものがアースサンド邸にも欲しくなる。


「ここから階段を昇らないといけないんだけど、大丈夫かな?」

「はい、大丈夫です!」


 今日はヒールが低めの靴だから、王宮よりも遥かに高い塔でも登り切れると思う。

 でも、階段は思っていた以上に長くて、頂上に着く頃には少しだけ疲れを感じた。


「……これを上るのは大変ですね」

「貴族出身の使用人は半分も登れないのだが……アイリスはすごいな」

「ずっと働かされていたので、体力には自信があります」


 そんな言葉を交わしていると、イアン様が重厚な扉の鍵を開ける。

 ここに毒を入れられたら大変だから、入れる人は限られているらしい。


 扉の先は薄暗く、小窓から射し込む光が水面に反射して輝いていた。

 埃っぽさは一切なくて、掃除が行き届いていることも分かる。


 命に関わるお水だから、管理も徹底されているらしい。


「お水を入れ替えても大丈夫ですか?」

「ああ。お願いする」

「分かりました。

 ……全部入れ替えられたと思います」


 イアン様の返事を待ってから、貯められている水を全部私の水魔法で作り出したものに変える。

 元々あったお水は水魔法で消せるから、見た目では何も変わっていないけれど、イアン様は変わっていることに気付いたらしい。


「本当に一瞬だな。魔力は大丈夫そうか?」

「大丈夫です」


 給水塔は全部で六つあるから、あと二つ同じことをしないといけない。

 だから、私達は一度階段を降りて、もう一つの給水塔に向かった。

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